半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

おまけ 半魔族の少女と偽りの楽園

割りと重要な回になってしまいました……。後々重要となる伏線? になると思います。
おまけじゃなくない? という突っ込みはしないでください……。
国王さんの名前間違えてた……ゲルド→ガルド
6人視点ですよ! 多すぎて申し訳ない!


 私は、国王ガルドさんにある事について、調べてもらっていた。

 それは、私の記憶が入る前に母親が居なくなって、あの後どうなったのかを確かめるためだ。
 私自身気になったためだ。
 今更、前の様に接する事は出来ない訳だけど。

 ゲルドさんは、唸っていた。

「うぅむ、母親の居場所とな……、場所を言ってもいいんだが」

「どうかしたんですか?」

「場所がな、学園でな、一般人は学園祭などでない限り。入ることを許されていないのでな」

 学園か~、どっちにしても入るから後でも良いかもね。
 未練も無ければ、会うこと事態今の私に取っては記憶だけの人だ。初対面といえる。

「お主が、どうしてもというなら入れよう」

「そこまではいいですよ、私は生きている事が確認できればいいので」

「そうか……、お主は母親の事になると冷たくなるのだな」

 そうなのかな? 私は、自分じゃ分からないけど。関係無いって思っているから他の人にとっては冷たく感じるのかも。

「私は変わりませんよ? 他の人と一緒で」

 国王が何か言いたげに、こちらを見ていたが。
 私は早々にその場を立ち去った。こんな態度を取れるのも、周りに誰も居ないからで。
 居た場合は普通に礼儀正しく接してるよ?

――マリアさん会いに行かないんですね――

『前世の母親でも、私は会わないわよ……。どっちにしても親にはいい思い出無いし』

――……何があったのかは、あえて聞きませんよ――

『そう、勝手にして』

――本当に、何時もの明るさは何処に行ったのか、分からないですね――

 冷たいのは、あってるかもしれない……。
 どうせ、死んでいても生きていても同じ反応だと思ったから。
 大丈夫よ、雨さえ降らなければ。

 王宮を出た時に誰かとすれ違った気がするけど。私は気づかなかった。

――――――――――――――

 国王ガルドは悩んでいた。
 実はマリアさんが来る時に実は呼んでいたのだ。
 彼女の母、ワンダ・トアネット・カールを。

コンコン

「入れ」

「……失礼します」

 入ってきた女性は、長い茶髪のマリアさんが、大人になったらこんな顔になる思わせるような顔立ちだ。
 瞳が茶色で、れっきとした普通の人間である。
 衣装は、綺麗でこの王宮にいても見劣りしない程の衣装で、凄く雰囲気とあっている。

「よく来てくれた」

「い、いえこちらこそこんな所に呼んでもらえて光栄です」

 彼女は、前に会った時と変わらず綺麗な肌をしている。
 会った、きっかけは貴族に見捨てられていた所を偶然助け、今の状態まで整えさせた。
 娘のマリアは11歳まで育てたと言っていた。
 その当時の私は、半魔族の少女の事だとは思っていなかったため。気づかなくてよかったと思った。

「それで、娘は元気か?」

「い、いえ分かりません」

 私も意地悪な言い方をした。彼女がマリアを捨てたことを知っている上。マリアがここに暮らしていることは話していない。
 ただ、彼女の顔はなんだか困惑した様な顔だった。
 思い切って投げかけてみる。

