闇の王
異世界転移と魔王城
キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムが鳴り、教室が一気にざわめき立つ。そんな中、クラスの税院の視界がふっと切り替わった。
おなじみの教室から、中世のヨーロッパの王宮のようなところにだ。
あたりを見回すと、同じクラスの生徒や担任の先生がいた。全員、呆けたような顔をしている。
「皆さんお聞きください」
誰か凛とした、良く通る声を上げる。
その声の主は、豪華なドレスを身にまとい、圧倒的な存在感を放っている。しかしそれでいて、おごり高ぶっている様子は見受けられない。身長は150㎝くらいと小柄だが、出るところは出ている。年は俺たちと同じくらいだろうか?
「皆さん、私はディスティニア王国、第二王女レーリアと申します。ここは、皆さんがいた世界とは別の世界。皆さんの世界でいうところの異世界と言うところです。召喚の儀によって皆さんを勇者として召喚させていただきました」
豪華なドレスの端をつまみ、優雅に一礼する。
そんな一挙手一投足に男子の半数は見惚れ、女子はそんな男子に冷ややかな視線を送っている。
俺は、別に見惚れることはない。
王女にっていたことで、なんとなく現状を理解することが出来た。
学校でクラスごと異世界転移。どこのラノベだよ……
俺がそんなくだらないことを考えているとクラスメイトの一人が大きな声を上げる。
「ざっけんなよ!!さっさと帰せよ」
声を上げたのは、所謂不良と言われる見た目をした赤髪の生徒。木村龍之介だ。
確かに、いきなりこんなところに召喚されれば不満の一つも言いたくなるだろう。
それに便乗するように、クラスの半分ほどの生徒が文句を言い始める。
「皆さん、このたびはこちらの身勝手な都合でこの様なことをしてしまい本当にすいません。しかし、この世界にはあなた方、勇者の力が必要なのです」
王女は、深々と頭を下げる。そして次に顔を上げた時は、その大きな瞳に大粒の涙を浮かべていた。
文句を言っていたクラスメイトも黙り込んでしまう。
「この世界には魔王がいます。そして、それを討伐できるのはあなたたち女神の祝福を受けし者だけなのです」
そう言い切ると、たまっていた涙がその白くきめ細やかな頬を伝って地面に落ちた。
王女は、この後も涙ながらに様々なことを話した。
長かったからまとめるとこんな感じだ。
・この世界は剣と魔法のファンタジーの世界。
・魔王は人間と敵対している。
・魔王を倒せるのは女神の祝福を受けたものだけ。
・俺たちを送還する方法は不明。
・言い伝えでは、魔王を倒すと異世界の勇者は送還される。
送還方法がわからないといわれたときはみんなの顔に影が差したが、魔王を倒すと送還されると聞いて、クラス全体が魔王を討伐する方針に向かっていった。
帰る方法がそれしかないのならそちらに傾くのは仕方のないことだろう。
しかし、鵜呑みにするのはあまり良くないのだろうか?
そして今俺たちは、女神の与えた祝福を調べる神器、女神の宝珠の前に並んでいた。
この女神の宝珠では、自分に適性のある職業や、能力値、祝福などがわかるそうだ。
ちなみに、能力値は日本語や英語ではない言語で表示されるが、問題なく読むことが出来た。
所々でご都合主義が目立つ世界である。この世界を作ったの、三流ラノベ作家じゃないだろうか?
そして、俺の番がやってきた。女神の宝珠に手をかざすと、女神の宝珠が黒く光り輝いた。
前の奴は白く光った気がしたんだがな……
嫌な予感はしたが、問題なく表示された。
名前:種川翔 性別:男 種族:ヒューマン
職業:魔王
HP 100
MP 100
ATK 100
DEF 100
AGI 100
<スキル>
闇魔法 終焉魔法 剣術 体術
<呪印>
魔眼 魔獣使役 生物使役 魔族生成
……。
……。
……は?
何だよカースって!女神が与えるのはギフトじゃねえのかよ……。
しかもスキルに終焉魔法って……おっかな過ぎるわ!!
