俺の転移した手のひらサイズの小さな世界
ユニークなクラスメイトと共に
サブタイトル
ユニークなクラスメイト
小説本文
「よし、みんな起きたな。まずはパニックにならないで話しを聞いてくれ、今の現状について、わかっていることを一旦整理しよう」
やはりここでも、光城輝が俺達をまとめるリーダーの仕事を買って出るが、ここにいる全員から冷たい目線が注いでいる…
本人は気づいていないのだろうか…
パニックにならずに話を聞いてくれと言っているものの、俺が起こした時に一番取り乱してたのが、この光城なのだ。
先程まで、顔を青ざめさせて、ガクガクと音が聞こえそうなほど体を震わせていて、俺は心の中で、マナーモードか!と一人でツッコミを入れたほどだ。あれを見たら誰もがそう思うだろう。
我ながらいいツッコミだったと自負している。
まぁ、それはいい。逆に光城輝という完璧超人の弱い部分が見れたことで、一気に親近感が湧いた。
「ここに居るのは私達五人だけのようね」
「あぁ、そのようだね」
「みたいだねぇー」
俺の思考を日野の言葉が遮り、光城と白川が相打ちを打つ。
そう、ここにいるのは俺、光城輝、日野火憐
白川蒼美、木我緑冴の五人だ。
「六人でござろう…」
ん?今なにか聞こえたような気がしたが…気のせいだろう。
「それで、ここはどこなんだ?」
「それは私たちが知りたいわよ」
まぁ、そんな返答が来ることは分かっていたんだが…一応ね、聞いておきたかったんだよ。
「無視でござるか?ねぇ、無視でござるか?」
こっちは、もうさすがに無視はできないな…
「誰だよ…お前は」
「君は誰だ?」
「あなた誰よ」
「誰ですかぁ?」
「誰ですか、君は?」
俺、光城輝、日野火憐、白川蒼美、そしてここまで沈黙を保っていた木我緑冴までもが、声を揃えて疑問を投げかける。
「児島だよ!
同じクラスメイトでござろう」
そこは語尾に"ござる"は付けないのか。そして、あのセリフどこかで聞いたことのあるフレーズの気がするが…
こいつは、児島大地、常人には考えられないような奇想天外な言動や、行動をする。悪くいえばキ〇ガイだ。
おっさんのような顔をしており、体格も無駄にガッツリしている。長い黒色の髪の毛を後ろで結んでいるのが特徴だ。
「そんなこと、みんな知ってるわよ。あなたと一緒に、どこだかもわからない場所に連れてこられただなんて、考えたくなかったのよ!」
「そうだよぉ、何で君みたいなのと一緒にいなきゃいけないんだよぉ」
「ひどいでござるよぉぉほほぉ」
そんなことを言いながらも、体をクネクネさせ、顔を赤らめている。
うぇっ、気持ち悪っ。
うん。こいつはドの付くほどのMだ。
美人二人から毒を受けているが、児島にとっては、ご褒美タイムだ。
俺が受けたら即死だろうが…
「茶番はそこまでにしよう。まずはここがどこかを考えないと」
このままではいけないと思ったのか、光城が場を制す。
普通に考えると俺達は黒板あたりの空間の切れ間にはいったから、隣の教室ってことになるんだけど…
うん、この広大な赤い大地を見たら、まず室内とは思えない。そして、ここが日本とも思えないな。
外国か?