「そうか、どんな育て方をしたか聞いてもいいか」

「え? は、はい……普通に円満に過ごしてましたよ?」

 嘘だ、王の仕事をしていると、嘘を見抜けてしまう。
 それ以前に円満ならマリアを捨てる必要がないからだ。

「そうか、今日は街を周り、泊まる所を王宮で用意しよう……、帰る支度も用意しておこう」

「そ、そこまでされなくても」

「いや、こちらが呼んだのだ、それくらいさせてもらおう」

 そういって、押し切る。

「まぁ今日の所は、街並を見るといい」

「は、はい……それでは失礼します」

 そう言って、彼女は王の間を後にした。
 1人になったのを見越して私は溜息を付く。

 マリアは何があったというのだ、母親の様子は不自然なところがあったが、虐待しそうな性格じゃなさそうだが。
 そう思ったが、顔を振って少しの間、目を瞑った。

――――――――――――――

「マリアさん、この果実どう? 買ってみない?」

「え? す、すみませんボッーとしてました」

 危ない危ない、話しかけれているのに。反応出来なかった。

「大丈夫? 調子悪かったら無理しないで休むんだよ?」

「ありがとうございます」

 そう言って、私は無理した笑顔で答える。
 私は、あの王宮から出てから、母親に会いたくなかった。
 何故かは分からない、けど会っては行けないと思った。

 頭を振り、何時も行っている。喫茶店に行く。

 辿り着き扉を開く。
 すると、笑顔でお爺ちゃんが出迎えてくれた。

「ほっほっほ、今日も可愛いの~ゆっくりしていっておくれ」

「はい、ゆっくりしていきます」

 お爺ちゃんは何かを察したのか、心配そうな顔でカフェオレを私の座った。カウンター席に置いて。
 私の隣の椅子に座って言った。

「何か辛い事があったら、儂に相談しておくれ」

「大丈夫ですよ、私は」

 誤魔化してしまった、でも大丈夫なのは本当。

 そういって、少し気が紛れた私は。いつものようにのんびりした。
 その様子を見ている、人影に気づかず。

――――――――――――――――

 僕は、偶然喫茶店に飲みに来ていた。
 けど扉を開けるとそこには、少し疲れたような、悲しい顔をしたマリアさんが居た。
 僕は話しかけようかと思ったが、そっとしておこうと思った。

 そういえば、マリアさんは国王に用事があるとか言っていた。
 そんな事を思っていたら、僕は王宮に向かって歩いていた。

 その時、誰かにぶつかってしまった。

「す、すみません」

「だ、大丈夫ですか?」

 ぶつかって倒れた人を手を引いて立たせると。
 綺麗な顔で、マリアさんに凄く似ていた。もし、彼女が大人になったらこんな顔じゃないかな。
 僕はこの人がマリアさんの母親なのを確信した。

 呼び止めようとしたけど、その人は走って去っていった。

 追いかけようかと思ったが、その思考を振り払い。王宮に入っていく。
 2度目なので、迷ったが。メイドさんに連れられなんとか、王の間に着いた。

コンコン

「入れ」

「失礼します」

 僕は返事をもらえたため、王の間に入る。
 すると、少し疲れた表情で国王は目を瞑っていた。

 目を開け僕に、問うた。

「ケルト殿、何故こんなところに」

「マリアさんがここに来ていたらしいので、どんな話しをされたのかと」

 ふむ、といい国王は、少しを間を開けてから。
 僕なら話してもいいと思ったのか、語り始めた……。
 マリアさんの話しと……マリアさんの母親の話を。

「そんな事があったんですか」

「うむ、マリアが母親に対して、冷たく言い放っていたのも気になるのでな」

「そうですね……」

 彼女は、どんな人にも優しく、誰にでも手助けをする人で。好奇心旺盛の元気な子だ。
 それが僕が惹かれた理由でもあり、一番好きなところだ。
 その彼女が冷たく、死んでいてもいいような対応したという。

「勝手に詮索するのは私はしないが……、どうも可笑しいのだ」

「何がです?」

「母親だが……、若すぎるのだ……結婚したとしてもあの姿は……」

 確かに街で会った時、若い女性に見えた。
 それは、若くして産んだ可能性もあったから。

「機会があれば調べたいと思います」

「頼む……、もしかしたら我らに話していない。彼女の闇の影があるかもしれん」

 そんなことあっては欲しく無いと思う。
 どんな事にも明るい彼女に……。

「僕はこれで、失礼します。用事があるので」

「うむ、下がって良い」

 そう言って、エンカやメイドさん、執事などと雑談を交わし。
 夜になるかと言う時間の時。
 ナタルさんにお願いをした。

――――――――――――――――

 俺は、これからのんびりしようとする時間に、珍しい人物がやってきた。
 ケルトだ、彼は基本父親と住んでいて、ここに来る事はまずない。
 しかもここに来た理由は、お願いを聞いてほしいとのことだ。

