異世界ライフ 〜異世界の自分を自分で救ってみました〜

スーナ

トーラス学園⑪

 下手くそな文章ですが、読んでいただきありがとうございます。読んでくださっている方がいる間は早めの更新心がけます。
 読みやすい文章を書けるよう指摘等して頂けると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします(*´ω`*)
※登場する人物が多いので人物設定とかも上げていこうかと思います。

2018/09/30 誤字修正



「いらっしゃいませ〜、何名様——っ!?」

 対応してくれた店員は、入店してきたダブル達を見ると固まってしまう。固まってしまった店員を見ながらミールはあごに手をあてた。

「君は確か……同じクラスの……そう!  『ヒミ・ラビッツ』さんじゃないか。そうか、ここのお店の名前『ラビッツ亭』は君の家だったのか」
「わわわっ!! ミール様にウェラ様まで!! そ、そうなんですよー。見窄らしいお店ですがゆっくりしていってくださいー」

 
 ヒミさんはこちらの世界では珍しい黒髪で瞳は紫色をしている。そんな彼女はスタイルが良く、みんなも目をひいてしまうほどの巨乳だったのだ。
 そのヒミは今は営業スマイルが崩れ、苦笑いをしていた。

(あぁ〜、よりにもよってなんでクラスメイトの貴族がくるのよ〜。こんな見窄らしいお店が家ってクラス内に広まっちゃうじゃんか! 明日からバカにされるんだろうな〜)

「では、こちらの席でお願いします。ご注文がお決まりになりましたら呼んでください」


 ヒミは足早にその場を離れ仕事に戻っていった。そしてダブル達は置いてあるメニューを開き注文を選び始める。


「みなさんは何を頼むか決まりましたか?」
「おう、決まったぞ」
「ボクもミールも決まったよ」

「それではヒミさんを呼びますか。ウェラさんそこの魔道具で——」
「ヒミさーーーーんっ! 決まったよ〜」


 ウェラが貴族あらぬ呼び方でヒミさんを呼び、ミールが驚愕する。呼ばれたヒミさんは顔を真っ赤にしながらこちらにきた。


「あの、ウェラさん。次からはそこの魔道具で呼んで下さい」
「ごめんごめん、気付かなかったよ、テヘッ」
「『テヘッ』じゃないだろ。ヒミさんすまなかった。ウェラは昔からこうなんだ」

「…………フフッ、アハハハハッ。——あっ!! 急に笑ってしまって、すみません!! 私の思っていた貴族と違ったので、つい…………」

 やってしまったと、ヒミは全力で頭を下げる。


「構わないさ。それにクラスメイトだ、他の貴族の者はわからないが、私達にはくだけた感じで接してくれて問題ないぞ」
「はい、ありがとうございますミールさん」

 ヒミはいつのまにか自然な表情で笑えるようになっていた。そして彼女は厨房に戻り料理を持って戻ってきた。


「お待たせしました。こちらビポックのステーキです」
「こ、これは美味そうだな……」

 ミールとテッツは軽く500gは超えているだろうステーキを頼んでいた。圧倒的な大きさにダブルはつい突っ込んでしまう。


「2人ともそれ食べきれるんですか?」
『もちろん!!』
「それならいいのですが……」

 続けて別の料理が運ばれてくる。


「こちらはビポックのお肉を使ったシチューです」
「こ、これは!!」

 出されたシチューの中には角煮サイズのお肉が入っていた。ダブルとウェラは今にもシチューの熱で溶けてしまいそうな角煮サイズのお肉をみて喉を鳴らした。


「お、大きいね……こんなの初めてだよ」
「確かにこれは凄いですね」

 全員分の注文が揃いヒミさんがその場を離れようとした時、テッツがダブルに疑問をぶつけた。


「ところでさ、ダブルは仮面付けてっけど、どうやって食べるんだ? 流石に外すのか?」

 ウェラは一度一緒に食べているから知っているが、あえて何も言わず様子を見ていた。そしてミールはダブルから目を離さずずっと見ている。ヒミさんに関しては戻ろうと背を向けたまま立ち止まっていた。——多分気になるのだろう。


(今日のお昼もこんな感じだったっけ、いっそのこと正体を!! ってそんな訳にもいかないか〜)

  ダブルは気にするのも面倒になり、仮面を少し持ち上げ食べ始めた。全員覗いてくるがやはり仮面の下は暗く何も見えなかった。
 ミールは見えないならしょうがないかと素直に諦め食事を始めた。まぁ当然の反応といえば、当然の反応だろう。男が野郎の顔をそこまでしてみたいと思う人の方が少ないだろう。


「ん〜!! これ凄く美味しいです!! ウェラさん食べてみてください」

 ダブルはあまりの美味しさに、自分ですくったシチューをウェラに食べさせようとする。


(——こ、これってもしかして間接キス!?)

