異世界はチートなカードで乗り切ろう!?
64.ハルト VS ムルドフ
『さぁ、準決勝第2試合はハルト=アルフォード対ムルドフ=エルヴァンディアです!ムルドフがハルトにどう仕掛けていくのか、必見です!』
そのアナウンスを聞いてムルドフは苦笑いする。
「まるでハルトが勝つのが確定事項みてぇな言い草だな。ま、間違ってねぇけどな」
「いえ、何か大番狂わせで勝てるかもしれませんよ?」
「けっ、全力出したらこの学園の生徒全員相手にしても勝てるようなやつが何言ってんだよ」
ムルドフはどうしてもハルトに勝てる気がしなかったが、だからといって適当に試合をする気はなかった。放課後の特訓ではハルト対数名のクラスメイトで模擬戦をすることはあっても、タイマンをしたことはなかった。つまり、この闘技祭は自分単体でハルトにどこまで近づけたかを知る絶好の機会なのである。
(とは言っても元々の差がデカすぎて縮まったのかわかんねぇだろうけどな)
そう思いながらハルトと向かい合う。
「両者見合って!……試合、開始!」
開始と同時にムルドフは自分の魔道具に炎を纏わせ、攻撃を仕掛ける。
武器に属性を纏わせることは本来とても難しいことだが、ムルドフの場合は魔道具の【フレアメイス】に魔力を流すだけで可能になる。
「っらぁ!!」
歳の割に大きな体が高速で迫ってくるのはなかなかに迫力があった。ムルドフのメイスを模擬戦用の刀で受けると破壊されそうだったので回避することにした。
ハルトが直前までいた場所は大きくえぐれており、その衝撃の大きさを物語っていた。
(やっぱり受けなくて正解だったな。魔力通してても破壊されてたかも…)
「ちっ、やっぱ速ぇ!」
「ムルドフもだいぶ速いですよ!」
武器の性質上マトモに打ち合えないので攻撃は基本回避しているハルトにムルドフは苛立ちを募らせるが、ハルトは短期間でかなり成長していることに感心していた。
リヴィアは対応できなかった速度域であってもムルドフは【魔纏い】の出力を上げずに対応している。そして…
「らあっ!」
「くっ?!」
その速度に目が慣れたのか、ハルトをついに捉えた。
「へへっ、やっと当ててやったぜ」
ムルドフがここまで早く適応してくると思っていなかったハルトは驚いた顔をする。
「ここまで早く適応するとは思いませんでしたよ…やはりセンスはずば抜けているみたいですね」
「はっ、よく言うぜ。仕留められるチャンスをわざわざ見逃してただろうが」
「えぇ、ですがそれで、今の一撃ができたのならいいじゃないですか。では、速度を上げていきますよ?さすがにもう勝たせてもらいますね」
そう言ってハルトは抑えていた力を少し解放する。
「っ?!」
ハルトが真正面から攻めてきたのに驚き反応が遅れたが、ギリギリ対応ができた。が、その一撃は先程とは比べ物にならないほど重くなっていた。
「くうぅっ、なんつー威力だ。一撃受けただけで手がしびれてやがるぜ…」
気合いを入れ直したムルドフだったが、数回も撃ち合うと自分の武器を持てなくなり、【フレアメイス】が弾かれてしまった。
「そこまで!勝者、ハルト!」
決着が長引くと思っていた観客達はハルトがまだ本気を出していなかったのだと思い知らされた。そして上級生を相手にどこまで戦えるのだろうという期待の眼差しを送っていた。
お気に入り登録者様が258人になりました。ありがとうございます!
今月はあともう1話投稿できそうです!
そのアナウンスを聞いてムルドフは苦笑いする。
「まるでハルトが勝つのが確定事項みてぇな言い草だな。ま、間違ってねぇけどな」
「いえ、何か大番狂わせで勝てるかもしれませんよ?」
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ムルドフはどうしてもハルトに勝てる気がしなかったが、だからといって適当に試合をする気はなかった。放課後の特訓ではハルト対数名のクラスメイトで模擬戦をすることはあっても、タイマンをしたことはなかった。つまり、この闘技祭は自分単体でハルトにどこまで近づけたかを知る絶好の機会なのである。
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