異世界はチートなカードで乗り切ろう!?
48.クラス分け試験 後編
遠距離攻撃の試験が終わり模擬戦をする場所に移動した。
最初の模擬戦はフィーリア対メイシーだった。女子同士ってのは偶然じゃないんだろうな。俺の相手は誰なんだろうな…まさかフィレリアさんとか言わないよな?ぐ、偶数だし他の3人のうちの誰かだよな?!
ハルトは1人不安になる。しかしそれは杞憂というものであった。さすがに王国の騎士団長なのでそうホイホイと抜け出すことはできない。(というよりも頻繁にハルトのところに顔を出していたおかげで書類が溜まりに溜まって謹慎をくらっただけなのだが)
「さて、この試験でも自分の魔道具を使ってくれて構わない。使わない者はそこにある刃引きされた武器を使うように。魔道具を使う場合はなるべく寸止めにしてくれ。この会場は大抵のケガならば治癒する魔法が付与されているから安心して戦ってくれ。これはあくまで近接戦の試験であるからそこも考慮するように」
へぇー、俺の読んでたラノベと同じだな。んでもってやっぱり今の魔法技術じゃ再現できないんだろうな。まあ正直関係ないけど。模擬戦は遠距離攻撃は許可されてない(そもそもそんなに離れている訳では無い)けど、【グラビティ】ってどうなんだろうな…
指定したものの重さを操る【グラビティ】は相手の動きを阻害するだけでなく、押しつぶす事も可能なので、これは攻撃魔法(つまりは遠距離攻撃)とみなされる恐れがあった。
フィーリアは短剣、メイシーも短剣だった。2人とも短剣使いなのか…
ハルトは高速戦闘を期待していた。が、ハルトは普段からこの世界の人類のトップと言っても過言ではないフィレリアとの模擬戦を行っていて、無意識にそのレベルのスピードを想像していたため…
カンッ!  カンッ!  カキィン!
現在打ち合われている速度を見て、
「遅いなぁ…」
とボヤいてしまった。それを聞いた事情を知る試験官が、
「君の基準では遅いだろうけど、一般人からしたら充分に速い部類に入るさ。君が特別すぎるだけだ…」
と、呆れられながら説明された。
「あっ、す、すいません。フィレリアさんの速度になれてるとどうしてもそう思ってしまいまして…」
そういえばそうか。俺が異常なだけか。
メイシーがフェイントなどを織り交ぜながら、多彩な攻撃を放っていて、フィーリアはそれをどうにかいなしている状態だった。
「これでおわりよ!」
「っ?!」
メイシーはそう告げると、フィーリアの短剣を弾き、切っ先を首に近づける。
「そこまで!勝者、メイシー!」
試合がおわり、次の組み合わせが発表される前に…
「っ魔力暴走?!」
ハルトの驚愕した声を聞き、一瞬で状況を察した試験官は、ハルトに確認をとる。
「それは本当か?!どこだ?!」
「遠距離組の方です!少し行ってきます!」
そう言うやいなやハルトは試験会場をあとにし、急いで暴走した魔力の元へ向かう。
リナ様が押さえてくれているからまだ爆発はしていないけど、ギリギリでもちこたえてるだけだな。
遠距離組の試験会場は約1km。並の人間なら全力で走っても5分以上はかかる距離だが、ハルトは【ショートワープ】を使って200m前に移動する。直接会場の前にワープできなかったのは視認できなかったからだが、そこから更に【ショートワープ】で移動し、会場の扉を開ける。
「リナ様!大丈夫ですか?!」
「遅いですわ!早く変わりなさい!」
リナもかなりギリギリだったようで、即座にそんな言葉が帰ってきた。
「えぇ、そのつもりです」
その様子に安堵しつつも状況を確認する。
これは元の魔力に戻すのは無理だな…爆発するまであと数秒ってところかな。多分【マジックカード】が使えるはず…
「ふう、どうにか収まりましたね。正直かなりギリギリでしたね。リナ様が踏ん張ってくれていなければここら一帯が更地になっていましたよ」
【マジックカード】はハルトの読み通りしっかりと機能し、最悪の事態は回避された。
