暗闇が全てを吸い尽くす!漆黒のチート錬金術師。

山本正純

交渉



とある一室で、僕は受話器を握っていた。
彼の机の上には最強を決める戦い『カクヨム杯』の招待状。突然送られてきた手紙には、このように書かれていた。知り合いの中で最強と思われる人物をエントリーしてください。
まず僕は、知り合いの中でチート級の能力者をリストアップしてみた。
完全記憶能力持ちの女子大生。
スタンガンで銃弾に電流を当て、軌道を変えるテロリスト。
百発百中の天才スナイパー。

完全記憶能力を持っている彼女は、非戦闘員のため没。
スタンガン使いやスナイパーは、異世界の住人相手に何もできず負けそうなので却下。
このまま不参加表明をしようかと思った時、僕は思い出した。彼らの存在を。
彼らは二年前に一度だけ会ったチート集団。スナイパーといった現実的なチート能力ではなく、彼らは正真正銘のチート能力を持っていた。
やはり、このトーナメントに相応しいのは、彼らではないのか?
そう考えた僕は、二年ぶりに彼らにコンタクトを取ってみた。
電話を掛けると、受話器からエントリーしようと思っていた彼が出た。
『もしもし。ラスです』
僕は緊張しながら、受話器を握る。
「ラス。お久しぶりです。二年ぶりですね。二年くらい連絡しなくて、ごめんなさい。こっちは色々と忙しかったんです」
『そのことだったら、怒っていませんよ。ところで要件は何ですか? ただ謝りに電話したのではありませんよね?』
「はい。実はこっちにカクヨム杯っていう最強を決める大会の招待状が届いているんですよ。そのトーナメントに、あなたをエントリーしようと考えています」
突然のことにラスは受話器越しに動揺した。
『なぜですか?』
「この大会には異世界のチート能力者たちが多数参戦します。だから、あなたなんですよ。あなたは同じ異世界に住んでいて、特殊能力を持っています」
『全然理由になっていません。僕の他にも能力者は十万人いるでしょう。なんで僕なんですか?』
「まず、主人公、アルケミナは特殊能力を使いたがらないので、錬金術ありきの戦いになってしまいます。確かに彼女の錬金術はスゴイけど、それだけではバトルに勝てそうにありません。次にクルスとあなた達のリーダーのトールは、今後のことも考えて、特殊能力のネタバレだけ避けたいです」
『2年間失踪してたクセに、よくそんなことが言えますね』
ラスは拗ねながら、痛いところを突いてくる。それでも、僕は理由の説明を続けた。
「今後連載再開するかもしれないでしょう。兎に角、ブラフマは永遠の命を与えるって言わないと、首を縦に振りません。ラプラスやマエストロは噛ませ犬にしかならないはずです。他にも何人かいたような気がしますが、残りは聖なる三角錐の皆様ってことにしておきます。マエストロとトールは却下だから、残り五人ですね。あなたの姉のルスと黒猫エルフは、錬金術ありきの能力だから参加できません。そして、最終的に残ったのは、あなたとメランコリア、ルクシオンの三人」
ここまで説明して、ラスは何かを思い出し声を出した。
『ちょっと待ってください。もう一人忘れていませんか? 五大錬金術師の一人、ティンクですよ。彼は何で候補から外れたんですか?』
その子供の発言にカチンと来た僕は、怒りに我を忘れて怒鳴ってしまった。
「断られたからですよ!」
それから僕は一度咳払いして、話を続ける。
「話を戻しますが、ルクシオンの能力は光速で殴るだけだからポイ。それで最後はメランコリアとあなたの一騎打ちですよ。最後に注目したのが、バトルロイヤル編の結果。あなたは二位でメランコリアは六位でした。これで実力的にあなたが相応しいということが分かりましたねぇ」
『結局最後は、ランキングですか?』
「はい。正直言うと、あなたの能力が好きだから選んだというのが本音ですけどね。ということで、参加してくれますか? ホテルの宿泊費などは、こちらが支払います。そして、優勝したら、僕しか知らない錬金術を教えます。さらに、参加してくださったら謝礼として……」
高額な謝礼にラスは思わず目を見開き驚いた。そして、彼は首を縦に振る。
『分かりました。参加します。その代り、ルスお姉様も一緒に会場に行って良いですか?』
「運営委員会に聞いてみます。もし良かったなら、ルスのチケットやホテルの部屋も用意します。ありがとうございました」


こうして僕はカクヨム杯の参加者をエントリーした。

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