悔い改めなさい!

一路 カイリ

#2マジで伝わらない

「な、なぁ、お前は俺の事どう思ってるわけ?」
唐突な質問に思わずクエスチョンマークを頭に思い浮かべる。
「?言うことを聞かない我儘な幼馴染?」
きょとんとした顔で返事をすると、すぐ不服そうな顔で克樹はこちらを睨んできた。
「…なんだよ…うるせぇなぁ…てかそっちじゃねぇーし」
最後の方はごにょごにょとして悠人には聞こえなかった。

「まったく…」
包帯の巻かれる腕を見る。
痛々しい傷跡が生々しく目に映るたび心が痛む。
なぜこのような無茶をするのか…。
「な、真面目な話…」
至近距離にぐっと近づいて真剣な顔をする克樹の前に全く動じない悠人。

その首筋に顔を寄せ、香りが嗅げるほどの近さで止める。
吸い付きそうな勢いで目を細める。
「…?どうした?」
またしてもきょとんとした顔で返事をする悠人。
「………」
ですよねーわかってた。
と、あっさり顔を引く克樹。

何事もなく包帯を巻き続ける悠人に、克樹は思う。

悠人の、匂いが好きだ。
孤児院にいた頃の懐かしい、優しい匂いがするようで好きだ。
悠人の、手が好きだ。
冷たくてひんやりして気持ちがいい。
冷え性だからと本人は言うが、手の冷たい人は優しい人間が多い。
確かにそうだと思う。
悠人の、全てが好きだ。
愛していると言っても過言ではない。
しかしこの男はどうにも鈍感だ。
触りたいと思うけど、先に進めないこの感じ…もどかしいな。
いっそ押し倒して見るか?

克樹は浮かんできた考えを振り払う。
克樹の嫌がることはしたくない。
俺は克樹が好きだ。
克樹を守りたい俺が克樹を傷つけてどうする。

この街、ニルバールは治安の悪化で悪人が多い。
そういう魔の手からこいつを守らないと。
一人使命感に燃えていると、悠人が包帯を巻き終わった。
少し悠人の手の感触を名残惜しく思っていると、悠人が少し眉根を寄せながら言った。
「もう無茶するなよ?怪我の手当ても、見てるこっちが痛いんだからな。」
「……おう」
気の無い返事をしてその場をしのぐ。
俺はこいつが居る限り、喧嘩をやめないだろう。
こいつが手当てしてくれる限り、こいつが追いかけてくれる限り。
実際追いかけてるのは俺だけどな。
自身への皮肉に苦笑しつつため息をつく。

「あ!やっぱり痛いんだろう?喧嘩をやめれば痛い思いをしなくてすむぞ!」
「…っはは。やめねーよバーカ!」
軽く舌を出して馬鹿にしてみる。
むぅ、と唸る悠人に俺は笑ってみせる。
これ以上の説得は無駄だと思ったのか、悠人は俺に背を向けた。

すかさず俺は、背中から悠人を抱きしめた。
びっくりするも、悠人は落ち着いて居る。
「…ありがとな」
礼を言ってそっと抱きしめる。
「…うん。」
悠人は目を閉じて頷いた。
鼻腔に悠人の匂いが広がる。

なんか、ムラムラしてきた…

我慢できずに、悠人の腰辺りを探る。
「っくすぐったい!やめ…ちょっ克樹!」
少し焦り出した悠人の反応を楽しむように服の下から手を入れた。
少しずつ俺の手が皮膚を這い上がる。
「…ん!…ぁ…」
びくん、と悠人の体が震えた。
更にムラっときて首筋に唇を押し当てる。
「ひぅ…ば…か…離せ…何怒ってんだ…よ」
顔を歪める悠人に俺は怒ってねーよと思う。
どうやらこういうことをする時の俺は怒っていると思われているらしい。
嘆かわしいことだ。
うーむと考えながら手は休めない。
「っあ!」
首筋を唇が這い上がり、悠人の耳を軽く食んだ。
そのまま耳たぶにキスをする。
「っん…やぁ…」
呂律が回らなくなってきている。いよいよやばいな…主に俺が。下に手を伸ばそうとする自分を自制するが止められない。
「ちょっどこ触っ…っう…」
ズボンの裾に手を掛け少しずらす。
足とソレの繋ぎ目辺りを少しなぞると、悠人の体がまた震えた。
「ふぁ…やだ…ん…」
喘ぎ声をあげながらびくびくと体を震わせる悠人。
もう食べてしまいたいくらいにエロい。
てゆうか突っ込みたい。
あんあん言わせてぇぇぇ
なんでこんなにエロいんだこいつ…
小刻みに震えている悠人を見て思う。

触りたい。
てか犯したい。
俺のモノにしたい。

湧き上がってくる思いをなんとか抑えようとする。
しかし涙目赤面でこちらを見つめてくる悠人にできあがってきてしまう俺。(息子)
くっ我慢できるきがしねぇ
「はぁ…はぁ…」
息遣いが聞こえる。
しかもこんな近くで。
悠人の体温が熱い。
火照った体が容赦なく俺を誘ってくる。
キスして、ぐちゃぐちゃにして、とろけさせて、イかせて。
俺だけしか見られないようにして。
そして。
俺は嫌われるんだろうか。
それは嫌だな。
それは、嫌だな。

少し頭が冷える。












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