なんでも【美少女化】するスキルでハーレム作ります ~人も魔物も無機物も俺も!?~
第28話 悪魔
俺らは真正面からセントヘレンズ大聖堂に乗り込んだ。
正面の扉を抜けると、まず目に飛び込んできたのは巨大な女神像。女神イスリエラを象った女神像は特殊な魔法石で作られ、硬質ながらも陽光を受け青く透き通った光に包まれ慈愛の笑みを浮かべている。聖堂正面の大広間は女神像を中心に様々な調度品が飾られ、普段は大勢の教団関係者が行き交っているらしいが……
今そこにいたのは、ただ1人。
「おや……珍しいお客様ですね」
女神像の足元でこちらに背を向ける男。穏やかな口調でゆっくりと呟く。そして振り返った。
小太りの男だった。白と金の法衣に身を包み、人のよさそうな笑みを浮かべている。上級聖職者の証である帽子を被り、後ろ手に手を組み俺らを見ていた。
この男がサンノ大司教だ。
「ポンド。そちらの方々はどなたですかな?」
ゆったりとポンドに語り掛けるその姿は神に仕える者にふさわしい穏やかさで、俺は一瞬張り詰めた気が抜けそうになる。本当にこの男が『呪い』を操りアルパたちを殺そうとしたのだろうか?
「こちらはマグナム・アトランティスさんとそのお連れの方々です」
「マグナム……? マグナムさんの姿が見えませんが」
「俺がマグナムだよ、大司教の旦那。久しぶりだな」
「はて……どういうことでしょうか」
「こいつのスキルにやられちまってなあ」
そう言って、『ルナル』が『マグナム』を指でさした。
「ははあ、そんなスキルがあるのですか。それはいかなるものなのですか?」
「ああ、【美少女化】って言ってな……」
マグナムのフリをして話すルナル、その後ろでインフェルノが俺に小声で伝えた。
「『嘘』だ。奴はお前がスキルの持ち主であることも【美少女化】の存在も全て知っていて素知らぬフリをしている」
俺は小さく頷く。やはりサンノ大司教、腹に一物抱えているのは間違いなさそうだ。あとはその正体だが……
「ん?」
ふいに、俺らの中から抜け出す者がいた。とことこ歩き、真っ直ぐに大司教へと向かっていく。それはこの大聖堂に来るとき、何かの役に立つかもしれないと思い連れてきた子供……ブリュだった。
「おや……どうかしましたかなお嬢さん」
大司教はブリュに合わせてそっと身を屈める。ブリュは真っ直ぐにすたすた大司教へと向かい、その顔のすぐ前で止まった。
何をする気だ? 俺らが怪訝に思い見つめていたその時。
「フン!」
突然、大司教にヘッドバットをかました。
「うぐっ!?」
当然、顔へ頭突きを喰らった大司教が顔を抑えてのけぞる。俺らはとにかく驚いた。
「ぶ、ブリュ!? 何やってるんだお前」
尋ねるとブリュはこちらを見て、大司教を指差しつついつもの強気な顔で言った。
「こいつ、悪魔の気配する! 私の『かご』で焼かれてる!」
「え?」
一瞬言っている意味がわからなかったが……大司教の方を見てみると。
「うっ、ぐうっ、ぐぐぐ……!」
いくら顔面にいきなりとはいえ、子供に頭突きされただけにしては苦しみ方がおかしい。顔を抑え苦悶の声を上げている。しかもその身から、得体のしれない瘴気のようなものが漂い始めていた。
そして、その仮面がはがれ始める。
「この力……! ブリューゲルの槍!? そうか、【美少女化】スキルで……このッ!」
大司教の魔の手がブリュに伸びる。しかしその手はポンドによって止められた。
「あなた……マグナムさんの言った通り、やはり、何かおかしい! 正体を現しなさいッ!」
「フン……小僧がァ!」
「ぐっ!?」
サンノが手を振るうと、突然衝撃波が発生しポンドとブリュを吹き飛ばした。俺たちが総出でなんとか受け止める。今やサンノの善人の面は完全にはがれ、その邪悪な本性を表そうとしていた。
「いいだろう貴様ら……もはや準備もできた! 我が姿を見て、ここで死ぬがよいッ!!」
サンノの体から立ち上ったのは――悪魔。
正面の扉を抜けると、まず目に飛び込んできたのは巨大な女神像。女神イスリエラを象った女神像は特殊な魔法石で作られ、硬質ながらも陽光を受け青く透き通った光に包まれ慈愛の笑みを浮かべている。聖堂正面の大広間は女神像を中心に様々な調度品が飾られ、普段は大勢の教団関係者が行き交っているらしいが……
今そこにいたのは、ただ1人。
「おや……珍しいお客様ですね」
女神像の足元でこちらに背を向ける男。穏やかな口調でゆっくりと呟く。そして振り返った。
小太りの男だった。白と金の法衣に身を包み、人のよさそうな笑みを浮かべている。上級聖職者の証である帽子を被り、後ろ手に手を組み俺らを見ていた。
この男がサンノ大司教だ。
「ポンド。そちらの方々はどなたですかな?」
ゆったりとポンドに語り掛けるその姿は神に仕える者にふさわしい穏やかさで、俺は一瞬張り詰めた気が抜けそうになる。本当にこの男が『呪い』を操りアルパたちを殺そうとしたのだろうか?
