混じり《Hybrid》【新世界戦記】
療養 3
「おはようリオールさん」
「おはようございます。テツ君」
二人共、昨夜は余り寝ていないのであろう、疲れた顔をしていた。しかし心なしかすっきりした表情にも見える。
「とりあえず朝食にしましょう。しっかり食べないと元気が出ないわ」
「はい」
二人は宿屋の食堂に向かった。席に着くと直ぐにテツが話し始めた。まだ朝食は運ばれていない。
「明日、フロンの手術が終わったらポートモレスビーに向かいます。なので今日は忙しくなると思うのでよろしくお願いします」
「えっ!・・・・・早い方が良いと言ったのは私だしね。わかったわ。食べながら聞きましょう」
朝食が運ばれてきて、二人は食べながら話しを続けた。
「朝、病院で明日の手術の話しを聞いた後は、今日は一日ダウアン村で旅の準備をしようと思っています」
「そうね、お嬢様の方は私とセルヒラードに任せてくれていいわ。お嬢様には」
「今晩、話そうと思っています」
「昼間、私の方からもそれとなくは伝えておくわ」
「はい。お願いします」
二人はそれからも今後の事について色々と話しながら、1時間程の時間をかけてゆっくりと朝食を済ませた。
その後、リオールは昨晩用意しておいたフロンの着替等を部屋に取りに戻り、二人は揃って病院に向かった。
病院でセルヒラードと合流して、ネーナに手術の詳しい説明や手術後の注意点等を聞いた。その席でテツはネーナとセルヒラードにも、自分だけポートモレスビーに向かう事を伝えた。
セルヒラードの発案で、グリード氏所有の馬はここで売却する事に決めた。テツとセルヒラードは宿屋に戻り、セルヒラードは一旦宿屋で休み、テツは2頭の馬を連れてダウアン村に向かった。
リオールはひとりフロンの病室に行き、フロンの看護をする。そして、昼食の際にテツの事を切り出した。
「・・・・・。そうね、今のテツにはひとりの時間が必要だと私も思うわ」
「だけど・・・。いえ何でもない」
フロンは同意はしたが、戸惑っている様な表情を見せた。不安なのだろうと思い、リオールは励ます様な口調で続けた。
「お嬢様の事は私とセルヒラードでしっかりと支えていきます。テツもいなくなるといっても二月とかからずに戻ってきますわよ」
「そうね。直ぐに戻って来るものね」
リオールに心配かけてはいけないと、フロンは精一杯元気に答えた。
確かにリオールが思っているように、テツがついていてくれない不安がフロンにはあった。だが、フロンが感じている不安はそれだけではなかったのだ。
フロンはテツが直ぐには帰ってこないと思っている。テツの事だから、自分のせいでという思いが消えるはずがない。そしてきっと、自分を鍛え直し、自分に自信を取り戻すまでは、私の元に戻って来る事はないとフロンは思っているのだ。
フロンにはテツ以上にテツの事がわかっている自信があり、きっとそうなるだろうという確信があった。だからといって、旅を続ける事を止めても、それがテツにとって良い事ではないのも理解していた。
フロンは自分の考えが杞憂に終わる事を願って、テツを送り出す事しか出来ないのだ。
「そういえばリオール、あれは宿屋にあったの?」
「えっ、あれって?」
「忘れ物の事よ。事件の前にテツと取りに戻ってもらったじゃない」
「あっ!ええ、ちゃんとありましたよ」
「持ってきてもらえないかしら、今晩テツに渡しますから」
「・・・、わかりました。しかし、テツ君がまた、自分のせいだという思いを強くしませんか?」
「そうかもしれないけれど、あれだけは別れる前に渡しておきたいのよ」
「わかりました。宿屋に置いてあるので、とってまいります」
「お願いね」
話しながら昼食を済ませたリオールは宿屋に戻り、しばらくしてセルヒラードと一緒に病室に戻ってきた。
リオールはフロンに忘れ物を手渡すと、直ぐにまたポーナと共に出掛けていった。
この後フロンは、明日の手術の準備の為の医療魔術をネーナに施される。それが終わるとセルヒラードが傷の経過をネーナに診察してもらう事になっていた。
