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半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

34話 失いたくない人

 僕は、女神さんからの報告を受けた。

 約束の日は近く、やらなければならないことがある。
 もし、僕がマリアさんだけを助けたとしても。マリアさんは納得しないだろう。
 下手をしたら、自分を犠牲にしてまでも。

 報告を聞いたときは、焦ったし助けに行こうとした。
 けど、それじゃダメなんだ……、彼女はそれを今は望んじゃいない。

 そんなことを思っていると父が話しかけてくる。

「どうした? 今日はやめておくか?」

「いや、まだ続ける」

 僕はこの時までに鍛えてきた。
 盗賊の件、国王の件、女神の件全てを受け入れ。彼女についていこうと思ったから。

 ナタルさんとやらは、今盗賊の出処を探している。
 見つけ次第、殲滅または捕縛し国王暗殺を無くす。

 僕はその後のマリアさんの救出に任命された。

「親父は、守りたかった人はいたの?」

「あぁいたさ、そしてまだいる……」

 そういって、父は空を見上げ悲しげな顔した。
 母は、父が洗脳を受けている間、僕を匿いそして病に侵され他界した。

「お前だ……、セシリアもそれを望んで自分の体調を顧みずお前を育てたんだ」

 セシリア・シライシ僕の母だ。
 優しく、プライドも高い母だけど、父と僕には優しくしてくれた人だ。

「僕は守りきれるのだろうか? 彼女を……」

「なんだ、俺に啖呵を切ったのに、いじけ付いたか?」

「そうじゃない、もしできなかった時が怖いんだ」

 そう、怖い……僕はマリアさんや父の前では気丈に振る舞っているけど。
 僕は臆病なんだ、愛してる人が傷つくのを恐れ……自分じゃ無理なんじゃないかと怖気づいてしまう。

「そうか……、お前は昔から臆病だったな、でもな」

 そう言って、父は僕に手に持った剣を突き出し……人を守るという意思を、その強い瞳で僕に訴えてきた。

「変わるんだ、あの嬢ちゃんも言っていただろ? 人は変われる……こんな屑な俺でも変わったように」

 ニッと父は笑ってみせると、僕は頷き……目の前の大きな父と同じように剣を構え……。
 意思の篭った瞳で見つめた。

「お、やっとやる気になったか」

「親父、僕は変わるよ彼女を守れるように……、隣で歩けるように」

「そうだな、あの嬢ちゃんは手強いぞ~、俺でも目を離しちまったら、何処へでも言っちまいそうだ」

 違い無い……、そんな彼女が一番好きなんだ。
 どんな事になっても、一緒に……そして彼女を守ってみせる。

「「ははは!」」

 僕と父は笑った、僕はマリアさんの事を……、父は母の事を思い出して。

「それじゃあ時間も限られてきたからな! 本気でやるぞ!」

「望むところ!」

 そうして、僕は死刑が行われる前日まで修行をする。
 この先にどんな結末や出来事が起こっても、彼女が生きている限り。


次は、ナタルさんの方では

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