ハルトが礼をすると
「そうね、もっと感謝、してくれても、いいんですよ…」
息を切らしながら、そんな返答がきたので、苦笑しながらもう一度、ありがとう。と言って、自分の試験会場に戻る。
「おお、戻ってきたということは…」
「はい、無事に終わらせました」
「それは良かった。それでは模擬戦を再開する。組み合わせはルスタフ対ヴォイドだ」
「「はいっ!」」
ルスタフはロングソードと魔道具である【スタンソード】の二剣流、ヴォイドはナックルソードという変わり種武器だった。
「はあぁぁぁぁぁ!」
「くっ!ぬぅぅぅぅ!」
試合は武器のリーチの長いルスタフが優勢かと思われたが、ヴォイドは斬撃を躱しながら自分の間合いに入ると怒涛の攻めを繰り出す。懐に入られたルスタフは防御もままならず、持っていた武器を2つとも弾き飛ばされた。
「そこまで!勝者、ヴォイド!最後はジャスファー対ハルトだ」
「「はい!」」
ジャスファーは【風魔の短剣】は使わずロングソードのみ、ハルトは刀を手に取る。
うん、これならいつも使ってるのより軽いけど重心は同じだし、どうにかなるな。
試合が始まると同時に、ジャスファーが突っ込んでくる。同年代の中では速い部類だが、フィレリアの踏み込みの速度に比べれば赤子同然であり、余裕で回避出来る。
懲りずに何度も直線的に突っ込んでくるジャスファーに飽きていた。
もう少しフェイントとか混ぜないのかな。直線的すぎてあんまり面白くないんだけど。
「くそっ!ちょこまかと!」
体力が無くなってきたのか、攻撃が止んだ。 
「今度はこっちの番だね!」
そう言って間合いを瞬時に詰める。
「なっ?!」
その速さにジャスファーは驚き、次の瞬間には眉間に剣先があった。
「そこまで!勝者、ハルト!」
こうして試験は全て終了し、クラス発表は後日行われることを言い伝えられ、解散となった。
お気に入り登録者様が220人、いいねが306件になりました。ありがとうございます。
冬コミの場所が取れたので、頒布物の作成が終わるまで休載とさせていただきます。ご理解とご協力をお願いします。
場所は、日曜日 西地区 Rブロック17bです。それぞれの戦いという、戦車戦(?)の創作です。
今回は絵も頑張るズイ(ง ˘ω˘ )วズイ
最初の模擬戦はフィーリア対メイシーだった。女子同士ってのは偶然じゃないんだろうな。俺の相手は誰なんだろうな…まさかフィレリアさんとか言わないよな?ぐ、偶数だし他の3人のうちの誰かだよな?!
ハルトは1人不安になる。しかしそれは杞憂というものであった。さすがに王国の騎士団長なのでそうホイホイと抜け出すことはできない。(というよりも頻繁にハルトのところに顔を出していたおかげで書類が溜まりに溜まって謹慎をくらっただけなのだが)
「さて、この試験でも自分の魔道具を使ってくれて構わない。使わない者はそこにある刃引きされた武器を使うように。魔道具を使う場合はなるべく寸止めにしてくれ。この会場は大抵のケガならば治癒する魔法が付与されているから安心して戦ってくれ。これはあくまで近接戦の試験であるからそこも考慮するように」
へぇー、俺の読んでたラノベと同じだな。んでもってやっぱり今の魔法技術じゃ再現できないんだろうな。まあ正直関係ないけど。模擬戦は遠距離攻撃は許可されてない(そもそもそんなに離れている訳では無い)けど、【グラビティ】ってどうなんだろうな…
指定したものの重さを操る【グラビティ】は相手の動きを阻害するだけでなく、押しつぶす事も可能なので、これは攻撃魔法(つまりは遠距離攻撃)とみなされる恐れがあった。
フィーリアは短剣、メイシーも短剣だった。2人とも短剣使いなのか…
ハルトは高速戦闘を期待していた。が、ハルトは普段からこの世界の人類のトップと言っても過言ではないフィレリアとの模擬戦を行っていて、無意識にそのレベルのスピードを想像していたため…
カンッ!  カンッ!  カキィン!