「こちらはマグナム・アトランティスさんとそのお連れの方々です」
「マグナム……? マグナムさんの姿が見えませんが」
「俺がマグナムだよ、大司教の旦那。久しぶりだな」
「はて……どういうことでしょうか」
「こいつのスキルにやられちまってなあ」
そう言って、『ルナル』が『マグナム』を指でさした。
「ははあ、そんなスキルがあるのですか。それはいかなるものなのですか?」
「ああ、【美少女化】って言ってな……」
マグナムのフリをして話すルナル、その後ろでインフェルノが俺に小声で伝えた。
「『嘘』だ。奴はお前がスキルの持ち主であることも【美少女化】の存在も全て知っていて素知らぬフリをしている」
俺は小さく頷く。やはりサンノ大司教、腹に一物抱えているのは間違いなさそうだ。あとはその正体だが……
「ん?」
ふいに、俺らの中から抜け出す者がいた。とことこ歩き、真っ直ぐに大司教へと向かっていく。それはこの大聖堂に来るとき、何かの役に立つかもしれないと思い連れてきた子供……ブリュだった。
「おや……どうかしましたかなお嬢さん」
大司教はブリュに合わせてそっと身を屈める。ブリュは真っ直ぐにすたすた大司教へと向かい、その顔のすぐ前で止まった。
何をする気だ? 俺らが怪訝に思い見つめていたその時。
「フン!」
突然、大司教にヘッドバットをかました。
「うぐっ!?」
当然、顔へ頭突きを喰らった大司教が顔を抑えてのけぞる。俺らはとにかく驚いた。
「ぶ、ブリュ!? 何やってるんだお前」
尋ねるとブリュはこちらを見て、大司教を指差しつついつもの強気な顔で言った。
「こいつ、悪魔の気配する! 私の『かご』で焼かれてる!」
「え?」
一瞬言っている意味がわからなかったが……大司教の方を見てみると。
「うっ、ぐうっ、ぐぐぐ……!」
いくら顔面にいきなりとはいえ、子供に頭突きされただけにしては苦しみ方がおかしい。顔を抑え苦悶の声を上げている。しかもその身から、得体のしれない瘴気のようなものが漂い始めていた。
そして、その仮面がはがれ始める。
「この力……! ブリューゲルの槍!? そうか、【美少女化】スキルで……このッ!」
大司教の魔の手がブリュに伸びる。しかしその手はポンドによって止められた。
「あなた……マグナムさんの言った通り、やはり、何かおかしい! 正体を現しなさいッ!」
「フン……小僧がァ!」
「ぐっ!?」
サンノが手を振るうと、突然衝撃波が発生しポンドとブリュを吹き飛ばした。俺たちが総出でなんとか受け止める。今やサンノの善人の面は完全にはがれ、その邪悪な本性を表そうとしていた。
「いいだろう貴様ら……もはや準備もできた! 我が姿を見て、ここで死ぬがよいッ!!」
サンノの体から立ち上ったのは――悪魔。
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