転生王子は何をする?
第83話 入学前 19
戦闘態勢に入ったトリスは、まず先手としてホルスの魔法の効果が切れると同時に、アイテムボックスから取り出した弓に矢を番えて、全生物共通の弱点である目を狙う。しかしあっさりと黒い靄に弾かれて命中には至らなかった。
「すまん!」
「いや、大丈夫!僕が直接!」
「5秒持ち堪えてくれ!」
短いやり取りをホルスと交わしつつ、トリスは取っておきの矢をアイテムボックスから取り出す。その矢は前の矢と形は変わらないものの、羽の部分に使われている素材が鳥の羽根と鳥型の魔物の羽根という点が違った。また、見た目では分からないが、矢全体に魔力が通りやすいように、ミスリルで内部に回路が作られている。これはトリスが以大量に作り置きしておいた物で、その威力は折り紙付きであった。
「よし、いいぞ!」
「了解!」
トリスの声に、ホルスは短く返事をしながら、剣を振るって敵を弾き飛ばす。
「グゥ!」
あまりの衝撃に思わず呻き声をあげてしまう魔王もどきだったが、数瞬後には更なる悲鳴をあげることとなる。
「ふぅ。『貫け』!」
トリスがそう口にしながら魔力を込めた矢を放つと、その矢は爆発的な加速をしながら後に飛ばされている魔王もどきの目を、寸分違わずに綺麗に貫く。
その矢には、ジェットエンジンのように風が噴出するようなイメージで魔法が付与された魔道具で、回転もかかるようになっているので、鉄ですら紙のように貫く威力を持っていた。
「ギャァァァァア!!」
悲鳴をあげている魔王もどきに、更に追い討ちをかけて矢を放つトリス。
「『貫け』!」
今度はもう片方の目も貫き、これで完全に視力を失った魔王もどきはがむしゃらに周囲を破壊しつつ暴れ回る。
「!頼んだ!」
「分かったよ!」
「え?きゃっ!」
どうやら魔王もどきはもどきといえども魔法は使えたようで、詠唱もせずに初級魔法を出鱈目に放ってきたのだ。
その兆候を察知した2人は、防御を図ろうとするが、トリス1人ではリアを守りきるのは難しいと判断してホルスに応援を求めたのだ。
するとホルスは、持ち前のステータスで一瞬のうちにリアの下に現れると、リアを抱き寄せ手に持った剣で自身に当たるものだけを全て切り落とす。
トリスはトリスで魔法耐性が付与された盾をアイテムボックスから取り出して、弾幕の雨をどうにか凌いでいた。
「お〜、この状況で女性を抱き寄せるとは。流石はホルスだよ。俺がやったら間違いなく通報されるわ〜。」
いや、訂正だ。大分余裕に防いでいた。高々初級魔法程度、雑作に防げて当然のステータスを持っているのだから当たり前なのだが。
「トリス?」
「い、いえ、何でもありません!」
魔法の着弾で大分騒音が出ている筈なのに、何故かトリスの声が聞こえたようで、責めるような目線で見つめてくるホルス。
「巫山戯たこと言ってないで、さっさとコイツ倒しちゃおうよ。あ、多分人体実験の被害者だろうから、なるべく殺さない方向で。」
「分かった!…『貫け』!」
トリスとしては面倒なので始末したかったのだが、そう言われてはそこまでの鬼畜では無いため返事をする。
そして弾幕が止んだ瞬間を見計らい、矢を一気に4本番えると、それを一斉に放つ。するとその矢は綺麗に両手足の神経部分を断ち、魔王もどきは力無く地に倒れ伏せてしまう。
「グ、ガァァ!」
「ふっ!」
トリスの矢が魔王もどきに命中すると同時に、タイミング良くホルスが距離を詰めて剣を振りかぶる。
「『付与 電撃』。」
ホルスは振りかぶりつつも、各属性に存在する初級魔法の付与を行使する。これは付与術とは違い、一時的に魔法の効果を物に与えるものであり、主に剣士等が使えば便利なのだが、剣と魔法を両立して強くなるのは難しいため使う者の少ない魔法だ。付与は効果範囲が狭いので、せいぜいが自身の身に付けている物にしか付与出来ないというのも、使い手を限らせている。
「グギャアァァァァ!!」
そんなホルスの一撃を受け、魔王もどきは完全に意識を失うのだった。
「トリス!縄ちょうだい!」
「お、おう。確か専門家に学んだんだったな…。」
ホルスの言葉に、何をするのか察したトリスは大人しくアイテムボックスから縄を取り出して渡してやる。
「え?一体何を?」
「ん?ホルスの趣味ですよ。彼は大分Sっ気があるので「トリス?考えてモノを言おうね?」…Yes,sir.」
不思議そうにしているリアに、巫山戯て説明しようとすると、ホルスから有無を言わせない圧力がかかってきたので、諦めて大人しく従うトリス。
そんなトリスをまたまた不思議そうに見るリア。そんな状況の中、1人ホルスが必死に一国を滅ぼせるような存在を、縄で拘束していくというシュールな光景がそこにはあった。
「すまん!」
「いや、大丈夫!僕が直接!」
「5秒持ち堪えてくれ!」