現在打ち合われている速度を見て、
「遅いなぁ…」
とボヤいてしまった。それを聞いた事情を知る試験官が、
「君の基準では遅いだろうけど、一般人からしたら充分に速い部類に入るさ。君が特別すぎるだけだ…」
と、呆れられながら説明された。
「あっ、す、すいません。フィレリアさんの速度になれてるとどうしてもそう思ってしまいまして…」
そういえばそうか。俺が異常なだけか。
メイシーがフェイントなどを織り交ぜながら、多彩な攻撃を放っていて、フィーリアはそれをどうにかいなしている状態だった。
「これでおわりよ!」
「っ?!」
メイシーはそう告げると、フィーリアの短剣を弾き、切っ先を首に近づける。
「そこまで!勝者、メイシー!」
試合がおわり、次の組み合わせが発表される前に…
「っ魔力暴走?!」
ハルトの驚愕した声を聞き、一瞬で状況を察した試験官は、ハルトに確認をとる。
「それは本当か?!どこだ?!」
「遠距離組の方です!少し行ってきます!」
そう言うやいなやハルトは試験会場をあとにし、急いで暴走した魔力の元へ向かう。
リナ様が押さえてくれているからまだ爆発はしていないけど、ギリギリでもちこたえてるだけだな。
遠距離組の試験会場は約1km。並の人間なら全力で走っても5分以上はかかる距離だが、ハルトは【ショートワープ】を使って200m前に移動する。直接会場の前にワープできなかったのは視認できなかったからだが、そこから更に【ショートワープ】で移動し、会場の扉を開ける。
「リナ様!大丈夫ですか?!」
「遅いですわ!早く変わりなさい!」
リナもかなりギリギリだったようで、即座にそんな言葉が帰ってきた。
「えぇ、そのつもりです」
その様子に安堵しつつも状況を確認する。
これは元の魔力に戻すのは無理だな…爆発するまであと数秒ってところかな。多分【マジックカード】が使えるはず…
「ふう、どうにか収まりましたね。正直かなりギリギリでしたね。リナ様が踏ん張ってくれていなければここら一帯が更地になっていましたよ」
【マジックカード】はハルトの読み通りしっかりと機能し、最悪の事態は回避された。
ハルトが礼をすると
「そうね、もっと感謝、してくれても、いいんですよ…」
息を切らしながら、そんな返答がきたので、苦笑しながらもう一度、ありがとう。と言って、自分の試験会場に戻る。
「おお、戻ってきたということは…」
「はい、無事に終わらせました」
「それは良かった。それでは模擬戦を再開する。組み合わせはルスタフ対ヴォイドだ」
「「はいっ!」」
ルスタフはロングソードと魔道具である【スタンソード】の二剣流、ヴォイドはナックルソードという変わり種武器だった。
「はあぁぁぁぁぁ!」
「くっ!ぬぅぅぅぅ!」
試合は武器のリーチの長いルスタフが優勢かと思われたが、ヴォイドは斬撃を躱しながら自分の間合いに入ると怒涛の攻めを繰り出す。懐に入られたルスタフは防御もままならず、持っていた武器を2つとも弾き飛ばされた。
「そこまで!勝者、ヴォイド!最後はジャスファー対ハルトだ」
「「はい!」」
ジャスファーは【風魔の短剣】は使わずロングソードのみ、ハルトは刀を手に取る。
うん、これならいつも使ってるのより軽いけど重心は同じだし、どうにかなるな。
試合が始まると同時に、ジャスファーが突っ込んでくる。同年代の中では速い部類だが、フィレリアの踏み込みの速度に比べれば赤子同然であり、余裕で回避出来る。
懲りずに何度も直線的に突っ込んでくるジャスファーに飽きていた。
もう少しフェイントとか混ぜないのかな。直線的すぎてあんまり面白くないんだけど。
「くそっ!ちょこまかと!」
体力が無くなってきたのか、攻撃が止んだ。 
「今度はこっちの番だね!」
そう言って間合いを瞬時に詰める。
「なっ?!」
その速さにジャスファーは驚き、次の瞬間には眉間に剣先があった。
「そこまで!勝者、ハルト!」
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