半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

25話 恋する男子と鈍感の少女

3日程、3時に予約投稿にさせてもらいます
誤字修正しました


 私は、2人をカウンター席に案内し座らせる。

「マリアさん今日はその……、服装可愛いですね」

「ありがとう、今日はこのお店でお仕事してるんです」

 ケルトさんに服を褒められるなんて、始めてかもしれないけど。
 あれ、でもなんか少し顔が赤いような。

「ほんとにお前は、俺と似て素直になれねぇのな」

「何のことですか! 父さん、僕は素直になれないなどでは」

「まぁまぁ2人とも落ち着いて」

 何の話だか分からないけど、少し気になる。
 後でこっそり、ケルトさんに聞こうかな。

「ほっほっほ、昔より仲良くなっているようで何よりじゃ」

「お爺さんはお2人の事知っているんですか?」

 私は、コーヒーとカフェオレを運んできたお爺さんに聞いてみる。

「そうじゃの、息子さんが5歳の頃までは両親は凄く仲が悪くての」

「5歳のある時、仲直りしたようでの、儂は嬉しい限りよ」

 そうなんだ、連れられた、あの家の地下で言ってた事と重なるね。
 そんな事話していると、ハナさんが。

「結局、どうだったんですか?」

「普通に惚れてるな、ありゃ片思い気味だが、今から頑張れば押せるだろう」

「ん? 何の話してるんです?」

「お嬢ちゃんは早く気づいてやってくれな」

 また、謎のやり取りが聞こえたので、聞いてみたけど。何を気づけば良いんだろう?
 心なしか、ケルトさんが赤くなって、ミナトさんを睨んだり。私を見て落ち込んでたりしてる。

「あ、ミナトさんちょっと聞きたいことあるので、外で話しませんか?」

「あぁ構わん、お前らはここでのんびりしててくれ」

 私とミナトさんは外にでる。
 店の扉を閉め、改めて聞いてみる。

「それじゃ……」

――ちょっと待った~!――

「どうしたのよ、女神」

「修行の時から思ってたが、騒がしいな」

――何を話すか内容が分かってるので止めましたよ!――

「あれ? ダメだったの?」

――スキルの事ですよね?――

「違うわよ」

――あれ? じゃあ転生とかの話しですか?――

「そうよ」

「そのつもりだったが?」

――なんだ、気にして損したじゃないですか~――

 この女神は、なんでスキルの事を隠すのかは、分かるけど。
 そういえば、ケルトさんのスキルって何だろう?

「気を取り直して、ミナトさん転移者じゃありませんか?」

「あぁ、そうだよ。15歳にここに来て今35歳だ」

 結構こっちに来てから、時間経ってたのね、35歳か~全然そうに見えないくらいイケメンだ。
 それじゃ、他にもいるってことかな?

――他に転移者がいる? という質問には、いませんとかしか言えませんよ――

「まだ何も言ってないじゃない」

――マリアさんはわかりやすいので――

「私そんなに分かりやすい?」

「あぁ、さっき会ったばかりだが表情や、動きがオーバーで分かりやすい」

 え? そんなに、分かりやすい表情や仕草してたかしら。
 むむむ、少しくらい押さえて過ごさないとダメかな。

「それはそうと、お嬢さんは転生者だろ?」

「はい、そうですね。26歳で交通事故にあって、命を落としました」

「そうか、こっちの世界の父親の事もすまないな」

 こっちの世界のって事は、5歳の時かな。
 でも私にとっては知らないし、もし殺されたとしても恨みはしなかったと思う。

「大丈夫ですよ、私はこういう性格なので恨みもありません」

 私は胸を張って答える。
 女神が余計な一言を言ってくる。

――小さな胸で張ったって、しょうがないですよ――

「女神……、少し出てきなさい。貴女の頭かち割ってあげるわ」

――嫌ですよ、そんな事しても胸の大きさは変わりませんよ――

「女神……、料理食べさせないわよ……ショートケーキ作ったのに」

――え!? 欲しいですから、本当に許してください、すみません――

「はははっ! 女神とそんなに仲良しだったんだな」

「こっちは、転移したら女神に何から何まで命令されてたからな」

 彼の過去に何があったんだろう?
 でも、今は幸せな顔しているので、聞かないでおこう。

 聞きたいことも聞けたし、満足。
 私たちは店の中に戻った。


次は、外で話している間の中のお話。

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