短いやり取りをホルスと交わしつつ、トリスは取っておきの矢をアイテムボックスから取り出す。その矢は前の矢と形は変わらないものの、羽の部分に使われている素材が鳥の羽根と鳥型の魔物の羽根という点が違った。また、見た目では分からないが、矢全体に魔力が通りやすいように、ミスリルで内部に回路が作られている。これはトリスが以大量に作り置きしておいた物で、その威力は折り紙付きであった。
「よし、いいぞ!」
「了解!」
トリスの声に、ホルスは短く返事をしながら、剣を振るって敵を弾き飛ばす。
「グゥ!」
あまりの衝撃に思わず呻き声をあげてしまう魔王もどきだったが、数瞬後には更なる悲鳴をあげることとなる。
「ふぅ。『貫け』!」
トリスがそう口にしながら魔力を込めた矢を放つと、その矢は爆発的な加速をしながら後に飛ばされている魔王もどきの目を、寸分違わずに綺麗に貫く。
その矢には、ジェットエンジンのように風が噴出するようなイメージで魔法が付与された魔道具で、回転もかかるようになっているので、鉄ですら紙のように貫く威力を持っていた。
「ギャァァァァア!!」
悲鳴をあげている魔王もどきに、更に追い討ちをかけて矢を放つトリス。
「『貫け』!」
今度はもう片方の目も貫き、これで完全に視力を失った魔王もどきはがむしゃらに周囲を破壊しつつ暴れ回る。
「!頼んだ!」
「分かったよ!」
「え?きゃっ!」
どうやら魔王もどきはもどきといえども魔法は使えたようで、詠唱もせずに初級魔法を出鱈目に放ってきたのだ。
その兆候を察知した2人は、防御を図ろうとするが、トリス1人ではリアを守りきるのは難しいと判断してホルスに応援を求めたのだ。
するとホルスは、持ち前のステータスで一瞬のうちにリアの下に現れると、リアを抱き寄せ手に持った剣で自身に当たるものだけを全て切り落とす。
トリスはトリスで魔法耐性が付与された盾をアイテムボックスから取り出して、弾幕の雨をどうにか凌いでいた。
「お〜、この状況で女性を抱き寄せるとは。流石はホルスだよ。俺がやったら間違いなく通報されるわ〜。」
いや、訂正だ。大分余裕に防いでいた。高々初級魔法程度、雑作に防げて当然のステータスを持っているのだから当たり前なのだが。
「トリス?」
「い、いえ、何でもありません!」
魔法の着弾で大分騒音が出ている筈なのに、何故かトリスの声が聞こえたようで、責めるような目線で見つめてくるホルス。
「巫山戯たこと言ってないで、さっさとコイツ倒しちゃおうよ。あ、多分人体実験の被害者だろうから、なるべく殺さない方向で。」
「分かった!…『貫け』!」
トリスとしては面倒なので始末したかったのだが、そう言われてはそこまでの鬼畜では無いため返事をする。
そして弾幕が止んだ瞬間を見計らい、矢を一気に4本番えると、それを一斉に放つ。するとその矢は綺麗に両手足の神経部分を断ち、魔王もどきは力無く地に倒れ伏せてしまう。
「グ、ガァァ!」
「ふっ!」
トリスの矢が魔王もどきに命中すると同時に、タイミング良くホルスが距離を詰めて剣を振りかぶる。
「『付与 電撃』。」
ホルスは振りかぶりつつも、各属性に存在する初級魔法の付与を行使する。これは付与術とは違い、一時的に魔法の効果を物に与えるものであり、主に剣士等が使えば便利なのだが、剣と魔法を両立して強くなるのは難しいため使う者の少ない魔法だ。付与は効果範囲が狭いので、せいぜいが自身の身に付けている物にしか付与出来ないというのも、使い手を限らせている。
「グギャアァァァァ!!」
そんなホルスの一撃を受け、魔王もどきは完全に意識を失うのだった。
「トリス!縄ちょうだい!」
「お、おう。確か専門家に学んだんだったな…。」
ホルスの言葉に、何をするのか察したトリスは大人しくアイテムボックスから縄を取り出して渡してやる。
「え?一体何を?」
「ん?ホルスの趣味ですよ。彼は大分Sっ気があるので「トリス?考えてモノを言おうね?」…Yes,sir.」
不思議そうにしているリアに、巫山戯て説明しようとすると、ホルスから有無を言わせない圧力がかかってきたので、諦めて大人しく従うトリス。
そんなトリスをまたまた不思議そうに見るリア。そんな状況の中、1人ホルスが必死に一国を滅ぼせるような存在を、縄で拘束していくというシュールな光景がそこにはあった。
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コメント
血迷ったトモ
御指摘ありがとうございます。修正しておきました。
一応最後に見直ししてるんですけど、やっぱり完璧は難しいですね。
わいのにじょー
2行目「アイテムボックスかれ取り出し…」→「アイテムボックスから取り出し…」
違っていたらすみませんm(*_ _)m