異世界はチートなカードで乗り切ろう!?

田中 凪

44.やっぱり来るよね

ハルトが帰ってきた翌日、やはりというか、まあ、当然のようにフィレリアが食堂にいた。
「やあ、少し前はごめんね?」
「いえ、もう大丈夫です。リフレッシュしようとしたら変な事件に巻き込まれたんで結局変わりませんでしたし…」
「あはっ、その話は聞いたよ。災難だったねぇ」
フィレリアはゲンナリとしたハルトにいつもと変わらない調子で話しかける。何となく気まずいと思いつつもハルトもなるべく普段通りに対応する。
「ほんとですよ…あ、今日は何するんですか?」
「ん?いや、特に何かしようとかは考えてないよ。僕よりも不満のある人はいるみたいだしね…」
そう言ってフィレリアは視線を隣のシストリナに向ける。
「そうですわハルト様。今日こそみっちりと"かがく"とやらを教えてもらいますわ!」
シストリナは鼻息を荒くして、ハルトに詰め寄っていた。
「それに、僕も興味があるからね。魔法の威力が上がるかもしれないんでしょ?」
「え、えぇ、上がると思いますが…とてつもなく難しいですよ?」
フィレリアさんまて来るのか…まあ、しばらくやってなかったしリナの復習にもなるだろうから最初のほうからやってみるか。
「あら、ハルトちゃん。今日は戦闘訓練をしないの?」
「ええ、そうみたいです」
「体を動かすのは1週間に2、3回にしておくよ。さすがにあれはやりすぎちゃったからね…」
フィレリアさんがそう思ってくれて良かったよ。うん、ほんとに…
「というわけなのですがリナ様、どうしますか?」
「フィレリアも参加させていいのかということですの?」
「はい」
「別にいいですわ。フィレリア様は戦闘狂ではありますがとても聡明な方ですし、理解力もすごいのですわ」
「まあ、そうじゃないと騎士団長なんて務まらないからねぇ…」
イケメンでめちゃめちゃ強くて更に頭までいいとか完璧超人かよ…羨ましい…
「わかりました。では早速やっていきましょう」
そう言って控えていたメイド達を部屋の外へ出す。
「【サイレント】」
念のために音を消す魔法を部屋にかけてから話し始める。
「一応言っておきますが、これは地球のものなのでこちらとは違う可能性の方が高いですよ」
「ふーん、そうなんだ。ま、それよりも早く始めてよ」
「あ、はい。それでは始めていきます。まず、地球ではチッ素、酸素、二酸化炭素、そして微量のその他の気体によって星が覆われています。この世界ではこれらの比重も違い、更に魔素も混ざってくるのでよくは分かりませんが…」
「ふぅん、そんなの全然見えないよ?」
「なにせ人の目で見える大きさではないそうですわ」
「はい、リナ様がおっしゃった通り、人の目には見えません。それほど小さいのです」
「そうなんだ。ところで、それってどうやって見つけたんだい?」
うーん、そんなこと聞かれてもだいたいこんな感じとしか答えられないんだよなぁ…
「詳しくは知らないですが、顕微鏡といって、数百倍に拡大して見ることの出来る道具を使うんですよ。まあ、厳密に言えばその倍率のものは普通の顕微鏡では無いのですが…あ、魔道具で持っている人もいますよ」
「へぇー、顕微鏡って道具を用意すれば見れるんだ?」
「確実とは断言できないですよ。実際にやったことは無いですし…そもそもどうやって見つけたのかもよくわかってませんから…」
「なんだ、つまんないのー」
「続けていきます。物の燃焼には点火源である高温物、酸素、木や動物の毛などの燃えやすいものが揃って始めて火が着きます。これを燃焼の三要素といい、これらが揃っていないと火が着きません。逆に言えばどれかを取り除くことで火は消えます」
「なるほど、そのイメージをすると火魔法の威力が上がるし、消し去ることも出来るんだね?」
「そうですけど、魔法ではなかなか上手くはいきませんでしたわ」
「魔法はまだ分からないことだらけですからね…そこばっかりはどうしようもないですね」
「今のところ完璧って訳じゃないんだ」
「えぇ、ですが、高い確率で無効化できますよ」
「相手にしてみればたまったもんじゃないね、それ」
「そうですわね。自分の魔法がなぜ無効化されたのか分からなければもう一度同じ魔法を撃つべきなのか迷ってしまいますわ」
「一瞬でもそんな迷いが出来たら戦場では致命的だね」
「…あの、続けても?」
「あ、うん、いいよ」
「では続けます。酸素はそれ自体が燃えるのでは無く、燃えるのを助ける働きをします。ここがややこしいのでしっかり覚えてくださいね」
その後、いくつかの気体の性質などを説明して勉強会は終わった。
帰り際にフィレリアさんが
「明日は体づくりをメインにやってくからね〜」
と言ってきた。ま、まあ、緩めてくれるよね…?


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前回、コミケに参加すると言っておきながら場所を言ってなかったので今、言います。場所は東京ビックサイト 南 テ02bです。日にちは8月9日金曜日となっております。出し物はノベルバで掲載しているファンタジーではなく、某ネズミのアニメーションスタジオのクルマたちのお話の世界観を使った戦車達のお話です。気になった方はぜひ当日、会場でまで足を運んでいただき購入をお願いします。詳しくは@Mizho_shmiのツイートを見ていただけたらと思います。(まあ、大してツイートされてないんですが…)(^ω^;)
今回はなんか理科の授業みたいになってしまいましたね()
こういう話をちょくちょく出そうと思っているのでよろしくお願いします。

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