やっと封印が解けた大魔神は、正体を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~
衝撃の誘い込み
ルイス・アルゼイドは、威圧感たっぷりに席に座ったままのユイを見下ろした。
「ほう。おまえが音に聞く転校生か。噂通りの美人のようだな」
「ひっ……ル、ルイス様……」
さっきまでユイと談笑していた男子生徒が怯えた声を発する。名残惜しそうにユイをチラチラ見ているが、かなり緊張しているようで、額から汗が垂れっぱなしである。
ルイスはふんと鼻を鳴らすと、嫌悪感の込めた視線を男子生徒に向けた。
「貴様、まだそんなところにいるのか。目障りだ。失せろ」
「う……」
両目を縮こませると、男子生徒はとぼとぼと退散していった。
その背中がなんともいたたまれなかったが、この学園ではもはやルイスに反発できる者はいない。男子生徒を擁護する生徒はおろか、ルイスへの反発をする生徒もいなかった。
しん、と。
気まずさを帯びた沈黙が教室に満ちる。
教師が近くの廊下を通った気がしたが、ルイスの姿を見た途端、面倒事には巻き込まれないかのごとくに見て見ぬフリをしていった。もはやルイスは学園内でも大きな存在になりつつある。
「あなたがルイス・アルゼイド様ですね」
ユイは椅子から立ち上がると、さきほどホームルームでやってみせたように丁寧なお辞儀をした。
「ご高名は聞き及んでおります。お父上の魔王就任、まずはおめでとうございます」
「なるほど。どこかの馬鹿と違って礼節を弁えているようだな」
そこでルイスはちらりと僕を見た。
――さあ、なんのことだかさっぱり。
という意味を込めて、僕は無言で肩を竦めてみせた。
ルイスは気に入らなそうにフンと鼻を鳴らすと、再びユイに視線を戻した。
「どうだ。我が魔王城に来てみないか。越したばかりでわからないことも多いだろう。色々と案内してやってもいい」
うお、というどよめきが周囲から発せられた。僕もさすがに驚きを隠せなかった。
魔王城に誘うということは、すなわち自宅へ連れ込もうとしているわけだ。学生たちももう子どもではない。それがなにを意味するのか、この場にいる全員がわかっているはずだ。
「安心するがいい。アルゼイド家は前魔王とは違う。奴のような卑劣な真似はしないから、気楽にしてくれたまえ」
――ルイス、君はわかっているのか……
その子、君よりも遙かに強いんだよ。
という僕の内心を知るよしもなく、ルイスは言葉を続ける。
「どうだ。私と良い関係を持つことは、悪い話ではないと思うが」
「ふふ」
対するユイもかなりの胆力だった。このような急展開にも動じることなく、落ち着き払った笑みを浮かべる。
「身に余る光栄ですわ、ルイス様。私でよければご一緒させてくださいませ」
えっ、と周囲からどよめきが発せられた。
「うむ。では外に馬車を用意させてある。――行こうか」
「はい。……でもルイス様、ここに来た用事はそれだけではないのでしょう?」
「ほう? よくわかったな」
「ふふ、女の勘であります」
ルイスはくるりと僕たちに向き直ると、衝撃の発言をした。
「エル、それとコトネ。父上がお呼びだ。私とともに来い」
「ほう。おまえが音に聞く転校生か。噂通りの美人のようだな」
「ひっ……ル、ルイス様……」
さっきまでユイと談笑していた男子生徒が怯えた声を発する。名残惜しそうにユイをチラチラ見ているが、かなり緊張しているようで、額から汗が垂れっぱなしである。
ルイスはふんと鼻を鳴らすと、嫌悪感の込めた視線を男子生徒に向けた。
「貴様、まだそんなところにいるのか。目障りだ。失せろ」
「う……」
両目を縮こませると、男子生徒はとぼとぼと退散していった。
その背中がなんともいたたまれなかったが、この学園ではもはやルイスに反発できる者はいない。男子生徒を擁護する生徒はおろか、ルイスへの反発をする生徒もいなかった。
しん、と。
気まずさを帯びた沈黙が教室に満ちる。
教師が近くの廊下を通った気がしたが、ルイスの姿を見た途端、面倒事には巻き込まれないかのごとくに見て見ぬフリをしていった。もはやルイスは学園内でも大きな存在になりつつある。
「あなたがルイス・アルゼイド様ですね」
ユイは椅子から立ち上がると、さきほどホームルームでやってみせたように丁寧なお辞儀をした。
「ご高名は聞き及んでおります。お父上の魔王就任、まずはおめでとうございます」
「なるほど。どこかの馬鹿と違って礼節を弁えているようだな」
そこでルイスはちらりと僕を見た。
――さあ、なんのことだかさっぱり。
という意味を込めて、僕は無言で肩を竦めてみせた。
ルイスは気に入らなそうにフンと鼻を鳴らすと、再びユイに視線を戻した。
「どうだ。我が魔王城に来てみないか。越したばかりでわからないことも多いだろう。色々と案内してやってもいい」
うお、というどよめきが周囲から発せられた。僕もさすがに驚きを隠せなかった。
魔王城に誘うということは、すなわち自宅へ連れ込もうとしているわけだ。学生たちももう子どもではない。それがなにを意味するのか、この場にいる全員がわかっているはずだ。
「安心するがいい。アルゼイド家は前魔王とは違う。奴のような卑劣な真似はしないから、気楽にしてくれたまえ」
――ルイス、君はわかっているのか……
その子、君よりも遙かに強いんだよ。
という僕の内心を知るよしもなく、ルイスは言葉を続ける。
「どうだ。私と良い関係を持つことは、悪い話ではないと思うが」
「ふふ」
対するユイもかなりの胆力だった。このような急展開にも動じることなく、落ち着き払った笑みを浮かべる。
「身に余る光栄ですわ、ルイス様。私でよければご一緒させてくださいませ」
えっ、と周囲からどよめきが発せられた。
「うむ。では外に馬車を用意させてある。――行こうか」
「はい。……でもルイス様、ここに来た用事はそれだけではないのでしょう?」
「ほう? よくわかったな」
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ルイスはくるりと僕たちに向き直ると、衝撃の発言をした。
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