なんでも【美少女化】するスキルでハーレム作ります ~人も魔物も無機物も俺も!?~

八木山蒼

第30話 決着

 人類の皆殺し……サンノ大司教にとりついた悪魔は声高にそう宣言した。

『神は人の信仰心を糧とする、ゆえに人を皆殺しにすれば神もまた潰える……先の大戦でその目的はほぼ達せられたはずだった……』

 サンノの背後に立ち上る黒い影が顔を成し、悪魔の声で語る。俺は森の魔女に聞いた話を思い出す、1300年前の神と魔の大戦において、人類の95%が地上から消えたと。そしてそれを救った力こそが。

『だが、忌々しき神は人に力を与えた! その力で人はその種を保ち、また力を与えた神への信仰を増し……! 大戦の傷の癒えぬ我らを嘲笑うかのように、人と神の世を作り上げたのだ!』

 魔女にも仄めかされていたことだが、【美少女化】のルーツの壮大さに驚かされる。だがその壮大さがそのまま俺へ迫る危機を意味してもいるのだ。

『この男は神に仕える身だ、知ろうと思えばいつどこで誰にどんなスキルが与えられたかを知られる! ゆえに私はずっと見張っていたのだ、忌々しきあの力が与えられはしないかと! そして懸念の通りに見つけた、それが貴様だセイ・ブルーム!』

 悪魔グリモワールは名指しで俺へ憎悪を向けた。俺は背筋が凍り付くのを感じた。

『もはやその力、殺して抹消するだけでは物足りん! 神の力を我が力で奪い侵し、逆に利用してやろう……悪魔を生み出す力としてなァ!』

 サンノの体が動き出す。開いていた書物をめくり手を置くとそのスキル【聖典】が発動し、今度は光の矢が無数に降り注いだ。

「下がれセイ!」

「こりゃマジでやべえ!」

「くっ、大司教様!」

 すぐにインフェルノ、マグナム、ポンドが光の矢を防ぐ。だが実力者3人がいてなお安心はできない。
 もし悪魔の言う通りに俺のスキルが奪われて悪魔を生む力となれば……人間はもちろん、動物、魔物、無機物、あらゆるものから無限に悪魔を生み出せることとなる。それが現実となった時、この世に訪れる地獄を想像し俺はゾッとした。

「だ……だが! それだけ、このスキルが強力な力ってことだろ!?」

 俺はなんとか勇気を出して悪魔グリモワールを睨みつけた。当事者である俺が怯んでばかりではいられない、この力を己の意志で使うことが女神に力を与えられた者としての義務だ。

「一度スキルにかかったはずなのに攻撃をやめないのは、あくまで【美少女化】したのが体を操ってるだけのサンノ大司教だったからだ! なら悪魔、お前にスキルをかけてしまえばいい! なんであろうと美少女にできるのが俺のスキルだ、くらえーッ!」

 悪魔目掛け、【美少女化】スキルを発動した。黒い顔のようなオーラがスキルの光に包まれる、そうなれば一瞬……そのはずだった。

『効かんわァ!』

 悪魔が吼え、光は霧散した。

「そ、そんな馬鹿な、俺のスキルが……」

『馬鹿は貴様だ、女神の力が悪魔に効くと思ったか!? ましてやその力を憎む我が対策をしていないとでも?』

「クソッ」

 これまで本気でかければなんであろうと【美少女化】してきたスキルがまったく効かない、そのショックと絶望感は大きかった。
 だがその時、ルナルが前に進み出る。

「いいえ! まったく効かないわけじゃあないわ!」

『……なんだと?』

 愛用の杖を振りかざし、悪魔と対峙し不敵に笑う。その顔は自信に満ちていた。

「【美少女化】のメカニズムは物質の魔力転換と再形成! あんたはその魔力転換の過程を力技で跳ね返しただけ! それに狙いも悪かったわ、あんたの本体はそこじゃないもの!」

「ルナル、どういうことだ?」

「本で読んだことがあるのよ、グリモワールは確か魔導書の悪魔の名前! そして取り憑かれてる大司教のスキルは【聖典】、本の力を引き出すスキル! そのために多くの本を持っていて、グリモワールが宿ってる本をうっかり開いちゃったんじゃない? つまりあんたの本体は、手に持っているその本!」

『グッ……!』

 ルナルの追及に悪魔グリモワールが顔を歪めた。

「さあセイ、今度はあの本目掛けてやっちゃいなさい! 私も魔法でブーストしてあげるわ!」

「そ、そんなことができるのか?」

「メカニズムはわかってるもの、戻すことはできなくてもパワーの手助けはできるわ! さっさと美少女にしちゃいなさい!」

「ああ、わかった」

『この……させるかあッ!』

 叫ぶグリモワール、その手の本からどす黒いオーラが沸き上がった。やはりあの本が本体なのだ。
 だがスキルを発動させまいとグリモワールも本気だ、黒い光が恐ろしい怪物の姿となり、無数に増殖して俺らに襲い掛かる。

「無駄じゃ!」

 神官様が壁を張り怪物をせき止める。いくつか回り込んだものもインフェルノたちが切り払った。
 俺はその後ろでグリモワールへと両手を向け、その肩にルナルが手を置いた。ルナルから温かい力が流れ込んでくる。

「今度こそいくぞ、全力だ! くらえ、グリモワール!」

『や、やめっ……』

 そして、光が辺りを包み込んだ。

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