「魔王発見!!!」
女神の宝珠の前に立っていた兵士が大声で叫ぶ。
一瞬、静まり返ったが、すぐに雄たけびをあげながら兵士が俺に突っ込んでくる。
これはやばい、そう思った時だった。
ドガァン
うえから大きな音がして、瓦礫が降ってくる。どうやら何者かが天井を破壊したようだ。
「突風」
兵士が魔法を使って舞い上がったほこりを吹き飛ばす。
ほこりが飛んでいくにつれて、徐々に人影が見えてきた。
「魔王様、お迎えに上がりました」
その人は、黒くつややかな髪をポニーテールでまとめている。背はすらりと高く、引き締まっている。日本にいたモデルよりもよっぽどきれいだった。年齢は18くらいだろう。
その登場にも驚いたが、最も驚かされたのは、その女性が俺に貸しづいていたことだろう。
「それで?魔王様には向かう愚か者はどこのどいつですか?」
その切れ長な目で兵士たちを睨む。
睨まれた兵士は、恐怖で足がガクガクと震えていた。
「それで魔王様、行きましょう」
「え?行くってどこへ?」
「魔王城ですが?」
さも当然といった感じでぞの女性は言った。
「それともここに残って兵士を殲滅してから行きますか?」
なかなか怖いことを言う女の子である。
「まて!」
誰かが声を上げる。
一瞬待ってやろうか悩んだが、わざわざ待ってやる義理もないので無視した。
「それでは魔王様、いきます」
そういって、女の子は俺を抱え上げる。お姫様抱っこで。
「ちょまって、これーーーーー」
女性は地面を強くけりつけ、入ってくるときにあけた穴から外へ出る。
そして、どういう原理川分からないが、超高速で空を飛んでいく。
俺は、ここが異世界なのだと改めて実感した。
「魔王様、お体は大丈夫でしょうか?」
「うん、大丈夫だ。あと、おらは魔王じゃなくて種川翔」
「わかりました。それではショウ様ですね。私はルナと申します。どうぞお好きにお呼びください」
ルナか……なかなかかわいい名前である。
「ルナ、良い名前だね。かわいいよ」
「か、かわっ!!?」
変な声を上げて、ルナの顔が真っ赤に染まる。どうやら恥ずかしかったようだ。
それからは、なんとなく気まずくなって、会話が途切れてしまった。
ルナが話しかけてくる。
「ショウ様、あれが魔王城です」
俺の目の前には、ゲームなどでよく登場する、ラスボスのいるお城がそびえていた。
それを目の当たりにして、ようやく魔王である気がしてきた。
父さん、母さん。俺異世界で魔王になったよ。
日本にいる両親に思いをはせ、俺の魔王ライフがスタートしたのだった。
授業終了のチャイムが鳴り、教室が一気にざわめき立つ。そんな中、クラスの税院の視界がふっと切り替わった。
おなじみの教室から、中世のヨーロッパの王宮のようなところにだ。
あたりを見回すと、同じクラスの生徒や担任の先生がいた。全員、呆けたような顔をしている。
「皆さんお聞きください」
誰か凛とした、良く通る声を上げる。
その声の主は、豪華なドレスを身にまとい、圧倒的な存在感を放っている。しかしそれでいて、おごり高ぶっている様子は見受けられない。身長は150㎝くらいと小柄だが、出るところは出ている。年は俺たちと同じくらいだろうか?
「皆さん、私はディスティニア王国、第二王女レーリアと申します。ここは、皆さんがいた世界とは別の世界。皆さんの世界でいうところの異世界と言うところです。召喚の儀によって皆さんを勇者として召喚させていただきました」
豪華なドレスの端をつまみ、優雅に一礼する。
そんな一挙手一投足に男子の半数は見惚れ、女子はそんな男子に冷ややかな視線を送っている。
俺は、別に見惚れることはない。
王女にっていたことで、なんとなく現状を理解することが出来た。
学校でクラスごと異世界転移。どこのラノベだよ……
俺がそんなくだらないことを考えているとクラスメイトの一人が大きな声を上げる。
「ざっけんなよ!!さっさと帰せよ」
声を上げたのは、所謂不良と言われる見た目をした赤髪の生徒。木村龍之介だ。
確かに、いきなりこんなところに召喚されれば不満の一つも言いたくなるだろう。
それに便乗するように、クラスの半分ほどの生徒が文句を言い始める。
「皆さん、このたびはこちらの身勝手な都合でこの様なことをしてしまい本当にすいません。しかし、この世界にはあなた方、勇者の力が必要なのです」
王女は、深々と頭を下げる。そして次に顔を上げた時は、その大きな瞳に大粒の涙を浮かべていた。
文句を言っていたクラスメイトも黙り込んでしまう。
「この世界には魔王がいます。そして、それを討伐できるのはあなたたち女神の祝福を受けし者だけなのです」
そう言い切ると、たまっていた涙がその白くきめ細やかな頬を伝って地面に落ちた。
王女は、この後も涙ながらに様々なことを話した。
長かったからまとめるとこんな感じだ。
・この世界は剣と魔法のファンタジーの世界。
・魔王は人間と敵対している。
・魔王を倒せるのは女神の祝福を受けたものだけ。
・俺たちを送還する方法は不明。
・言い伝えでは、魔王を倒すと異世界の勇者は送還される。
送還方法がわからないといわれたときはみんなの顔に影が差したが、魔王を倒すと送還されると聞いて、クラス全体が魔王を討伐する方針に向かっていった。
帰る方法がそれしかないのならそちらに傾くのは仕方のないことだろう。
しかし、鵜呑みにするのはあまり良くないのだろうか?