「異世界でござろう?」
「はい?」
おっと、しまった。
思ってもみなかった回答が出て、触れてはいけない児島の発言に反応してしまったじゃないか。
「ここは異世界でござろう?」
3秒間の沈黙のあと返答に困った俺は、目で光城にSOSを求める。
光城はやれやれと言った様子で言葉を繋げる。
「根拠はなんだい?」
「そこにある動物の骨を見てみるでござる。見るからにイヌ科の動物でござろうが、一箇所だけ違うところがあるでござろう?」
「確かに角のようなものが見えるね。それに、牙が発達しすぎている。だからといって、異世界だと決めつけるのは、まだ早いと僕は思うけど」
思ったよりも、児島は周りをよく見ているんだな、俺の中の児島への評価を改める必要があるようだ。
他のみんなもそう思っているのか、少し驚いたような顔をしていた。
「ねぇねぇー、さっきから私、思ってたんだけど、星月彷徨くんって、コミュニケーション力に問題のある子じゃなかったのぉ?さっきから普通に喋ってたけど」
白川からの不意の問いかけに、顔面を殴られたかのような衝撃を受け、心に大怪我を負ったが、白目を剥く寸前のところでどうにか持ちこたえる。
白川は、マイペースで、ちょっとした天然であるが故に、嫌味のない純粋な質問をしたつもりなのだろうが…
めまいで、後ろに倒れ込みそうになる体を、どうにか両足で踏ん張る。
ここでどうにか誤解を解くしかないと、自分を奮い立たせ、白川の純粋な質問に返答する。
「確かに俺は教室では、ボッチだったけど、別にコミュニケーション力に問題はないぞ!普通に会話できるから!」
「私もここに来てから、何度か会話したけど、別におかしい所は無かったわよ」
おいおい、学校での俺はおかしな奴だと思われてたのかよ…
日野がフォローしたつもりなのだろうか、サムズアップを送ってくるが、全然フォローになってねーよ!
「良かったぁー、お荷物が二人もいたら大変だもんねー」
「…」
「…」
俺と児島は、言葉を失った。
それから数十分ほどして、俺達はここがどこかを確かめるために、この場所から動くことにした。
「私達、結構歩いてるけど全然景色が変わらないわよ?」
既に歩き出してから十分は経っているが、この場所は木の一本も生えていない。気温は少し暖かいくらいで、ずっと赤い大地が広がっている。
「そうでもないみたいだよ。あそこに何かがあるのが分かるかい?」
そう言いながら、光城は左側を指さす。
まだ遠くてしっかりと確認出来ないが、あれは…渓谷か?
「あそこに行ってみようか」
光城の一言に俺を含めた四人が頷く。
あ、人数に児島を入れるのを忘れていたが、問題ないだろう。
「近くに来てみたのはいいけど、こりゃ凄いな。ホントにここは地球なのか?」
みんなが心の内で思っているであろう事を俺が声に出す。
どこまでも続く長い渓谷、まるで大地が真っ二つになっているようだ。下を覗くが、真っ暗で何も見えない、相当深いのだろう。
「僕は正解が分かったよ。ここは火星だね!火星の土は赤いし、この渓谷のようなものも沢山存在するはず」
そう言いながら、トレードマークのメガネを指で押さえながら、カチカチッとならしているのは、木我緑冴だ。
「確かに、火星は地球によく似ていて、人が住めるのではないかと期待されてるけど、火星大気は6hPa程度で地球の1013hPaの100分の1以下だよ?つまり、真空に体を晒すのと同じようなもので、直ぐに血が蒸発して干からびてしまうはずだ」
木我が珍しく発言したものの、即刻光城によって間違いを指摘される。
そんな事言ったら…
もう、遅いか…
あーあ、ほら、拗ねちゃったよ。
