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ときどき、ホットミルクが飲みたくなる人生

極大級マイソン

第50話「漆黒の狂乱」

 黒装束達が悲鳴をあげる。何事かと振り返ってみれば、彼らは全身にクリームやら何やらを一斉に浴びていた。
 そしてどういう訳なのか、そのクリームを浴びた者達は、気が抜けたように膝を着き、倒れ、そのまま動かなくなったのだ。
 一方で、俺も同じようにクリームを浴びているが、特にこれといった変化は無い。

「くそっ! 何が起こっているんだ!?」
「『生命を司る能力』さ。そこにいる怪しい人達の生気を、ケーキを媒介にして奪わせてもらったよ」

 そしてキチガイが現れる。
 全身に生クリームをたっぷり着飾らせ、排泄物のようにケーキからぬるりと這い出て来たのは、同じ学園のクラスメートにして、各種強力な能力を保持するキチガイ野郎、大森萎だった。
 シナビは腹這いの格好から立ち上がり、ポケットからハンカチを取り出しクリームを拭き取り始める。

「お菓子づくりが趣味とは聞いて呆れるな。食べ物を粗末にするなよ」
「……ケーキの命は花のように短く、そして儚い。人によって食べられる期限が非常に短いお菓子達にとって、お店のショーケースに入れられたまま売り残る事も、僕によってグチャグチャに壊される事も、結局は同じだと思わないかい?」
「それは名誉ある死もくだらない死も、結局はどれも同じ【死】だっていう哲学的な話か」
「いや、食べ物を粗末にするなって話だよ」
「そんな事より、何用でここに来た。ただの観戦って訳ではないだろう。……まさか、1対1の真剣の場で横槍を入れる気か?」

 シナビは俺の後ろの方を覗いて、

「どの辺りが1対1なのか教えて欲しいんだけど」
「ああ、この変な格好をしているまっくろくろすけ共は通行人だ。俺らには関係ない一般人」
「何で揃いも揃って同じ色の服を着ているのさ」
「そりゃあ葬儀の最中か、厨二趣味の痛い奴ら何だろう。もしくは全員【黒の剣士キ○ト】なのかも」
「二刀流の使い手で、指ぬきグローブをしているの?」
「そうそう。嫁力高いメンヘラ気質な女騎士ヒロインを侍らせて、ロリロリなチート妖精を娘にし、電脳世界でキャッキャウフフな新婚プレイを堪能するキチガイ野郎だ」
「ああ、うん。そろそろ色んな人に怒られそうだからやめにしようか。…………下手なごまかしは必要ないよ、太陽くん。君が正々堂々の試合でズルをした事はわかっているんだ」

 ちぇ、騙されなかったぜこの馬鹿。
 俺は露骨に舌打ちをした。

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