「お願いだと?」

「はい」

 そう切り出すと、ハナが2人分のお茶を用意した。
 俺は、その内容に付いて聞くことにした。仕事じゃなく個人的なお願いだという。

「マリアさんが住んでいた小屋を詮索してもらいたいんです」

「住んでいた小屋だと? それは本人に許可が必要だろう」

「はい、許可をもらってから行ってもらって」

 なるほど、そうでもして調べなきゃいけない案件か。俺は、何か危険な感じをしたためハナを呼ぶ。
 俺の感は悪い方に当たるんだ、下手すれば闇に片足を突っ込むかもな。

「ハナ、こっちにこい。これはヤバイお願いかもしれない」

「どうしたの?」

 俺とハナはケルトの話を聞いた、国王の会話と……、マリアさんの母親の話。
 若すぎる件まで。

「不自然だ、結婚年齢は16だとは言え、お頭が狂ってた時に襲撃した。あの母親は当時は30超えていたはずだ」

「そうなんですね、もしあるとしたら小屋か屋敷に秘密が……」

「屋敷は焼き払われたはずだ、ならあの小屋か!」

 俺はハナと話、納得する。マリアさんの様子が変なのも気になる。
 話した時間は少ないとは言え、話を聞く限り。そんな表情は見たことない。

 ふぅ、と一息ついて、切り出す。

「よし、ハナこのお願いとやら受けるぞ!」

「はい、私もここまで聞いて後に引けません」

「ありがとうございます」

 俺は、もう貧民街にある家に戻っている。マリアさんに許可をもらいにいった。

 辿り着き、出てきたマリアさんは少し元気が無かった。
 それでも、受けたお願いだ。

「少し聞きづらいが……、お前の住んでいた小屋とやら調べてもいいか?」

「あそこの小屋ですか?」

 なんで? みたいな顔でこちらを見てくる。訳は後のほうがいいだろう。
 何が起こるかわからないしな。

「あぁ、一概にもお前が主だしな。許可をお貰わないと」

「いいですよ、私も何も調べもしなかったので。ちょうどいいです」

 そう言った、マリアさん事態何もしらない用だ……、いや忘れている可能性があるか。
 そんな予想を裏にマリアさんは無理をしている笑顔で。

「いってらっしゃい」

 と、いってくれた。俺とハナは今日の内に出発する。

 よく、冒険者でこの時間に入ったりするため。門は簡単に開けてくれた。
 一般人はこの時間普通は外出させてもらえない。危ないしな。

――――――――――――――――――

 私とナタルは森を駆け抜けていた。
 魔物が多く、いつも以上に強い魔物がウヨウヨしているからだ。
 走っていると、ナタルが愚痴をこぼす。

「クソッなんで、ここはこんなに魔物がいるんだ! しかもこいつらここらへんの魔物じゃねぇ」

「確かにおかしいですね、普通に考えて変種や特異種がいますし」

 すると、目的の小屋へ辿り着くと……。魔物がこちらを伺って、それ以上は進んでこなかった。
 好都合だと思うが、何故だかこの小屋を守るように命令でもされているようだ。

「確かマリアさんは、ここ一体の仲間でしたっけ」

「そうだったか、だがここを守る理由はなんだ? 普通は別な場所に移動したらそこを守るだろう」

 疲れて息を整えながら、ナタルは言い放つ。
 私も疑問には思った、ここに主はいないのに。手厚く守る理由は?

 疑問を振り払い、小屋の扉を開ける。
 そこには、綺麗に普通の家庭の様な雰囲気だった。

「なんだ普通にいいところじゃねぇか」

「そうですね、私はマリアさんの部屋をくまなく詮索するので」

「おう、そっちは任せた」

 私は部屋に入り、服など様々ところまで見た……。すると机の引き出しが1つだけボロボロだった。その引き出しを開ける。
 そこには、鍵が隠されていた。鍵についている札を見て、本棚を調べた。そこに鍵付きの本があった。鍵を外し、私は開くが白紙の本ではなく……。
 鍵が挟まっていたのだ。本棚の横に、鍵穴がありそれを開けると。本棚が横にスライドした下に凹みが。
 ある手帳だった。

 その手帳を手に、ナタルさんの元へ急いだ。

――――――――――――――――――――

「おう、そっちは任せた」

 俺はそう言って、ハナと別れる。

 キッチンや浴場、それぞれ見渡し。思った感想は、綺麗ということ。
 ただ、ここの雰囲気は異常に綺麗過ぎた。
 魔法だろうか、まぁ綺麗にするものくらいはあるだろう。

 何も無いか……、と思って壁の方に寄りかかってみる。
 ん? そこに違和感があった。

 何故かそこだけ、極わずかに歪んでいたのだ。魔法によってのものか、物理的なものか……それとも両方か。
 ナタルは神経を集中して、周りを観察する。
 魔法は必ず、陣が必要となる。それぞれ、器具となるように作ってある。
 それらを全て見つけた。
 場所の点と点で結び、陣とする魔法の方法だ。高度でもあり、並の人じゃ気づくこともないだろう。
 それを全て解除すると、小屋に異変が起きた。バチッという音共に、真っ暗になりすぐに電気が付いた。