「おはようございます。テツ君」
二人共、昨夜は余り寝ていないのであろう、疲れた顔をしていた。しかし心なしかすっきりした表情にも見える。
「とりあえず朝食にしましょう。しっかり食べないと元気が出ないわ」
「はい」
二人は宿屋の食堂に向かった。席に着くと直ぐにテツが話し始めた。まだ朝食は運ばれていない。
「明日、フロンの手術が終わったらポートモレスビーに向かいます。なので今日は忙しくなると思うのでよろしくお願いします」
「えっ!・・・・・早い方が良いと言ったのは私だしね。わかったわ。食べながら聞きましょう」
朝食が運ばれてきて、二人は食べながら話しを続けた。
「朝、病院で明日の手術の話しを聞いた後は、今日は一日ダウアン村で旅の準備をしようと思っています」
「そうね、お嬢様の方は私とセルヒラードに任せてくれていいわ。お嬢様には」
「今晩、話そうと思っています」
「昼間、私の方からもそれとなくは伝えておくわ」
「はい。お願いします」
二人はそれからも今後の事について色々と話しながら、1時間程の時間をかけてゆっくりと朝食を済ませた。
その後、リオールは昨晩用意しておいたフロンの着替等を部屋に取りに戻り、二人は揃って病院に向かった。
病院でセルヒラードと合流して、ネーナに手術の詳しい説明や手術後の注意点等を聞いた。その席でテツはネーナとセルヒラードにも、自分だけポートモレスビーに向かう事を伝えた。
セルヒラードの発案で、グリード氏所有の馬はここで売却する事に決めた。テツとセルヒラードは宿屋に戻り、セルヒラードは一旦宿屋で休み、テツは2頭の馬を連れてダウアン村に向かった。
リオールはひとりフロンの病室に行き、フロンの看護をする。そして、昼食の際にテツの事を切り出した。
「・・・・・。そうね、今のテツにはひとりの時間が必要だと私も思うわ」
「だけど・・・。いえ何でもない」
フロンは同意はしたが、戸惑っている様な表情を見せた。不安なのだろうと思い、リオールは励ます様な口調で続けた。
「お嬢様の事は私とセルヒラードでしっかりと支えていきます。テツもいなくなるといっても二月とかからずに戻ってきますわよ」
「そうね。直ぐに戻って来るものね」
リオールに心配かけてはいけないと、フロンは精一杯元気に答えた。
確かにリオールが思っているように、テツがついていてくれない不安がフロンにはあった。だが、フロンが感じている不安はそれだけではなかったのだ。
フロンはテツが直ぐには帰ってこないと思っている。テツの事だから、自分のせいでという思いが消えるはずがない。そしてきっと、自分を鍛え直し、自分に自信を取り戻すまでは、私の元に戻って来る事はないとフロンは思っているのだ。
フロンにはテツ以上にテツの事がわかっている自信があり、きっとそうなるだろうという確信があった。だからといって、旅を続ける事を止めても、それがテツにとって良い事ではないのも理解していた。
フロンは自分の考えが杞憂に終わる事を願って、テツを送り出す事しか出来ないのだ。
「そういえばリオール、あれは宿屋にあったの?」
「えっ、あれって?」
「忘れ物の事よ。事件の前にテツと取りに戻ってもらったじゃない」
「あっ!ええ、ちゃんとありましたよ」
「持ってきてもらえないかしら、今晩テツに渡しますから」
「・・・、わかりました。しかし、テツ君がまた、自分のせいだという思いを強くしませんか?」
「そうかもしれないけれど、あれだけは別れる前に渡しておきたいのよ」
「わかりました。宿屋に置いてあるので、とってまいります」
「お願いね」
話しながら昼食を済ませたリオールは宿屋に戻り、しばらくしてセルヒラードと一緒に病室に戻ってきた。
リオールはフロンに忘れ物を手渡すと、直ぐにまたポーナと共に出掛けていった。
この後フロンは、明日の手術の準備の為の医療魔術をネーナに施される。それが終わるとセルヒラードが傷の経過をネーナに診察してもらう事になっていた。
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