やっと封印が解けた大魔神は、正体を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~
この期に及んでトンズラは勘弁です
「はぁ……はぁ……」
「うぐぐ……いってえ……」
僕とシュンは二人、床に横たわっていた。
場所はアパートの一室――つまり、僕とコトネの部屋。
結局、僕とシュンの勝負に決着は着かなかった。拳を交えているうちに勝敗など忘れてしまい、気づいたときには身体が動かせなくなるほどボロボロになっていた。
で、そのまま地面に落っこちたわけだ。
僕やシュンが一般人であれば即死していただろう。それだけ高いところで戦っていたし、身体が動かないこともあって受け身もまったく取れなかったのである。
当然――
「もう、なにしてんのよお兄ちゃん!」
「はぁ……エルくんも、意外と男の子なんだから……」
女性陣には盛大に怒られた。
強制的に手当てをされ、身体の節々に包帯を巻かれた。その際、僕やシュンが悲鳴をあげてもお構いなしである。どうやら二人して怒っているようだ。
そうして文句を言いながらも、コトネもロニンも現在、台所で夕飯の準備をしてくれている。狭い部屋だし、二人で調理するのにも苦労するだろうが、かなり手をかけてくれているようだ。寝転がっている僕にも、なにやら良い匂いが漂ってくる。
「はは……こりゃマジで動けねえや」
隣のシュンが乾いた笑みを発する。
「どうするよ、このぶんじゃあ会議に参加できねえかもしれないぜ」
「勘弁してくれよ、まったく……」
会議の提案者のくせに欠席とは本末転倒もいいところである。あのルハネスもさすがに仰天するであろう。
「君が無理やり言い出したんだろ。会議には出なさいよ」
「といってもな。あそこで俺がしゃしゃり出なきゃ戦争始まってたかもしれないんだぜ? すこしは感謝をだな……」
「はいはい、わかってるよそれは」
その意味では本当に感謝している。
のだが、僕はコミュニケーションなるものが大の苦手だ。
国運を左右する会議など、到底入り込める気がしない。
当のシュンも数年前は人との関わりが苦手だったというが、改めて接してみると、まったくそれを感じさせない。おそらく、王としての長い歳月が、彼をそう成長させたんだろう。
「そういやよ」
シュンが話しかけてきた。
「おまえも神なんだろ? ディストのように……天使の部下とかいねえのか?」
「うーん、まあ、昔はいたんだけどね」
創造神に限らず、神と名のつく者には、天使という部下を多く従えている。
かつてクローディア大陸を襲ったディスト創造神は、熾天使ミュウを筆頭に、数多くの天使を引き連れていたわけだ。
この僕にも、かつては多くの天使が付いていた。
彼らに神殿の護衛を任せ、僕はひとり室内にこもっていたわけだ。
だが。
大魔神たる僕にとって、護衛など不要である。
それに、僕がただ引きこもっているだけなのに、天使がずっと神殿を守っているのは気の毒だ。
そういった考えから、もう何百年も前に、天使を解任してしまった。いまはどこにいるのか、そもそも生きているのかさえ不明である。
そのことをシュンに伝えると、彼は
「そうか……」
と返事をした。
「悪いね。期待外れだったかな?」
「いや、そうじゃねえさ。おかげでこっちの手間が省ける」
「え?」
「五日後、ナイゼルが魔物を首都に招待するようだ。おまえの部下がいねえなら、こっちの作業が楽になる」
「うぐぐ……いってえ……」
僕とシュンは二人、床に横たわっていた。
場所はアパートの一室――つまり、僕とコトネの部屋。
結局、僕とシュンの勝負に決着は着かなかった。拳を交えているうちに勝敗など忘れてしまい、気づいたときには身体が動かせなくなるほどボロボロになっていた。
で、そのまま地面に落っこちたわけだ。
僕やシュンが一般人であれば即死していただろう。それだけ高いところで戦っていたし、身体が動かないこともあって受け身もまったく取れなかったのである。
当然――
「もう、なにしてんのよお兄ちゃん!」
「はぁ……エルくんも、意外と男の子なんだから……」
女性陣には盛大に怒られた。
強制的に手当てをされ、身体の節々に包帯を巻かれた。その際、僕やシュンが悲鳴をあげてもお構いなしである。どうやら二人して怒っているようだ。
そうして文句を言いながらも、コトネもロニンも現在、台所で夕飯の準備をしてくれている。狭い部屋だし、二人で調理するのにも苦労するだろうが、かなり手をかけてくれているようだ。寝転がっている僕にも、なにやら良い匂いが漂ってくる。
「はは……こりゃマジで動けねえや」
隣のシュンが乾いた笑みを発する。
「どうするよ、このぶんじゃあ会議に参加できねえかもしれないぜ」
「勘弁してくれよ、まったく……」
会議の提案者のくせに欠席とは本末転倒もいいところである。あのルハネスもさすがに仰天するであろう。
「君が無理やり言い出したんだろ。会議には出なさいよ」
「といってもな。あそこで俺がしゃしゃり出なきゃ戦争始まってたかもしれないんだぜ? すこしは感謝をだな……」
「はいはい、わかってるよそれは」
その意味では本当に感謝している。
のだが、僕はコミュニケーションなるものが大の苦手だ。
国運を左右する会議など、到底入り込める気がしない。
当のシュンも数年前は人との関わりが苦手だったというが、改めて接してみると、まったくそれを感じさせない。おそらく、王としての長い歳月が、彼をそう成長させたんだろう。
「そういやよ」
シュンが話しかけてきた。
「おまえも神なんだろ? ディストのように……天使の部下とかいねえのか?」
「うーん、まあ、昔はいたんだけどね」
創造神に限らず、神と名のつく者には、天使という部下を多く従えている。
かつてクローディア大陸を襲ったディスト創造神は、熾天使ミュウを筆頭に、数多くの天使を引き連れていたわけだ。
この僕にも、かつては多くの天使が付いていた。
彼らに神殿の護衛を任せ、僕はひとり室内にこもっていたわけだ。
だが。
大魔神たる僕にとって、護衛など不要である。
それに、僕がただ引きこもっているだけなのに、天使がずっと神殿を守っているのは気の毒だ。
そういった考えから、もう何百年も前に、天使を解任してしまった。いまはどこにいるのか、そもそも生きているのかさえ不明である。
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