転生王子は何をする?
第29話 面倒事は後回し派です
翌朝、トリスは6時に目が覚めた。何故なら窓の外では多くの人が活動し、喧騒を生んでいたからだ。いつもなら8時位にメイドに起こされるため、少し不機嫌そうな顔をしながらトリスは目を擦って伸びをする。
「ふわぁ〜あ。…少しはシャンとしないと、冒険者としてやっていけないか。よし!」
トリスは気合を入れ直してベッドから起き上がる。すると丁度扉の前に誰かの気配を感じた。
『コンコン』
『おはようございます、トリスさん。朝食の御用意が整いましたので、お運び致しました。』
「は〜い。今開けますよ〜。」
何処と無く既視感を覚えるやり取りをし、トリスは扉を開ける。すると昨日も夕食を運んでくれた少女が立っていた。
「おはようございます、トリスさん。」
「あ、はい。おはようございます。え〜っと…。」
トリスが『この子の名前何だっけ?』と思っていると、それを察したのか少女は自己紹介をしてくる。
「あ、私の名前はレベッカです。ここの女将の娘で、給仕を主にさせていただいています。トリスさんより年下の16歳なので、気軽にレベッカと呼び捨てでお願いします。」
レベッカは中々愛嬌のある子だ。茶色の目に、赤みがかった茶髪を後ろで一つに纏め、一見活発そうに見えるが、その実とても丁寧な子のようだ。
「はい、分かりました。おはようございます、レベッカ。」
いきなり呼び捨てで良いと言われたトリスは、素直に呼び捨てで呼ぶ事にした。しかし敬語のままであったので、どこか可笑しい言い回しになってしまった。
「フフッ!敬語じゃなくて、タメ口でお願いします。私は給仕なんですから、敬語を使う人なんて普通は居ませんよ。」
「あ、すみません。何というか癖みたいなものなんで。これからちょっと気を付けてみますね。」
「はい、お願いします。」
廊下を歩く男の冒険者達から、『何だあの初々しいやり取りは!あの男、死ねばいいのに!』という目を向けられながらトリス達は会話をする。勿論トリスは気付いているが、レベッカは自身に向けられる視線に敏感では無いようだ。
あんまり悪目立ちするのもトリスは望んでいないので、『朝からギルドに用があるんだ』とちょっと強引に話を切り上げて部屋へと戻る。『迷惑かけてしまった!』と少ししょんぼりしてしまったレベッカに、『また話しましょう』とフォローするのを忘れずに行ったが。
朝食をとった後、今日こそは真っ直ぐに誰にも邪魔されずにギルドに向かってやると意気込んでトリスは屋根の上を駆ける。
時刻は9時過ぎで、すっかり道は混雑している。非常に活気が良く、それを見ているだけでワクワクする自分を、トリスは感じた。前世ならば無感情に紛れるだけであった雑踏に、そんな感情を抱く自分を不思議に思いながらも、どこか納得するトリス。今のトリスは自分自身の意思で行動し、やりたいように力を振るっているため、生活にやりがいをもっているのだろう。
知らず知らずの内に自然と足に力が篭もり、あっという間にギルドへと着いてしまった。地上に降り立ち、勢い良くドアを開ける。
『ザワッ』
中に居た冒険者達の注目がトリスに集まる。どうやら昨日の一件が大分噂となって広まっているようだ。
そんな中、頭は悪そうだが大分体格の良い男二人組がトリスに向かってきた。
「おい、お前。昨日は俺達の後輩が世話になったそうだな。」
あいつらかと白狼の爪を思い浮かべたトリスは、相手を煽るために態とらしくすっとぼける。
「後輩?誰の事です?」
「あぁ!てめぇが昨日ギルドに引っ張ってきた奴らだよ!どうやったかは知らねぇが、どうせ卑怯な手を使って倒したんだろ?だが俺らにも面子ってもんがあるんだ。」
「というわけで、てめぇには痛い目にあってもらうぞ!手足を斬り落として、目ん玉もくり抜いてやるよ!」
「「ギャハハハハハ!」」
男達は何が愉快なのか、大声を上げて笑う。
そんな彼らに、トリスは溜息をつく。
「はぁ…。朝からこんな奴らの相手をしないといけないだなんて、ホントにめんどくさいな。ま、丁度良いか。」
「あ?何が丁度いいんだ!?」
「ちょっとギルドの外まで来い!Cランクのゲース様と、」
「同じくCランクのゴーリラ様を舐めんじゃねぇ!」
馬鹿二人組は、交互に自己紹介をしてくる。
「はいはい。分かったから。俺はEランクのトリスです。それで下衆とゴリラさんでしたっけ?早く外に出て下さいよ。ギルド内じゃ暴れられないんですよね?」
「この優男が!地獄見ても後悔すんなよ!?」
「爪先から順に切り刻んでやる!」
男達は肩を震わせながら外に出る。しかしトリスはそれを見送った後、ニーナの元へと向かう。
『いや、外行けよ!!』とギルド内全ての人間の心が揃った瞬間であった。トリスは我関せずとニーナに陽気に話しかける。
「おはようございます、ニーナさん。あそこの宿屋、ご飯が美味しくていいですね〜。あ、住所をあそこにしておいて下さい。」
「は、はい。それよりも良いんですか?」
「?何がです?」
トリス首を傾げる。
と、同時にギルドの扉が乱暴に開いて、中にゲースとゴーリラが飛び込んでくる。
「「遅せぇよ!!」」
そんな彼らに、トリスは心底面倒くさそうな態度で向き合うのだった。
