異世界ライフ 〜異世界の自分を自分で救ってみました〜
冒険者③
2018/06/026 誤字修正しました。
「はい、治療完了です!!」
「あ、ありがとうございます」
  ここは、冒険者組合にいくつもあるうちの一部屋である。そこでダブルは、コヒーさんに手当てをして貰っていた。
「とりあえずは、初の依頼達成おめでとうございます」
「よかったー、討伐部位があんな状態だったからだ、ダメかもと思いましたよ」
そう、ダブルは雷魔法で討伐したため、持って帰ってきた討伐部位は全て黒焦げ状態だったのだ。--とてもじゃないが、なんの討伐部位かわからないくらいの状態になっていたのだ。
「ただ……」
「……ただ?」
コヒーさんの歯切れの悪い言葉に、ダブルは首をかしげる。--そんなダブルに、コヒーさんは背中を向け、わざとらしく疑問を口にし始めた。
「確かダブルさんは、使える魔法は土魔法だけだったような気がするんですよね〜。どうやったら土魔法であんな黒焦げ状態にしたのかなーって」
「それはっ…………」
(やばい! 逃げることに必死で言い訳考えてなかった!!)
チラッと見ると、言葉を詰まらせ必死に言い訳を考えているダブルの姿があり、この辺で勘弁してあげるかとダブルの方に向き直った。
「大丈夫ですよ。冒険者カード発行した時点で、なんとなく予想はついていましたから」
「へ……!?」
「あなた、多属性持ちなんでしょ?」
「----っ!!」
  
(なんでその事を知っているんだ!?  誰にも話していないし、見られてもいないはず…………)
仮面越しでも分かるくらい、明らかに動揺し焦っていた。「もしかしたら自分の素顔も!?」と段々と迷走していってしまう。
「なんでって思ってるでしょ? さっきも言ったけど、冒険者カード発行する時に分かったんですよ」
「どう言う事でしょうか?」
コヒーさんは細い指を立てながら、理由を話し始めた。
「冒険者カードに属性力を流したの覚えてますか?  冒険者カードは流し込む属性によって色が変わるのです。例えば、火属性でしたら『赤』、水属性でしたら『青』のようになります。」
ダブルは黙ったままコヒーさんの説明を聞き続ける。
「先ほど例に挙げた属性を持っていた場合、冒険者カードの色は混ざり『紫』になります。ここまでの説明で、ご理解できましたか?」
「理解できましたけど、もっと早く説明してほしかったです。ちなみに今は複数属性持ちは何人くらいいるんですか?」
「正確な人数はわかりませんが、少なくとも10人はいると思いますよ」
(バレると厄介ごとに巻き込まれそうだし、コヒーさんに相談するのがいいか)
「あまり知られたくないのですが、なんとかなりませんか?」
コヒーさんはあごに手を当て考え始めた。ダブルはその姿をみて、考え事してる顔も綺麗だなと、くだらない事を考えていた。
「そうですね……それなら偽造しちゃいましょうか」
「えっ!?」
「ダミー色のカードを作っちゃうんです!!」
まさか冒険者組合の職員から、そんな提案されるとは思わず、つい驚いてしまう。
ダブルはできるのならしてもらいたいと思うが、ダミー色のカードを作ることによってコヒーさんに迷惑がかかるとなると気が引けるので、一応大丈夫か聞いてみることにした。
「そんなことできるんですか? というか……バレたらやばいんじゃないですか?」
「そうですね。バレたら最悪、牢に入れられてしまいますね、フフッ」
(笑いながら言ってるよ!! この人大丈夫かな……)
「とりあえず、そのカードはどうやって作るんですか?」
「心配しなくてもいいわ。もう作ってあるわよ」
「ナント----!!」
そう言って、コヒーさんはポケットから茶色の冒険者カードを取り出し、渡してきた。
(ほんと何してんの!!  この人っ!!)
