戦闘力?皆無ですが防御力とトラップには自信があります。

ブラック兄者

帰還、旅立ち涙とともに

同胞が消えていく中ただ戻るかもわからない主の帰還をこいつは一人で待ち続けていだたて言うのか?そんな事普通できないぞ。

よほどノノの奴は慕われていたことが伝わってくる。

しかし、オレもノノも全く実感が湧かないのだ。

「すみません、主に再び再会出来たことが嬉しく少々私のつまらない話をお聞かせしてしまいましたね、どうかお気になさらず忘れて下さいませ。」

そんなに重いこと聞かされてサラッと忘れられるかボケー!

「ううん、私はカムちゃんの事正直覚えてないんだけど・・・私の事そんなに待っていてくれてたんだもん絶対に忘れないんだから!」

「・・・恐悦至極にございます。」

カムの声色は先程とあまり変化は無いのだがどこかノノの言葉を噛み締めるように喜びの言葉を口にする。オレはカムの頬に光る物を見た気がする。それは肉体が消失した彼には流れる物ではなく、無意識にそう感じたのだと思う。

「シート様、ノノ様。これはご提案なのですが今後の活動拠点。ここに移されたら如何でしょうか。幸いこの施設の設備はまだ生きていますし、何より昔お二人が拠点に使っていた場所の一部となっております。所有者の変更はすぐに終了します。」

「えっ?昔使ってたのオレ達?メッチャモンスターに襲われたんですけど!」

「すみません、主の帰還されるまでの間あまりに暇でしたので機獣を何体か作成しておりました。しかし、流石はお二人。この世界の住人では大規模討伐パーティーを組まなければ討伐が難しいレベルの機獣、あっさりと撃破するとは一段と強くなられましたね。」

「おい待て、そんなに強い奴をけしかけたのかお前はぁ!」

カムが放ったという機獣に対してオレは素直に思った怒りをぶつける。なんて言ってもオレ一人だと全く持って戦闘力が皆無だからな!

「あのロボットってそんなに強かったんですか?一発でスクラップになちゃったんだけど・・・」

一体何を言っているんだこの娘は、仮にカムが言っていたことが確かならレイドボス級のモンスターだぞ?それを一撃で粉砕したって何を言っているんだ、オレは驚きを通り越してただ呆れる事しかできなかった。

「流石ノノ様、私もモニターで見ていましたが圧巻の一言に尽きる戦いでした。しかし、シート様も流石でした、ご自身がおっしゃっているほど貴方様は弱くはありませんどうか自身を持って頂きたいです。」

確かにレイドボス級の機獣は倒せたが、それは場所と運が良かっただけだろう。手札の周りも良かったし別の札だったら敗北する確率も高かっただろう。

「しかし、大規模討伐パーティーを組まないと討伐が難しいっていう割には簡単に倒せたのはなんでだ?」

通常オレの思う大規模討伐と言うのは対象のモンスターの体力が尋常じゃないほど高く、攻撃力、防御力も高い物を連想するのだがこの世界では違うのだろうか?

「本来ならばシート様がご想像されているようなモンスターに大規模討伐依頼が発生するのですが、機獣、機人はそう言った強さではなく「知力」の高さゆえにその様な依頼が発生するのです。」

「知力が高いつっても簡単に罠にかかったぞあいつら。」

「それはシート様、ノノ様が使っている「スペル」と言う力がこの世界には存在していないので対処が出来なかったのだとでしょう。」

フム初見殺しにあったと言うわけか、わかりやすい。オレはただただ納得する。

「「スキル」と「スペル」の違いは私が知る限りの情報を少しずつ説明して差し上げますのでこのお話はまたの機会に」

そう言うとカムはこの話を一旦終わらせた。

「カムちゃんって今コアユニットって言うものの中にいるの?」

「ええ、左様でございますが如何なされましたか?」

「えーっとね、せっかく再会出来たんだから一緒にいたいなーと思って・・・」

ノノはカムに一緒に行きたいと伝える。それはオレも同じ考えであった。

「・・・私で宜しいのでしょうか?」

カムはここに一人で残り帰りを待つつもりだったのだろう、予想外の展開だったのかカムは驚きを隠せない様子だった。

「ああ、オレもカム。お前と一緒に行きたいぜ?」

「しかし、私は肉体を失った身。このままではここ離れることが出来ません、故にご一緒することは・・・」

「カムちゃんのコアが収まる場所があれば大丈夫なんだよね?ならこれがあるから大丈夫だよ!」

ノノはオートマタのフレームを取り出す。

「ちょっとパーツがないけど・・・この中に入ることが出来ればきっと大丈夫!」

どこから来る自信か全く分からないのだが兎に角自身有り気に答えるノノ。実はオレも同じことを考えていた。根拠はないが。

「良いのですか?この中に入ると言うのとは機人として行動することになります。周囲にそのことがバレると貴方達にとてつもなく迷惑をかけてしまいます・・・」

「そんなこたぁ気にすることはねえよなぁ、ノノ!」

「うん!!」

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