やっと封印が解けた大魔神は、正体を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~
ルイス様をお守りする会
二十分ほど経っただろうか。
ふと窓の外を見やると、記憶に新しい風景が過ぎ去っていくのが確認できる。
そう。
数週間前、僕がアリオスとともに通ってきた道だ。僕の記憶が正しければ、間もなく目的地に到着するはずである。
当時、まさかこんなに早く魔王城を再訪することになろうとは思ってもいなかったが……
「あら? あれは……」
ふいにユイがやや高い声を発した。
「ルイス様。もしや、あの一団はあなたのお友達ではありませんか?」
「なに……?」
ルイスは片眉を吊り上げると、ユイと同じ方向に目を向けた。つられて僕も身を乗り出す。
魔王城へと繋がる一本の橋。
そこに、なんとも身覚えのある生徒の群れが列を成していた。
通称《ルイス様をお守りする会》の連中が、待ち構えていましたとばかりに二列縦隊で向かい合っているのである。もちろん、列の隙間には馬車が通れるだけのスペースがある。
「あ、あいつら……」
ルイスが苦々しい顔で呟く。強く拳を握りしめ、頬には血管が浮かんできそうな勢いだ。
思わず僕はひゅうと口を鳴らした。
「すごいねぇ。この馬車を先回りしてたっていうのかい?」
「まあ、私たちは下校時間がやや遅れましたしね」
そう返答したのはユイだった。
「それに彼らも同じく貴族です。きっと馬車で先取りしたんでしょうね。……だとしても、この執念は少々驚きですが」
それにはまったく同意だった。
テルモといい、ルイスには意外にも支持者が多いようだ。それこそルハネスには及ばないものの、たしかに《魔王の息子》たる資格は備えているのかもしれない。
僕はルイスに目を向けると、ちょっとからかい気味に言ってみた。
「正直、傲岸不遜なお坊ちゃんとしか思ってなかったけど……君、案外と優しいようだね。あんなに信者がいるなんてさ」
言ったことは素直な気持ちだったが、しかし魔王の息子は不愉快そうに顔を背けた。
「……なんのことだか……わからんな……」
「あ、あのルイス様、いかがなさいますか?」
開いた窓の外から、馬車の従者らしき者の声が聞こえてくる。
「……よい。あんなものに構うな。素通りしろ」
「イエス、ユアハイネス」
すると、馬車は生徒たちの間を無情にも駆け抜けていってしまう。
なかには今朝見かけたテルモもいた。
大きな声でルイスの名を叫んでいたが、ルイスは素知らぬ顔で聞き流した。
「あの、良かったのですか?」
ユイもさすがに気遣う表情を見せた。
「形はどうあれ、皆さん、ルイス様を尊敬しているご様子。無視しなくてもよかったかと」
ルイスは数秒だけ通り過ぎていった生徒たちを見つめていたが、軽く頭を振ると、気取ったように頬杖をついた。
「あれでいいのだよ。《魔王の息子》たる私には、あのような子ども使いは似つかわしくない」
また魔王の息子か……
ちょっとした違和感を胸に抱きつつも、僕たちはやっと魔王城に到着した。
ふと窓の外を見やると、記憶に新しい風景が過ぎ去っていくのが確認できる。
そう。
数週間前、僕がアリオスとともに通ってきた道だ。僕の記憶が正しければ、間もなく目的地に到着するはずである。
当時、まさかこんなに早く魔王城を再訪することになろうとは思ってもいなかったが……
「あら? あれは……」
ふいにユイがやや高い声を発した。
「ルイス様。もしや、あの一団はあなたのお友達ではありませんか?」
「なに……?」
ルイスは片眉を吊り上げると、ユイと同じ方向に目を向けた。つられて僕も身を乗り出す。
魔王城へと繋がる一本の橋。
そこに、なんとも身覚えのある生徒の群れが列を成していた。
通称《ルイス様をお守りする会》の連中が、待ち構えていましたとばかりに二列縦隊で向かい合っているのである。もちろん、列の隙間には馬車が通れるだけのスペースがある。
「あ、あいつら……」
ルイスが苦々しい顔で呟く。強く拳を握りしめ、頬には血管が浮かんできそうな勢いだ。
思わず僕はひゅうと口を鳴らした。
「すごいねぇ。この馬車を先回りしてたっていうのかい?」
「まあ、私たちは下校時間がやや遅れましたしね」
そう返答したのはユイだった。
「それに彼らも同じく貴族です。きっと馬車で先取りしたんでしょうね。……だとしても、この執念は少々驚きですが」
それにはまったく同意だった。
テルモといい、ルイスには意外にも支持者が多いようだ。それこそルハネスには及ばないものの、たしかに《魔王の息子》たる資格は備えているのかもしれない。
僕はルイスに目を向けると、ちょっとからかい気味に言ってみた。
「正直、傲岸不遜なお坊ちゃんとしか思ってなかったけど……君、案外と優しいようだね。あんなに信者がいるなんてさ」
言ったことは素直な気持ちだったが、しかし魔王の息子は不愉快そうに顔を背けた。
「……なんのことだか……わからんな……」
「あ、あのルイス様、いかがなさいますか?」
開いた窓の外から、馬車の従者らしき者の声が聞こえてくる。
「……よい。あんなものに構うな。素通りしろ」
「イエス、ユアハイネス」
すると、馬車は生徒たちの間を無情にも駆け抜けていってしまう。
なかには今朝見かけたテルモもいた。
大きな声でルイスの名を叫んでいたが、ルイスは素知らぬ顔で聞き流した。
「あの、良かったのですか?」
ユイもさすがに気遣う表情を見せた。
「形はどうあれ、皆さん、ルイス様を尊敬しているご様子。無視しなくてもよかったかと」
ルイスは数秒だけ通り過ぎていった生徒たちを見つめていたが、軽く頭を振ると、気取ったように頬杖をついた。
「あれでいいのだよ。《魔王の息子》たる私には、あのような子ども使いは似つかわしくない」
また魔王の息子か……
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