「そうだ!  ダブルさんに聞きたいことあったのよ!」
「ハァ」っとため息を吐き、どうせくだらないことだろうとコヒーさんに聞き返す。
「なんでしょうか?」
「………あなたの本当のお名前教えてくれるかしら?」
……………………
偽名を使っていることがバレたのかと、ダブルは一瞬固まってしまう。
(なんなんだろうこの人。とぼけてるフリしてるけど、察しがよすぎやしないか。だけど教えるわけにはいかない、ここはしらを切るらせてもらうか)
ダブルは絶対に正体がバレないように行動するとススゥと約束したにも関わらず、早速こんな状況になってしまっているのだ。
  そして、流石にバレるわけにはいかないとそのまま惚けようとするが、それよりも早くコヒーが恐ろしい事を言ってくる。
「嘘ついたら一緒に牢屋行きよ。黙秘も嘘と捉えるわよ」
コヒーさんは普通に笑顔を作って言ってくる。そんな彼女を見て、この人にだけは逆らってはいけないと、本能が訴えてくる。
「誰にも言わないって、約束してくれますか?」
「私はこれでも、冒険者組合の受付嬢です!  口はアダマンタイト並みに硬いですよ!」
(もうこの人は…………まぁ、そこが良いところで、彼女らしさでもあるのか)
「僕の名前は--ミズキだよ」
「ミズキ…………いい名前ね……。これからもよろしくね、ミズキ!」
「はい。よろしくお願いします」
それから治療も終わったという事で、2人で受付カウンターまで戻ると、周りの男冒険者からの視線が痛かった。
「はい、これが今回の報酬です」
「ありがとうございます」
ダブルは銀貨3枚を受け取り、とりあえず報奨金が貰えたことで安堵する。そして、組合の職員なら知っているだろうと、コヒーさんに寝床について聞いてみた。
「すいません、コヒーさん。宿について聞きたいのですが、一泊の料金ってどれくらいなんですか?」
「そうですね、基本的に宿の一泊の料金は7銅貨なので、今日の報酬で4泊はできるはずですよ」
(銀貨3枚で4泊か。このくらいの値段なら依頼さえ受けておけば、今後宿に困ることはないな)
「何から何までありがとうございます。また明日きますので、その時はよろしくお願いします」
「はい、ダブルさん。お待ちしておりますね」
ダブルは冒険者組合を後にした。
〜
確かこの辺に…………!  --あった!! ここがコヒーさんの言ってた『レムーラ亭』か。イメージしてたのよりずっと綺麗じゃん
ダブルはコヒーさんに勧められた宿にきていた。1時間ちょっと探しようやく見つけたのがこのレムーラ亭なのだ。そして、早く休みたいと早速宿の中へと入って行く。
すいませ〜ん。誰かいますか?
すると奥から、筋骨隆々なおっちゃんが出てきた。そして、そのおっちゃんは凄い威圧感を出しながら聞いてくる。
「客か? 一泊7銅貨だ。何泊するんだ?」
「と、とりあえず3日でお願いします」
ダブルはそう言うと銀貨を3枚取り出しカウンターに置いた。おっちゃんは料金を確認した後、お釣りの銅貨2枚と部屋のカギを置いてきた。
 
「飯は1日2食、朝と夜しかでないぞ。必要な時に声をかけろ、その時に作る」
そう言っておっちゃんは奥へ戻って言った。あの見た目で宿屋をやっているのかと、つい思ってしまうが口には出さない。
  「良い人? なのかな……よし、部屋に行くか」
ダブルはカウンターの横にある階段を使って2階へと上がり、自分の部屋を見つけると中へ入った。部屋の中には特に余計なものは無く、ベッドとクローゼットしかなかった。
「質素だけどこれぐらいがちょうど良いね。色々この世界の常識とか分かってきたし、明日からは本格的に依頼受けるぞー!」
まだ早いが、ダブルはそのままベットに横になり眠りについた。--夜ご飯を食べ忘れていることにダブルは朝まで気付かないのであった。
「はい、治療完了です!!」
「あ、ありがとうございます」
  ここは、冒険者組合にいくつもあるうちの一部屋である。そこでダブルは、コヒーさんに手当てをして貰っていた。
「とりあえずは、初の依頼達成おめでとうございます」
「よかったー、討伐部位があんな状態だったからだ、ダメかもと思いましたよ」
そう、ダブルは雷魔法で討伐したため、持って帰ってきた討伐部位は全て黒焦げ状態だったのだ。--とてもじゃないが、なんの討伐部位かわからないくらいの状態になっていたのだ。
「ただ……」
「……ただ?」
コヒーさんの歯切れの悪い言葉に、ダブルは首をかしげる。--そんなダブルに、コヒーさんは背中を向け、わざとらしく疑問を口にし始めた。
「確かダブルさんは、使える魔法は土魔法だけだったような気がするんですよね〜。どうやったら土魔法であんな黒焦げ状態にしたのかなーって」
「それはっ…………」
(やばい! 逃げることに必死で言い訳考えてなかった!!)
