ときどき、ホットミルクが飲みたくなる人生

極大級マイソン

第33話「平凡な高校生」

 次の日、俺は教室でシナビと駄弁っていた。シナビの持ってきた焼き菓子を摘みつつ、俺は話を切り出す。

「なあ、シナビ。ちょっと『消防車』貸してくれよ」
「消しゴム貸してくれよの気軽さでなんて物を注文してくるのさ」
「今度の試合、峰長を倒すには早々の準備が必要だ。となれば、まずは奴の弱点である水を大量に用意しておくのが定石だろう」
「それで、消防車?」
「貸してくれよ」
「無理だよ。ていうか無いよ。そもそも何故僕に尋ねるし。僕はただのお菓子づくりが趣味な普通の平凡な高校生だよ」
「死ねやおらああああああ!!!!」

 俺は椅子から立ち上がり、シナビの顔面に思いっきりカッターをぶっ刺そうとした。
 と、その瞬間。シナビの姿が消えていた。というかいつの間にか手にあったカッターが無くなっている。

「…………いきなり何をするのさ」

 振り向くと、そこには呆れた表情を浮かべる大森萎の姿があった。おまけに俺のカッターも握りしめている。おそらく、この現象は奴の能力、『時間を止める能力』によるものだろう。時間を止めている間に移動し、俺からカッターを奪ったのだ。

「平凡な高校生が何だって?」
「それを言いたいが為に、僕に襲い掛かったの?」
「消防車を用意できないなら別のことを頼む」
「何さ」

 俺は一瞬間を開けて、シナビから『本命』を聞き出そうと口を開く。

「この学園の能力者達について教えろ」

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