「ふわぁ〜あ。…少しはシャンとしないと、冒険者としてやっていけないか。よし!」
トリスは気合を入れ直してベッドから起き上がる。すると丁度扉の前に誰かの気配を感じた。
『コンコン』
『おはようございます、トリスさん。朝食の御用意が整いましたので、お運び致しました。』
「は〜い。今開けますよ〜。」
何処と無く既視感を覚えるやり取りをし、トリスは扉を開ける。すると昨日も夕食を運んでくれた少女が立っていた。
「おはようございます、トリスさん。」
「あ、はい。おはようございます。え〜っと…。」
トリスが『この子の名前何だっけ?』と思っていると、それを察したのか少女は自己紹介をしてくる。
「あ、私の名前はレベッカです。ここの女将の娘で、給仕を主にさせていただいています。トリスさんより年下の16歳なので、気軽にレベッカと呼び捨てでお願いします。」
レベッカは中々愛嬌のある子だ。茶色の目に、赤みがかった茶髪を後ろで一つに纏め、一見活発そうに見えるが、その実とても丁寧な子のようだ。
「はい、分かりました。おはようございます、レベッカ。」
いきなり呼び捨てで良いと言われたトリスは、素直に呼び捨てで呼ぶ事にした。しかし敬語のままであったので、どこか可笑しい言い回しになってしまった。
「フフッ!敬語じゃなくて、タメ口でお願いします。私は給仕なんですから、敬語を使う人なんて普通は居ませんよ。」
「あ、すみません。何というか癖みたいなものなんで。これからちょっと気を付けてみますね。」
「はい、お願いします。」
廊下を歩く男の冒険者達から、『何だあの初々しいやり取りは!あの男、死ねばいいのに!』という目を向けられながらトリス達は会話をする。勿論トリスは気付いているが、レベッカは自身に向けられる視線に敏感では無いようだ。
あんまり悪目立ちするのもトリスは望んでいないので、『朝からギルドに用があるんだ』とちょっと強引に話を切り上げて部屋へと戻る。『迷惑かけてしまった!』と少ししょんぼりしてしまったレベッカに、『また話しましょう』とフォローするのを忘れずに行ったが。
朝食をとった後、今日こそは真っ直ぐに誰にも邪魔されずにギルドに向かってやると意気込んでトリスは屋根の上を駆ける。
時刻は9時過ぎで、すっかり道は混雑している。非常に活気が良く、それを見ているだけでワクワクする自分を、トリスは感じた。前世ならば無感情に紛れるだけであった雑踏に、そんな感情を抱く自分を不思議に思いながらも、どこか納得するトリス。今のトリスは自分自身の意思で行動し、やりたいように力を振るっているため、生活にやりがいをもっているのだろう。
知らず知らずの内に自然と足に力が篭もり、あっという間にギルドへと着いてしまった。地上に降り立ち、勢い良くドアを開ける。
『ザワッ』
中に居た冒険者達の注目がトリスに集まる。どうやら昨日の一件が大分噂となって広まっているようだ。
そんな中、頭は悪そうだが大分体格の良い男二人組がトリスに向かってきた。
「おい、お前。昨日は俺達の後輩が世話になったそうだな。」
あいつらかと白狼の爪を思い浮かべたトリスは、相手を煽るために態とらしくすっとぼける。
「後輩?誰の事です?」
「あぁ!てめぇが昨日ギルドに引っ張ってきた奴らだよ!どうやったかは知らねぇが、どうせ卑怯な手を使って倒したんだろ?だが俺らにも面子ってもんがあるんだ。」
「というわけで、てめぇには痛い目にあってもらうぞ!手足を斬り落として、目ん玉もくり抜いてやるよ!」
「「ギャハハハハハ!」」
男達は何が愉快なのか、大声を上げて笑う。
そんな彼らに、トリスは溜息をつく。
「はぁ…。朝からこんな奴らの相手をしないといけないだなんて、ホントにめんどくさいな。ま、丁度良いか。」
「あ?何が丁度いいんだ!?」
「ちょっとギルドの外まで来い!Cランクのゲース様と、」
「同じくCランクのゴーリラ様を舐めんじゃねぇ!」
馬鹿二人組は、交互に自己紹介をしてくる。
「はいはい。分かったから。俺はEランクのトリスです。それで下衆とゴリラさんでしたっけ?早く外に出て下さいよ。ギルド内じゃ暴れられないんですよね?」
「この優男が!地獄見ても後悔すんなよ!?」
「爪先から順に切り刻んでやる!」
男達は肩を震わせながら外に出る。しかしトリスはそれを見送った後、ニーナの元へと向かう。
『いや、外行けよ!!』とギルド内全ての人間の心が揃った瞬間であった。トリスは我関せずとニーナに陽気に話しかける。
「おはようございます、ニーナさん。あそこの宿屋、ご飯が美味しくていいですね〜。あ、住所をあそこにしておいて下さい。」
「は、はい。それよりも良いんですか?」
「?何がです?」
トリス首を傾げる。
と、同時にギルドの扉が乱暴に開いて、中にゲースとゴーリラが飛び込んでくる。
「「遅せぇよ!!」」
そんな彼らに、トリスは心底面倒くさそうな態度で向き合うのだった。
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コメント
小説書いてみたいけど内容が浮かばない人
自分も、『いや、行けよ!』ってなりましたwww