チラッと見ると、言葉を詰まらせ必死に言い訳を考えているダブルの姿があり、この辺で勘弁してあげるかとダブルの方に向き直った。
「大丈夫ですよ。冒険者カード発行した時点で、なんとなく予想はついていましたから」
「へ……!?」
「あなた、多属性持ちなんでしょ?」
「----っ!!」
  
(なんでその事を知っているんだ!?  誰にも話していないし、見られてもいないはず…………)
仮面越しでも分かるくらい、明らかに動揺し焦っていた。「もしかしたら自分の素顔も!?」と段々と迷走していってしまう。
「なんでって思ってるでしょ? さっきも言ったけど、冒険者カード発行する時に分かったんですよ」
「どう言う事でしょうか?」
コヒーさんは細い指を立てながら、理由を話し始めた。
「冒険者カードに属性力を流したの覚えてますか?  冒険者カードは流し込む属性によって色が変わるのです。例えば、火属性でしたら『赤』、水属性でしたら『青』のようになります。」
ダブルは黙ったままコヒーさんの説明を聞き続ける。
「先ほど例に挙げた属性を持っていた場合、冒険者カードの色は混ざり『紫』になります。ここまでの説明で、ご理解できましたか?」
「理解できましたけど、もっと早く説明してほしかったです。ちなみに今は複数属性持ちは何人くらいいるんですか?」
「正確な人数はわかりませんが、少なくとも10人はいると思いますよ」
(バレると厄介ごとに巻き込まれそうだし、コヒーさんに相談するのがいいか)
「あまり知られたくないのですが、なんとかなりませんか?」
コヒーさんはあごに手を当て考え始めた。ダブルはその姿をみて、考え事してる顔も綺麗だなと、くだらない事を考えていた。
「そうですね……それなら偽造しちゃいましょうか」
「えっ!?」
「ダミー色のカードを作っちゃうんです!!」
まさか冒険者組合の職員から、そんな提案されるとは思わず、つい驚いてしまう。
ダブルはできるのならしてもらいたいと思うが、ダミー色のカードを作ることによってコヒーさんに迷惑がかかるとなると気が引けるので、一応大丈夫か聞いてみることにした。
「そんなことできるんですか? というか……バレたらやばいんじゃないですか?」
「そうですね。バレたら最悪、牢に入れられてしまいますね、フフッ」
(笑いながら言ってるよ!! この人大丈夫かな……)
「とりあえず、そのカードはどうやって作るんですか?」
「心配しなくてもいいわ。もう作ってあるわよ」
「ナント----!!」
そう言って、コヒーさんはポケットから茶色の冒険者カードを取り出し、渡してきた。
(ほんと何してんの!!  この人っ!!)