そして今俺たちは、女神の与えた祝福を調べる神器、女神の宝珠の前に並んでいた。
この女神の宝珠では、自分に適性のある職業や、能力値、祝福などがわかるそうだ。
ちなみに、能力値は日本語や英語ではない言語で表示されるが、問題なく読むことが出来た。
所々でご都合主義が目立つ世界である。この世界を作ったの、三流ラノベ作家じゃないだろうか?
そして、俺の番がやってきた。女神の宝珠に手をかざすと、女神の宝珠が黒く光り輝いた。
前の奴は白く光った気がしたんだがな……
嫌な予感はしたが、問題なく表示された。
名前:種川翔 性別:男 種族:ヒューマン
職業:魔王
HP 100
MP 100
ATK 100
DEF 100
AGI 100
<スキル>
闇魔法 終焉魔法 剣術 体術
<呪印>
魔眼 魔獣使役 生物使役 魔族生成
……。
……。
……は?
何だよカースって!女神が与えるのはギフトじゃねえのかよ……。
しかもスキルに終焉魔法って……おっかな過ぎるわ!!
「魔王発見!!!」
女神の宝珠の前に立っていた兵士が大声で叫ぶ。
一瞬、静まり返ったが、すぐに雄たけびをあげながら兵士が俺に突っ込んでくる。
これはやばい、そう思った時だった。
ドガァン
うえから大きな音がして、瓦礫が降ってくる。どうやら何者かが天井を破壊したようだ。
「突風」
兵士が魔法を使って舞い上がったほこりを吹き飛ばす。
ほこりが飛んでいくにつれて、徐々に人影が見えてきた。
「魔王様、お迎えに上がりました」
その人は、黒くつややかな髪をポニーテールでまとめている。背はすらりと高く、引き締まっている。日本にいたモデルよりもよっぽどきれいだった。年齢は18くらいだろう。
その登場にも驚いたが、最も驚かされたのは、その女性が俺に貸しづいていたことだろう。
「それで?魔王様には向かう愚か者はどこのどいつですか?」
その切れ長な目で兵士たちを睨む。
睨まれた兵士は、恐怖で足がガクガクと震えていた。
「それで魔王様、行きましょう」
「え?行くってどこへ?」
「魔王城ですが?」
さも当然といった感じでぞの女性は言った。
「それともここに残って兵士を殲滅してから行きますか?」
なかなか怖いことを言う女の子である。
「まて!」
誰かが声を上げる。
一瞬待ってやろうか悩んだが、わざわざ待ってやる義理もないので無視した。
「それでは魔王様、いきます」
そういって、女の子は俺を抱え上げる。お姫様抱っこで。
「ちょまって、これーーーーー」
女性は地面を強くけりつけ、入ってくるときにあけた穴から外へ出る。
そして、どういう原理川分からないが、超高速で空を飛んでいく。
俺は、ここが異世界なのだと改めて実感した。
「魔王様、お体は大丈夫でしょうか?」
「うん、大丈夫だ。あと、おらは魔王じゃなくて種川翔」
「わかりました。それではショウ様ですね。私はルナと申します。どうぞお好きにお呼びください」
ルナか……なかなかかわいい名前である。
「ルナ、良い名前だね。かわいいよ」
「か、かわっ!!?」
変な声を上げて、ルナの顔が真っ赤に染まる。どうやら恥ずかしかったようだ。
それからは、なんとなく気まずくなって、会話が途切れてしまった。
ルナが話しかけてくる。
「ショウ様、あれが魔王城です」
俺の目の前には、ゲームなどでよく登場する、ラスボスのいるお城がそびえていた。
それを目の当たりにして、ようやく魔王である気がしてきた。
父さん、母さん。俺異世界で魔王になったよ。
日本にいる両親に思いをはせ、俺の魔王ライフがスタートしたのだった。
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