半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

35話 盗賊の在り処

 俺は、マリアさんが捕まった後盗賊のアジトを探っていた。

 連れは、マリアさんの事を慕っていた3人組だ。
 捕まる3日前くらいからハナを情報収集に行かせている。

 マリアさんが天然だと思うが、貧民街のみんなを立ち上がらせ、商店街などに行きやすくなったため情報収集が一気に進んだ。
 ちなみに、言うが作戦の内容に入っていないからな?
 俺もここまで行動力のある人だと思っていなかった。

 作戦自体はアバウトで、パレード3日前くらいに捕まってそこからのはずだ。
 この結果には、ハナもびっくりしていた。
 それはそうだ、貧民街はもう陽の光を受けられない人が住み、出れば蔑まれる場所だ。

 それをたった3日で、変えやがった。

「「「ナタルの旦那、今日はどういった要件で?」」」

「あ、あぁ盗賊のアジトが絞り込めたようだから、これから偵察しに行こうと思ってな」

 この3人組は俺の事を旦那と慕ってくれているが、なぜだか腑に落ちない。
 こいつらに何もしてないのもあるが、憧れのような視線を受けるのだ。

 後、凄いハモるのでビックリする。

「ハナから報告は、不自然な人の出入りがある場所と、誰も手をつけていない洞窟だ……そこで2人1組でそれぞれ偵察する」

「「「俺はナタルの旦那についていきます!」」」

 やれやれそれじゃ、2人1組じゃねぇ。

「はぁ……、やめた。お前ら3人で誰も手をつけていない洞窟の方を頼む」

「「「え!? ナタルの旦那それは無いっすよ~!」」」

 こいつら本当は3兄弟なんじゃないか?
 同じ意見をハモらせるって凄いぞ?

 多分ビンゴは不自然な人の出入りの方だ。
 俺だけが行くのは、人数が多いほどバレる危険性があるからだ。

 実際に、後から合流することになっている。ハナもその方がやりやすいらしいしな。
 あっちは多分、魔物の住処の可能性があるが。
 様子を見て、人がいるなら交戦を避け、魔物がいるなら引き返すよう言おう。

「お前らは、人を見かけたら物陰に隠れ伺い、交戦は避けろ。魔物の場合は頃合いを見て戻ってこい」

「「「了解っす!」」」

 そういって3人組は、洞窟の方に向かった。

 ハナと俺は、盗賊がいた場合倒すが……、相手の実力が分からない上に情報が妙だった。
 俺は、ハナの部下の送り紙の一部を見て首を傾ける。

南の森に、不自然な人の出入りあり
そこには、時々黒いデカイ影が現れる
冒険者の様な身なりじゃない者がうろついている

 黒いデカイ影? 嫌な予感がする……、これは一回あの勇者親子に聞いてみる必要がありそうだ。
 俺の感は良くない方に当たるんだ。

 時々ということは、その魔物に占拠されているか……、そいつらが操っているかだ。

 もし、後者だった場合……俺ら2人じゃ歯がたたないのではないか。
 人、1人相手にするのだって大変だ。

 なんとしても、あの少女は救わないとな……。
 俺は貧民街を変えてくれた、あの少女に恩を返したい。
 半魔族だろうが、魔族だろうが関係ない。俺は恩を仇で返す気はない。

 国王には恨みしかない……、だけどあの少女がやるっていうなら俺はそれを手伝うだけだ。

 この先少女はどんな人生を送るんだろうな。

 あの親子が修行している方に歩きだした。


次は、視点戻ります……

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品