「そうだ!  ダブルさんに聞きたいことあったのよ!」
「ハァ」っとため息を吐き、どうせくだらないことだろうとコヒーさんに聞き返す。
「なんでしょうか?」
「………あなたの本当のお名前教えてくれるかしら?」
……………………
偽名を使っていることがバレたのかと、ダブルは一瞬固まってしまう。
(なんなんだろうこの人。とぼけてるフリしてるけど、察しがよすぎやしないか。だけど教えるわけにはいかない、ここはしらを切るらせてもらうか)
ダブルは絶対に正体がバレないように行動するとススゥと約束したにも関わらず、早速こんな状況になってしまっているのだ。
  そして、流石にバレるわけにはいかないとそのまま惚けようとするが、それよりも早くコヒーが恐ろしい事を言ってくる。
「嘘ついたら一緒に牢屋行きよ。黙秘も嘘と捉えるわよ」
コヒーさんは普通に笑顔を作って言ってくる。そんな彼女を見て、この人にだけは逆らってはいけないと、本能が訴えてくる。
「誰にも言わないって、約束してくれますか?」
「私はこれでも、冒険者組合の受付嬢です!  口はアダマンタイト並みに硬いですよ!」
(もうこの人は…………まぁ、そこが良いところで、彼女らしさでもあるのか)
「僕の名前は--ミズキだよ」
「ミズキ…………いい名前ね……。これからもよろしくね、ミズキ!」
「はい。よろしくお願いします」
それから治療も終わったという事で、2人で受付カウンターまで戻ると、周りの男冒険者からの視線が痛かった。
「はい、これが今回の報酬です」
「ありがとうございます」
ダブルは銀貨3枚を受け取り、とりあえず報奨金が貰えたことで安堵する。そして、組合の職員なら知っているだろうと、コヒーさんに寝床について聞いてみた。
「すいません、コヒーさん。宿について聞きたいのですが、一泊の料金ってどれくらいなんですか?」
「そうですね、基本的に宿の一泊の料金は7銅貨なので、今日の報酬で4泊はできるはずですよ」
(銀貨3枚で4泊か。このくらいの値段なら依頼さえ受けておけば、今後宿に困ることはないな)
「何から何までありがとうございます。また明日きますので、その時はよろしくお願いします」
「はい、ダブルさん。お待ちしておりますね」
ダブルは冒険者組合を後にした。
〜
確かこの辺に…………!  --あった!! ここがコヒーさんの言ってた『レムーラ亭』か。イメージしてたのよりずっと綺麗じゃん
ダブルはコヒーさんに勧められた宿にきていた。1時間ちょっと探しようやく見つけたのがこのレムーラ亭なのだ。そして、早く休みたいと早速宿の中へと入って行く。
すいませ〜ん。誰かいますか?
すると奥から、筋骨隆々なおっちゃんが出てきた。そして、そのおっちゃんは凄い威圧感を出しながら聞いてくる。
「客か? 一泊7銅貨だ。何泊するんだ?」
「と、とりあえず3日でお願いします」
ダブルはそう言うと銀貨を3枚取り出しカウンターに置いた。おっちゃんは料金を確認した後、お釣りの銅貨2枚と部屋のカギを置いてきた。
 
「飯は1日2食、朝と夜しかでないぞ。必要な時に声をかけろ、その時に作る」
そう言っておっちゃんは奥へ戻って言った。あの見た目で宿屋をやっているのかと、つい思ってしまうが口には出さない。
  「良い人? なのかな……よし、部屋に行くか」
ダブルはカウンターの横にある階段を使って2階へと上がり、自分の部屋を見つけると中へ入った。部屋の中には特に余計なものは無く、ベッドとクローゼットしかなかった。
「質素だけどこれぐらいがちょうど良いね。色々この世界の常識とか分かってきたし、明日からは本格的に依頼受けるぞー!」
まだ早いが、ダブルはそのままベットに横になり眠りについた。--夜ご飯を食べ忘れていることにダブルは朝まで気付かないのであった。
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