体育座りをしながらゴニョゴニョと小さな声で呟くこの男、木我緑冴は、引き締まった顔にトレードマークのメガネ、七三分けでしっかりと整えられた髪型といかにも頭が良さそうに見えるが、頭は弱い。
ほっそりとした体のどこにそんな力があるのかと思うほどの常人離れしたスタミナと筋力の持ち主ではあるが…
今のように拗ねてしまったら、元に戻るまでに時間がかかる上に、めんどくさい…
「ほら、行くぞ」
声をかけるが、体育座りのまま動かない…もぉ、めんどくさいなー
その後、どうにか木我を説得して渓谷の横を歩き出した彷徨達であったが、その上空を飛ぶ黒い影には気づかずにいた。
ユニークなクラスメイト
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「よし、みんな起きたな。まずはパニックにならないで話しを聞いてくれ、今の現状について、わかっていることを一旦整理しよう」
やはりここでも、光城輝が俺達をまとめるリーダーの仕事を買って出るが、ここにいる全員から冷たい目線が注いでいる…
本人は気づいていないのだろうか…
パニックにならずに話を聞いてくれと言っているものの、俺が起こした時に一番取り乱してたのが、この光城なのだ。
先程まで、顔を青ざめさせて、ガクガクと音が聞こえそうなほど体を震わせていて、俺は心の中で、マナーモードか!と一人でツッコミを入れたほどだ。あれを見たら誰もがそう思うだろう。
我ながらいいツッコミだったと自負している。
まぁ、それはいい。逆に光城輝という完璧超人の弱い部分が見れたことで、一気に親近感が湧いた。
「ここに居るのは私達五人だけのようね」
「あぁ、そのようだね」
「みたいだねぇー」
俺の思考を日野の言葉が遮り、光城と白川が相打ちを打つ。
そう、ここにいるのは俺、光城輝、日野火憐
白川蒼美、木我緑冴の五人だ。
「六人でござろう…」
ん?今なにか聞こえたような気がしたが…気のせいだろう。
「それで、ここはどこなんだ?」
「それは私たちが知りたいわよ」
まぁ、そんな返答が来ることは分かっていたんだが…一応ね、聞いておきたかったんだよ。
「無視でござるか?ねぇ、無視でござるか?」
こっちは、もうさすがに無視はできないな…
「誰だよ…お前は」
「君は誰だ?」
「あなた誰よ」
「誰ですかぁ?」
「誰ですか、君は?」
俺、光城輝、日野火憐、白川蒼美、そしてここまで沈黙を保っていた木我緑冴までもが、声を揃えて疑問を投げかける。
「児島だよ!
同じクラスメイトでござろう」
そこは語尾に"ござる"は付けないのか。そして、あのセリフどこかで聞いたことのあるフレーズの気がするが…
こいつは、児島大地、常人には考えられないような奇想天外な言動や、行動をする。悪くいえばキ〇ガイだ。
おっさんのような顔をしており、体格も無駄にガッツリしている。長い黒色の髪の毛を後ろで結んでいるのが特徴だ。
「そんなこと、みんな知ってるわよ。あなたと一緒に、どこだかもわからない場所に連れてこられただなんて、考えたくなかったのよ!」
「そうだよぉ、何で君みたいなのと一緒にいなきゃいけないんだよぉ」
「ひどいでござるよぉぉほほぉ」
そんなことを言いながらも、体をクネクネさせ、顔を赤らめている。
うぇっ、気持ち悪っ。
うん。こいつはドの付くほどのMだ。
美人二人から毒を受けているが、児島にとっては、ご褒美タイムだ。
俺が受けたら即死だろうが…
「茶番はそこまでにしよう。まずはここがどこかを考えないと」
このままではいけないと思ったのか、光城が場を制す。
普通に考えると俺達は黒板あたりの空間の切れ間にはいったから、隣の教室ってことになるんだけど…
うん、この広大な赤い大地を見たら、まず室内とは思えない。そして、ここが日本とも思えないな。
外国か?