 そんなことを思ったウェラの顔が一気に赤くなり、ゆでダコ状態になってしまう。ウェラはこの空気に流されそれを素直に受け入れようと目を閉じ、口を開いた。

 


「ダブルさん……これはどういう状況か説明していただけますか?」

 ダブルは聞き覚えのある声が聞こえると同時に背後に殺気を感じたので振り返って見る。とそこにはジト目でこちらを見ているエスティがいた。その後ろには侍女のアティ、それにススゥもいたのだ。
 ダブルは全身から一気に汗が湧き出てくるのを感じる。

「えっと、これはですね……料理があまりにも美味しくて……つい……」
「まぁいいでしょう。すいませんがダブルさんを少しお借りしてもよろしいでしょうか?」

「Rクラスのエスティ・ノワール……だと……」


 ミールはRクラスでも有名なエスティを目の前にして緊張してしまい何もいえなくなってしまっていた。それに気付いたのかテッツが答える。

「そんな長くならなければ問題ないぞ」
「こいつ、エスティ様になんて口を——!!」

「いいのよススゥ。ダブルさんの友人なんですからそれくらいは構わないわ。悪いですが少しお借りしますね」

 ダブルはエスティ達の席に連れていかれてしまった。
 
「なぁ、テッツ」
「ん? なんだ?」

「エスティ様とダブルってどういう関係なんだ?」
「詳しくは知らないが、ただならぬ関係なんじゃないか?」

 ダブルが戻るまでの間、残った3人のテーブルからは変な空気が漂っていたのは言うまでもないだろう。






 一方、連れてこられたダブルはエスティ達と相席させられていた。だが、一番最初に口を開いたのは彼女達の誰かではなく連れてこられたダブルだった。


「最初に謝罪させてほしい。サクとの戦いの後、何も言わずに姿を消して、本当にごめん!!」


 エスティは頭を下げているダブルに半ば呆れ混じりの表情になり、ススゥに『どうするの?』と尋ねる。


「……別に……もういいわよ…………」
「ススゥ、ありがとう」

「よかったわね。それではこちらも本題に入るのですが、ダブルさんはクラス対抗戦に出場するのかしら?」


 許してもらえ安堵しているダブルに、エスティが別の話題をふってきた。その内容は帰り際に先生から話のあったクラス対抗戦のことだった。
 エスティにとって真剣な話なのか真面目な顔をしていた。


「クラス対抗戦ですか? 私は出場しませんよ」
「そうですか、その理由を聞かせてもらっても?」

「私は平民ですし、私以外に適任な人がいるからですかね」


 バンッと机を叩く音が響く……。
 何事かと周りは振り向いてくるが、エスティは気にすることなく殺気混じりに言ってくる。


「ふざけているのですか? この学園では平民や貴族は関係無いはずです。それに、あなた以上にっ…………」


 エスティは岩山での戦いを思い出す。そう彼女はあの戦いからダブルを目標に日々努力してきたのだ。
 そして目標の人物と真剣に戦えるチャンスが目の前にある今、ダブルに追い付きたいそして追い越したいという気持ちが抑えきれなかったのだ。


「……あなた以上に、適任な者がいるわけがありません…………」
「エスティさんの気持ちは理解しました。ですが出場するかどうかはクラスメイトと一緒に考えて決めることです」

 ダブルの言っていることが正しくエスティは何も言い返せず、下唇を噛み何ともいえない表情をしていた。


(このままだと、また決闘シュテルンシュラハトを申し込まれそうな勢いだな)

「わかりました。もし、私が選ばれたら拒否せず出場することを約束します」
「約束しましたからね」


 ダブルは席を立ち、それではと会釈をしテッツ達がいる席へと戻った。




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