転生王子は何をする?
第71話 入学前 7
「どうどう。落ち着いて。はい、深呼吸!」
トリスは何とか言葉巧みにホルスを説得し、漸く深呼吸の段階まで持ち込む事に成功した。この間10分ほどだが、周りの冒険者達は固唾を飲んで見守るのみであった。
「すぅ〜、はぁ〜。…ふぅ。ゴメン、トリス。ちょっと本気で頭に来ちゃって。」
本気で落ち込んでいるようで、沈んだ笑顔で謝ってくるホルス。
そんなホルスに笑いかけながら、トリスは片目を閉じてウィンク風な表情を作って慰める。
「まぁ、俺もホルスと同じ立場だったら、同じようにキレてたらから、俺にとやかく言う資格は無いよ。それに俺も少しお巫山戯が過ぎたしな。」
「…確かに。僕が侯爵家の跡取りって教える必要無かったよね?」
トリスの『お巫山戯が過ぎた』という言葉を持ち出し、責めるような口調で言う。しかし顔は笑っているので、本気では責めてないようだ。
いつもの調子に戻ったホルスに安心したトリスは、固唾を飲んで見守っていた冒険者達に声をかける。
「はい、皆さん注目〜。…ほれ、言いたい事ははっきりと言いなさいな。」
既に注意は向いていたが形式的に呼びかけたトリスは、ホルスを促して彼の考えを伝えてもらう。
「えっと、皆さん。僕は皆さんに対して思うところはありません。その、先程は怒ってしまいましたが、『無礼だ』という事では無く、人間として馬鹿にされた気分になってしまっただけです。つまり、貴族として怒ったのでは無く、一個人として怒っただけです。まぁ、それも先程ここに居る友人のトリスのお蔭で大分収まりましたが。」
「…だそうですけど?何か質問はありますか?」
トリスがホルスの言葉を引き継ぎ、周囲に呼びかける。するとちらほら手が挙がったので、一つ一つ2人で答えていく。
「バルドゥルの処遇ですか?う〜ん、このまま放置で。ギルドで処分お願いします。」
「俺の身分?ただの平民なんで、気にしないで下さい。は?『ホルスに恋人若しくは婚約者は居るか?』だって?そんなもの本人に聞いてください。」
「居ません。今の所候補も居ません。」
「え?」
「え?」
このように、多少脱線もあっが次々と捌いていき、無事全ての疑問に答え終える事が出来たのは、10分後であった。
「ふぅ〜。漸く終わったか〜。あ、じゃあ解散っていう事で。では良い1日を〜…ってまだ朝かよ!?もう十分夕方の気分だよ!」
「あははは。」
『ワハハハハ!』
最後にトリスのボケで笑いを誘い、無事『ホルス、ブチ切れ事件』の幕は降ろされたのだった。
「ん?何かイヤな事言われた気がする。具体的には、血迷ったなんちゃらって人に。」
「え?いきなり何を?」
いきなり意味不明な事を言い出すホルスを不思議そうに見るトリス。しかしホルスはすぐに首を振って『気のせいだ』と己を納得させる。
「いや、何でも無いよ。それよりも、さっさとギルドから退散しようよ。いつまでも僕達が居ると、他の人も居づらいんじゃない?」
まだ周囲の視線が向けられている事を感じとったホルスは、早く出ようとトリスを急かす。が、依頼の1つでも受けてからでないと、暇すぎて正直死にそうなトリスは依頼書の貼ってある壁までやってくる。
「兎に角2,3個適当に見繕ってから行こうか?5分もかからないでしょ。」
「そう…だね。うん、急ごう。」
同じく暇を持て余したホルスは、やはり依頼を見たいようで、悩んだが結局依頼書に目を通し始める。
「ん〜。僕達のランクだと、近くにある森の比較的浅い所にある薬草採取とかしかないね。」
「別にランクが低いと森の奥に入っちゃいけないなんてルールは無いんだし、森の奥で薬草を採取するっていう手もあるけど?」
トリスの提案に、暫し思案するホルスだが、すぐに首を振って言う。
「止めとこうよ。あんまり変な事してると、ギルドとか他の冒険者に目を付けられて、面倒な事になりそうだし。…既に手遅れな気もするけど。」
「お、おう。本当に手遅れっぽいけど、一応常識の範囲内で行動するか。」
『手遅れ』という言葉に、引きつった笑みを浮かべるホトリス。トリス自身は目立つつもりは一切無かったのに、何故かこの冒険者ギルドではホルスと同等の量の視線が向けられているのだ。
現状には些か文句はあるが、本当に今更なので大人しく受け入れるしかないトリスであった。
