転生王子は何をする?
第12話 今後の話をしました
アリアーヌの授業が始まってから数週間後、トリスは朝食の後の団欒で父であるオウギュストにこう問われた。
「まだ5歳のお前にする話では無いとは思うが、将来お前は何をしたい?」
いきなりそんな事を問われたトリスは面食らう。
「…え?と、唐突にどうしたのですか?」
そんなトリスを諭すようにオウギュストは話を続ける。
「今お前は第三王子という立場に居る。しかし、第一王子であるベルトランが王位を順当に継承すれば、トリスは公爵の爵位を与えられて領地経営をするか、爵位を貰わずに一般人として自由にするかという選択肢が与えられる。」
「…なるほど。早いうちから身の振り方を考えておけば、後々困ることが無くなるというわけですね。」
「相変わらずお前は理解が速いな。…本当に5歳か?」
「ハハハハ。まだ私は5歳ですよ。」
肉体年齢はねと心の中で思いながら言う。
「それで、どうなんだ?」
オウギュストは真面目な顔で問う。
トリスは、領地経営などの知識は創造神の加護の恩恵のアーカイブでどうとでも出来るが、自信が書類仕事に追われるのは我慢出来ないであろうと思った。そのため、消去法で一般人として生きる道が残る。
「…そうですね。私は冒険者としてギルドに入り、叶うならば世界中を旅してみたいですね。私には魔法の適性が三属性もあるので、大分有利に立ち回れる筈ですしね。」
何処と無く生き生きとしたトリスの表情を見て、オウギュストはやはりかとばかりに頷く。
「それでは10日後に行われる、お前の顔見せを行う予定だったパーティーには参加するか?」
「!…やめておきます。ところで父上。そのパーティーには貴族や大商人などが参加するのですか?」
「あ、あぁそうだ。参加しないのに、実は興味があるのか?」
「いえ、どんな方が来られるのか、少々気になっただけですから。」
「?そうか?」
少々浮かれた様子のトリスに、オウギュストは疑問を抱いたが、恐らく誤魔化されるだけであろうと判断してそれ以上は突っ込まない。
-商人が来るだと!?俺の夢を叶えるためには商人と繋がりを持たないと難しいだろう。ならば俺の持てるすべてを使い、パーティー会場に潜入してやるぜ!!-
そんな事を思いながら、団欒の時間は終わるのだった。
「師匠!お願いします!」
「は?」
トリスの部屋に、アリアーヌが現れると同時にこれである。お願いとは勿論パーティーに潜入するための、魔法やスキル、魔眼の使い方を教えて欲しいというものである。
面食らっているアリアーヌを見て、言葉が足りなかったとトリスは潜入したい旨を説明する。
「…なるほど。しかし潜入しなくても、堂々と出席すればいいじゃないか。」
その言葉にトリスは悲壮な顔になって言う。
「それでは駄目なんです。第一に顔を覚えられると後々柵とか面倒くさそうですし、自由に会場内を自由に動けないでしょう。つまり私には潜入しか手が無いのです。そして私が頼れる相手は師匠しか居ないのです!」
段々とアリアーヌににじり寄りながらも必死に言う。
真面目な顔のトリスに迫られたアリアーヌは、吃りながらも承諾する。
「あ、あぁ、分かった。分かったからそんなに近寄るな。落ち着け。」
近寄り過ぎたことを指摘されたトリスは我に返ると、すぐに距離を置いた。
「はっ!?…す、すみません。ちょっと力説しすぎましたね。」
「いや、別にいいんだ。というかむしろ…。」
アリアーヌは顔を赤らめて言葉を濁す。
「?何ですか?」
「な、何でもない!それよりも、これから9日間は少々厳しめで行くぞ!」
「はぁ。了解です、師匠。」
あからさまに誤魔化されたトリスは、釈然としない気持ちを抑えながらも返事をする。
「よ、よし。授業を始める!」
この日アリアーヌはことある事にトリスを見ては、顔を朱に染めてどこか気まずい雰囲気が流れるのだった。
「まだ5歳のお前にする話では無いとは思うが、将来お前は何をしたい?」
いきなりそんな事を問われたトリスは面食らう。
「…え?と、唐突にどうしたのですか?」
そんなトリスを諭すようにオウギュストは話を続ける。
「今お前は第三王子という立場に居る。しかし、第一王子であるベルトランが王位を順当に継承すれば、トリスは公爵の爵位を与えられて領地経営をするか、爵位を貰わずに一般人として自由にするかという選択肢が与えられる。」
「…なるほど。早いうちから身の振り方を考えておけば、後々困ることが無くなるというわけですね。」
「相変わらずお前は理解が速いな。…本当に5歳か?」
「ハハハハ。まだ私は5歳ですよ。」
肉体年齢はねと心の中で思いながら言う。
「それで、どうなんだ?」
オウギュストは真面目な顔で問う。
トリスは、領地経営などの知識は創造神の加護の恩恵のアーカイブでどうとでも出来るが、自信が書類仕事に追われるのは我慢出来ないであろうと思った。そのため、消去法で一般人として生きる道が残る。
「…そうですね。私は冒険者としてギルドに入り、叶うならば世界中を旅してみたいですね。私には魔法の適性が三属性もあるので、大分有利に立ち回れる筈ですしね。」
何処と無く生き生きとしたトリスの表情を見て、オウギュストはやはりかとばかりに頷く。
「それでは10日後に行われる、お前の顔見せを行う予定だったパーティーには参加するか?」
「!…やめておきます。ところで父上。そのパーティーには貴族や大商人などが参加するのですか?」
「あ、あぁそうだ。参加しないのに、実は興味があるのか?」
「いえ、どんな方が来られるのか、少々気になっただけですから。」
「?そうか?」
少々浮かれた様子のトリスに、オウギュストは疑問を抱いたが、恐らく誤魔化されるだけであろうと判断してそれ以上は突っ込まない。
-商人が来るだと!?俺の夢を叶えるためには商人と繋がりを持たないと難しいだろう。ならば俺の持てるすべてを使い、パーティー会場に潜入してやるぜ!!-
そんな事を思いながら、団欒の時間は終わるのだった。
「師匠!お願いします!」
「は?」
トリスの部屋に、アリアーヌが現れると同時にこれである。お願いとは勿論パーティーに潜入するための、魔法やスキル、魔眼の使い方を教えて欲しいというものである。
面食らっているアリアーヌを見て、言葉が足りなかったとトリスは潜入したい旨を説明する。
「…なるほど。しかし潜入しなくても、堂々と出席すればいいじゃないか。」
その言葉にトリスは悲壮な顔になって言う。
「それでは駄目なんです。第一に顔を覚えられると後々柵とか面倒くさそうですし、自由に会場内を自由に動けないでしょう。つまり私には潜入しか手が無いのです。そして私が頼れる相手は師匠しか居ないのです!」
段々とアリアーヌににじり寄りながらも必死に言う。
真面目な顔のトリスに迫られたアリアーヌは、吃りながらも承諾する。
「あ、あぁ、分かった。分かったからそんなに近寄るな。落ち着け。」
近寄り過ぎたことを指摘されたトリスは我に返ると、すぐに距離を置いた。
「はっ!?…す、すみません。ちょっと力説しすぎましたね。」
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