「異世界でござろう?」
「はい?」
おっと、しまった。
思ってもみなかった回答が出て、触れてはいけない児島の発言に反応してしまったじゃないか。
「ここは異世界でござろう?」
3秒間の沈黙のあと返答に困った俺は、目で光城にSOSを求める。
光城はやれやれと言った様子で言葉を繋げる。
「根拠はなんだい?」
「そこにある動物の骨を見てみるでござる。見るからにイヌ科の動物でござろうが、一箇所だけ違うところがあるでござろう?」
「確かに角のようなものが見えるね。それに、牙が発達しすぎている。だからといって、異世界だと決めつけるのは、まだ早いと僕は思うけど」
思ったよりも、児島は周りをよく見ているんだな、俺の中の児島への評価を改める必要があるようだ。
他のみんなもそう思っているのか、少し驚いたような顔をしていた。
「ねぇねぇー、さっきから私、思ってたんだけど、星月彷徨くんって、コミュニケーション力に問題のある子じゃなかったのぉ?さっきから普通に喋ってたけど」
白川からの不意の問いかけに、顔面を殴られたかのような衝撃を受け、心に大怪我を負ったが、白目を剥く寸前のところでどうにか持ちこたえる。
白川は、マイペースで、ちょっとした天然であるが故に、嫌味のない純粋な質問をしたつもりなのだろうが…
めまいで、後ろに倒れ込みそうになる体を、どうにか両足で踏ん張る。
ここでどうにか誤解を解くしかないと、自分を奮い立たせ、白川の純粋な質問に返答する。
「確かに俺は教室では、ボッチだったけど、別にコミュニケーション力に問題はないぞ!普通に会話できるから!」
「私もここに来てから、何度か会話したけど、別におかしい所は無かったわよ」
おいおい、学校での俺はおかしな奴だと思われてたのかよ…
日野がフォローしたつもりなのだろうか、サムズアップを送ってくるが、全然フォローになってねーよ!
「良かったぁー、お荷物が二人もいたら大変だもんねー」
「…」
「…」
俺と児島は、言葉を失った。
それから数十分ほどして、俺達はここがどこかを確かめるために、この場所から動くことにした。
「私達、結構歩いてるけど全然景色が変わらないわよ?」
既に歩き出してから十分は経っているが、この場所は木の一本も生えていない。気温は少し暖かいくらいで、ずっと赤い大地が広がっている。
「そうでもないみたいだよ。あそこに何かがあるのが分かるかい?」
そう言いながら、光城は左側を指さす。
まだ遠くてしっかりと確認出来ないが、あれは…渓谷か?
「あそこに行ってみようか」
光城の一言に俺を含めた四人が頷く。
あ、人数に児島を入れるのを忘れていたが、問題ないだろう。
「近くに来てみたのはいいけど、こりゃ凄いな。ホントにここは地球なのか?」
みんなが心の内で思っているであろう事を俺が声に出す。
どこまでも続く長い渓谷、まるで大地が真っ二つになっているようだ。下を覗くが、真っ暗で何も見えない、相当深いのだろう。
「僕は正解が分かったよ。ここは火星だね!火星の土は赤いし、この渓谷のようなものも沢山存在するはず」
そう言いながら、トレードマークのメガネを指で押さえながら、カチカチッとならしているのは、木我緑冴だ。
「確かに、火星は地球によく似ていて、人が住めるのではないかと期待されてるけど、火星大気は6hPa程度で地球の1013hPaの100分の1以下だよ?つまり、真空に体を晒すのと同じようなもので、直ぐに血が蒸発して干からびてしまうはずだ」
木我が珍しく発言したものの、即刻光城によって間違いを指摘される。
そんな事言ったら…
もう、遅いか…
あーあ、ほら、拗ねちゃったよ。
体育座りをしながらゴニョゴニョと小さな声で呟くこの男、木我緑冴は、引き締まった顔にトレードマークのメガネ、七三分けでしっかりと整えられた髪型といかにも頭が良さそうに見えるが、頭は弱い。
ほっそりとした体のどこにそんな力があるのかと思うほどの常人離れしたスタミナと筋力の持ち主ではあるが…
今のように拗ねてしまったら、元に戻るまでに時間がかかる上に、めんどくさい…
「ほら、行くぞ」
声をかけるが、体育座りのまま動かない…もぉ、めんどくさいなー
その後、どうにか木我を説得して渓谷の横を歩き出した彷徨達であったが、その上空を飛ぶ黒い影には気づかずにいた。
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