精霊たちと契約戦争

takuma

平和な休日

「可愛いー。ねぇ楓、この子飼わない!?」
紅葉がそう言いながら1匹の猫を指さした。
そこには、ショーケースの中に入った小さな子猫がいた。
確かに可愛い、猫派の俺としても出来れば飼いたいくらいだった。しかし、
「何を言ってんだよ。家には猫を飼う余裕なんて無いし俺たちじゃ時間もないだろ。」

「じゃ、じゃあこの子はどうですか?楓さん。」
今度は、椿が少し大きめの真っ白な綺麗な猫を指さした。
「で、でも飼うならやっぱり三毛猫ですよ。賢いし良い子だし。」
「良い子になるかは仕付けのしかただと思いますけど。」
何故か猫を飼う流れで勝手に話が進んでいく。
「そう言うことじゃなくて、うちで猫は飼えないんだけど・・・って、聞いてない。なぁ藺草助けてくれよ。」

俺は後ろを振り向き藺草に助けを求める。
「ちぇ、何だよ、楓ばっかりさー、少し位俺に構ってくれてもいいじゃん。」
「ご、ごめんって。ジュース1本奢るからさ。」
(実はさっきから後ろの方で色んな話を振ってきてくれていたのだが、全然反応できていなかった。
ごめん。

だって、

この子たち、話始めたら止まんないんだもん!!)

そんなことを心の中で叫んだ。
だが後ろにいる藺草には聞こえるわけもなく、いじけ続ける。
しかし、いきなり何かを思い出したように凄い勢いで立ち上がり言った。

「なぁみんな、ケーキ食べに行かない!」

「ケーキ?・・・」
「「食べたい!!!」」
椿は''なぜケーキなの?''と不思議そうな顔をしていたが、紅葉とエマは即答だった。
「でも、まだ午前中だぞ。」
まだお昼を食べていない俺はそう呟く。

結局来てしまった。
俺たちはペットショップを出たあと、近くにあると言う藺草のオススメのケーキ屋に来ていた。
そこはとても落ち着いた雰囲気で、今では珍しい木組みの建築物だった。時間帯的には混む時間ではないのか、まだ席は空いている。
目の前の机には、ミルフィーユやチョコレートケーキ、モンブランと色々な種類のケーキ、そしてコーヒーと紅茶が並んでいる。

「なぁ藺草、こんなとこよく知ったな。よく来るのか?」
「うんまぁ。あ、そっか楓を連れて来るのは初めてだもんな。実はここな、俺の親戚のおじさんがやってる店なんだよ。」
「何だよ、こんなに近くにあるならもっと早く教えてくれよな。俺ケーキ好きなんだから。」
「もとは、コーヒーショップだったんだけど、若者や女性客を増やすためにケーキも出したんだって。」

そんな話を聞きながら俺はお店を見渡した。
やっぱり落ち着く。
今では、日本の科学技術の発達によってつくられた、素材で何でも作られる。
木製の建物何て滅多に見ない。
だからこそ暖かみを感じる。
始めてきたのに、何処か懐かしさを感じ、俺はもうここが好きになっていた。

きずけば机にあったケーキはすべてなくなっていた。
最後にコーヒーを飲み、お店のマスターに一言、
「美味しかったです、また来ます。」
「またどうぞ。」
マスターはペコリと小さく頭を下げ、手に持っていたマグカップを拭き始めた。

そのあとは結局ショッピングモールに戻り、アクセサリーショップやら色々な場所をまわた。
そんな、楽しい時間ほど過ぎるのは早く感じる。
こんな平和な休日とは一変、1カ月後最悪な光景を戦場で見ることになるのだった。

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