 そこには、歪みの正体があった。黒い扉だ、しかも血塗られた。

「物騒だな、これはヤバイ匂いがプンプンしやがる」

「ナタル大丈夫!?」

 ハナが心配して、こっちに戻ってきた。手にはボロボロの手帳が握られていた。

「あぁなんとかな、そっちも……収穫あったようだな」

「はい、そっちも……これは……」

 ハナはこの扉を見て絶句していた、こんな綺麗な小屋に物騒な扉があったからだ。
 誰でも、びっくりはするだろう。

「行くぞ、ハナ」

「はい、気を付けてください」

 俺は、扉のドアノブを捻り開ける……。そこには想像を絶する光景が広がっていた。
 明かりは無かったが、部屋の明かりで少しは見える。血がそこらじゅうに撒かれていた。
 異常だと言える。臭いも魔物を沢山殺してきた俺たちですら、クラクラするほどだ。

「ライト」

 ハナが魔法を使い、その部屋を照らす。
 血だらけの手錠と鎖、鞭、など様々な拷問道具があった。
 床には、複数の血を吸い取る物だろうか。落ちていた。

 壁には、ナイフなどで傷をつけられた後があった。

「何かを示すものか?」

「恐らく回数かと、何のかは分かりませんけど」

「それにしても、酷いなこれは精密に魔法を施されていたってことは、何かここを隠したい事があるんだろう……、今のままでも十分だけどな」

 だが、ここで誰が何をされていた? 何のために? 予想が付くが、早計すぎる。
 そういえば、ハナが持っていた手帳は?

「ハナその手帳を開いてくれ」

「はい」

――――――――――――――――――

 私は、手帳を開く……。
 そこに書かれた事を、読み解いていく。

6歳の誕生日……お母さんが急に狂い始めた、何故か私は拘束され、動けなくした後……。
7歳の誕生日……お母さんが何かの本を持ち出し始め、同じ様に拘束した。ナイフで私の肌を傷つけ、熱心に……。
8歳の誕生日……お母さんが少し若くなった気がする、私にはそれが分からないけど、笑顔が怖くて何も聞けなかった。

 私は怖くなり、手帳を閉じた……。

「どうした?」

 ナタルは顔が真っ白の私に心配で声を掛けてきた。

「この、手帳は……彼女が必死に書いた親の拷問記録よ」

 そう言って、私はナタルに手帳を渡す。
 ナタルは受け取った手帳を見て青ざめ、怒りにも似た感情を表していた。

「クソッ! なんだこれは、実の娘を拷問した挙句、若返りのために血を取ったっていうのか?」

「重要な部分は血で濡れていたから分からないけど、恐らくそうでしょうね」

 だとすれば、体に傷が無いのは、彼女が半魔族だから。人間と違い回復力があるのだろう。
 彼女は覚えていなかったのか、誰にもこの事は喋っていなかった。
 恐らく記憶を消されたか……、記憶をなくしている。

「この事を知らせなければ……、なんとかしてこの事実を」

「はい、真の黒幕は母親って事ですね」

 私達は、仕掛けを戻し。手帳持ち外へでる。
 そこには、先程の真っ暗になった時に変わったのだろう。

 小屋は……、醜い拷問するような施設に変わっていたのだ。

「これが、偽りの楽園か……」

 ナタルが呟く、聞いたことの無い話だ。

「偽りの楽園?」

 私は聞く、魔法の一種じゃないかと思ったけど。聞いてみたかった。

「あぁ、物理と魔法の禁忌だ。全てを隠し、元の姿を変える。詳しい事はしらないが……多分違いない」

 私達は、ハッとなり周りを見る。魔物達が雄叫びをあげていた。
 そこに1人の物陰が飛び込んできた。

――――――――――――――――

 あの馬鹿息子に、お願いされたから来てやったら、とんでもねぇ状況に出くわしちまったな。

「大丈夫か、テメェら!」

「お頭! なんでここに」

「話は後だ! お前らここを切り抜けて、街へ戻るぞ!」

 そう言って俺は、唖然としている2人に喝を入れ。
 この魔物の軍団に相対する。

「チッ! 数が多いか、ここはアレを使う!」

グオォォォ――――――!

 咆哮と共に、襲い掛かってくる。

「スキル、英雄降臨!」

 俺の体が光る、手にはシンプルな剣が握られていて。飛びかかってくる魔物を避け、切りつけ。凌いでいく。
 切り開く道が見え、俺はハナとナタルを抱え走る。
 常人とは言えない速さで魔物を撒く。


 街に戻り、俺は一息着く。

「ふぅ、んで何があったんだ?」

 俺はハナとナタルの話を隅々まで聞く。
 なるほどな、元から訳ありだと思っていたが……、転生してから幸せな事1つすら無かったんだな。

 俺は、この事をまだ伏せておく様に言った。
 なぜなら、もし何かが起きるとしたら。間違いないく、これは重要な鍵になると思ったからだ。


次もおまけです。黒い獣の猫の名前付けです
1回ほとんど消えて、慌てて書き直ししました……。

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