転生王子は何をする?

血迷ったトモ

第24話 人ってホントに見た目だけで人を判断しますよね

「トリス様!お待たせ致しました。」

数分後、猫耳の受付嬢が窓口から顔を出してそう呼びかける。
その声に、『漸くか』とトリスは壁際から窓口へと向かう。すると受付嬢が何やら小型のタブレット端末のようなものを差し出してくる。

「これは?」

「これはですね、古代の遺跡から発見された魔道具マジックアイテムでして、これに魔力を流すと、その流した本人の情報が確認できるんです。」

「情報を?」

「名前や年齢などの個人情報から、依頼の達成数や魔物の討伐数、そしてランクが表示されるんです。こんな感じにですね。」

そう言いながら、受付嬢は魔道具マジックアイテムに手を置く。
すると急に画面が表示され、文字が羅列されていく。


名前:ニーナ
年齢:19
性別:女性
住所:※※※(個人情報のため、当作品では伏せています)
出身地:※※※(個人情報のため、当作品では(ry )
依頼達成数:373/395
討伐数:ゴブリン 4569 ~(多すぎるため以下略)
冒険者ランク:元Cランク
二つ名:血塗れ猫娘、鉄拳制裁、冷酷無慈悲な拳



「こ、これは…。」

二つ名のあまりの酷さに、トリスは言葉を失ってしまう。

「え?…あ!隠すの忘れてた!」

どうやら設定で隠せるらしいのを忘れて、見せるつもりのないものまで見せてしまったらしい。慌てて受付嬢(以下ニーナ)はトリスに向けていた画面をひったくり、二つ名を非表示にして再びトリスに見せてきた。

「へ、へ〜。こ、これは凄いですね〜。ここに俺の魔力を流せば登録が出来るって事ですね?」

トリスは先程のは無かったことにして、ニーナに言う。

「はい、そうです。では、流してください。」

一旦表示されていたものを消し、何やら操作をしてからトリスに差し出してきた。トリスは言われるがまま、とある細工をしつつもタブレット端末のような魔道具マジックアイテムに魔力を流す。
すると先程トリスが書いた通りのプロフィールと、冒険者ランクにはEと表示がされていた。
冒険者ランクとは、EからSSまである。SSが最高ランクで、正確な人数は冒険者という職業柄か行方知れずの者がいるため分からないが、世界に10人ほどしか居ないそうだ。Eは初心者、Dは半人前、Cは1人前、Bは凄腕、Aは超凄腕、Sは超人、SSは英雄と評価されている。
そんな中でも街中での雑務を主に依頼されるEランクになったトリスは、堂々と・・・魔物を狩りたいため、少なくとも1人前と認められるCランク位には早めに上げて起きたいと考え、ニーナに質問する。

「初めは皆Eランクから始まるんですか?」

「実技と筆記試験を受けていただければ、最高Cランクから可能です。」

「そうなんですか。じゃあその試験をお願いできますか?」

ニーナは少し驚いた様に見えたが、すぐに営業スマイルを再び浮かべ、トリスに問う。

「筆記試験は兎も角、実技試験はBランク冒険者相手に戦闘を行ってもらうのですが、大丈夫ですか?」

どうやらトリスの見た目から、強そうには見えないと思ったらしく、少し警告するような感じで聞いてくる。

「はい、勿論です。師匠からは、『もうお前の非常識さには、ほとほと飽きたよ…。』と言われてますので、多分大丈夫ですよ。」

アリアーヌから溜息交じりに言われた文句を、口調を似せて言ってみる。

「はぁ、そうですか。負傷した際は自己責任ですので、ご了承くださいね。一応ギルドでも光魔法の使い手を用意していますので、値は張りますが死ぬことはないと思うので、大丈夫ですよ。」

どうやらトリスがボコボコににヤられるのは確定のようだ。
その様子に、トリスは苦笑いしながら頷き、試験の準備のための手続きをしてもらうのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品