トリスは何とか言葉巧みにホルスを説得し、漸く深呼吸の段階まで持ち込む事に成功した。この間10分ほどだが、周りの冒険者達は固唾を飲んで見守るのみであった。
「すぅ〜、はぁ〜。…ふぅ。ゴメン、トリス。ちょっと本気で頭に来ちゃって。」
本気で落ち込んでいるようで、沈んだ笑顔で謝ってくるホルス。
そんなホルスに笑いかけながら、トリスは片目を閉じてウィンク風な表情を作って慰める。
「まぁ、俺もホルスと同じ立場だったら、同じようにキレてたらから、俺にとやかく言う資格は無いよ。それに俺も少しお巫山戯が過ぎたしな。」
「…確かに。僕が侯爵家の跡取りって教える必要無かったよね?」
トリスの『お巫山戯が過ぎた』という言葉を持ち出し、責めるような口調で言う。しかし顔は笑っているので、本気では責めてないようだ。
いつもの調子に戻ったホルスに安心したトリスは、固唾を飲んで見守っていた冒険者達に声をかける。
「はい、皆さん注目〜。…ほれ、言いたい事ははっきりと言いなさいな。」
既に注意は向いていたが形式的に呼びかけたトリスは、ホルスを促して彼の考えを伝えてもらう。
「えっと、皆さん。僕は皆さんに対して思うところはありません。その、先程は怒ってしまいましたが、『無礼だ』という事では無く、人間として馬鹿にされた気分になってしまっただけです。つまり、貴族として怒ったのでは無く、一個人として怒っただけです。まぁ、それも先程ここに居る友人のトリスのお蔭で大分収まりましたが。」
「…だそうですけど?何か質問はありますか?」
トリスがホルスの言葉を引き継ぎ、周囲に呼びかける。するとちらほら手が挙がったので、一つ一つ2人で答えていく。
「バルドゥルの処遇ですか?う〜ん、このまま放置で。ギルドで処分お願いします。」
「俺の身分?ただの平民なんで、気にしないで下さい。は?『ホルスに恋人若しくは婚約者は居るか?』だって?そんなもの本人に聞いてください。」
「居ません。今の所候補も居ません。」
「え?」
「え?」
このように、多少脱線もあっが次々と捌いていき、無事全ての疑問に答え終える事が出来たのは、10分後であった。
「ふぅ〜。漸く終わったか〜。あ、じゃあ解散っていう事で。では良い1日を〜…ってまだ朝かよ!?もう十分夕方の気分だよ!」
「あははは。」
『ワハハハハ!』
最後にトリスのボケで笑いを誘い、無事『ホルス、ブチ切れ事件』の幕は降ろされたのだった。
「ん?何かイヤな事言われた気がする。具体的には、血迷ったなんちゃらって人に。」
「え?いきなり何を?」
いきなり意味不明な事を言い出すホルスを不思議そうに見るトリス。しかしホルスはすぐに首を振って『気のせいだ』と己を納得させる。
「いや、何でも無いよ。それよりも、さっさとギルドから退散しようよ。いつまでも僕達が居ると、他の人も居づらいんじゃない?」
まだ周囲の視線が向けられている事を感じとったホルスは、早く出ようとトリスを急かす。が、依頼の1つでも受けてからでないと、暇すぎて正直死にそうなトリスは依頼書の貼ってある壁までやってくる。
「兎に角2,3個適当に見繕ってから行こうか?5分もかからないでしょ。」
「そう…だね。うん、急ごう。」
同じく暇を持て余したホルスは、やはり依頼を見たいようで、悩んだが結局依頼書に目を通し始める。
「ん〜。僕達のランクだと、近くにある森の比較的浅い所にある薬草採取とかしかないね。」
「別にランクが低いと森の奥に入っちゃいけないなんてルールは無いんだし、森の奥で薬草を採取するっていう手もあるけど?」
トリスの提案に、暫し思案するホルスだが、すぐに首を振って言う。
「止めとこうよ。あんまり変な事してると、ギルドとか他の冒険者に目を付けられて、面倒な事になりそうだし。…既に手遅れな気もするけど。」
「お、おう。本当に手遅れっぽいけど、一応常識の範囲内で行動するか。」
『手遅れ』という言葉に、引きつった笑みを浮かべるホトリス。トリス自身は目立つつもりは一切無かったのに、何故かこの冒険者ギルドではホルスと同等の量の視線が向けられているのだ。
現状には些か文句はあるが、本当に今更なので大人しく受け入れるしかないトリスであった。
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コメント
小説書いてみたいけど内容が浮かばない人
ホトリスって言うまとめ方に笑った