なんでも【美少女化】するスキルでハーレム作ります ~人も魔物も無機物も俺も!?~
第29話 災厄
「フハハハハハハハ……ハハハハハ……!」
サンノ大司教が高々と笑う。その全身から、どう見てもヤバイ真っ黒なオーラが立ち上っていた。魔力など全く感じ取れない俺でもヤバイとわかるし、見ているだけで寒気がしてくる。インフェルノとマグナムがかばっていてくれなければ立つことも厳しかったかもしれない。とにかくヤバい。語彙力が死んでる。
「な、なんだかヤバくないですか!? これ……」
「ああ、かなり危機的だ。ひとまず下がっていろ」
「こりゃあとんでもないアタリを引いちまったかな? いやハズレかもなぁ……」
Sランク冒険者である2人ですら緊張しているのがわかる。俺はおとなしく2人の後ろに隠れていた。唯一聖騎士団長のポンドだけが剣を抜いて2人と並ぶ。
「サンノ大司教のスキルは【聖典】、書物より僧侶系スキルと同じ力を引き出す力です。ですが今のこの力、明らかに【聖典】のものではない! 貴様サンノ大司教ではないな、何者だ!?」
剣を向けて叫ぶ。だが対するサンノはポンドを嘲笑した。
「正真正銘、サンノだよ。証明がいるかな?」
サンノは法衣の中から隠し持っていた本を手に持った。それを開き手を置くと本が光を放つ。
次の瞬間、十字架を象った光が次々に俺たちへ放たれた。
「下がれ、お前らッ!」
インフェルノが鋭く叫び、慌てて後ろに下がる。インフェルノも剣を抜き、ポンドと共に襲い来る十字架を切り払った。
「これは【聖典】による光魔法!? バカな、じゃあ本当にサンノ大司教が……」
「そう言っているだろうポンド・シノバズ。ショックか? 信じていた者の正体を知って」
「残念だがこいつは嘘をついていない、心音が正常だ。こいつが大司教であることは間違いない」
「そんな……な、なぜ、あなたほどの方が……」
「こまけぇ話は後だ! まずはぶちのめしてやるぜぇ!」
マグナムは懐から大き目の水筒を取り出し、サンノ目掛け放り投げた。途中で水筒が弾け飛び、マグナムの力により中の水が巨大な腕となってサンノに迫った。
だが。
「腐れよ」
サンノが一言呟き、黒いオーラが水を包む。真っ黒になった水の腕はピタリと空中で静止したかと思うと、まったく向きを変えて逆にマグナムへと迫った。
「なっ、馬鹿な、俺のスキルを上回ったってのか!?」
「マグナム、あれを拡散させるな! 全滅するぞ!」
「わかってる、ありゃヤバすぎる! ちいっ」
マグナムが飛び出し、迫る黒の腕をその身で受け止めた。水がマグナムの体に触れた瞬間、その肌に邪悪な色のアザが浮かび上がった。
「ぐっ……ぐあああああああああ!?」
マグナムが苦しさに絶叫を上げて転がった。『呪い』に侵されたのだ。
「セイ、お前のスキルだ! 俺の時と同様にやれ、すぐに!」
「は、はいっ!」
俺は指示に従ってスキルを発動した。マグナムの体を包むアザだけが光に包まれ、やがてマグナムの首や手足を締め付ける少女の姿へと変わる。黒肌の少女はなおも『呪い』としての特色を残し、マグナムの首を絞め殺そうとしている。
「やめろッ! マグナムさんを殺すことは、俺が絶対に許さない!」
俺が命令すると黒肌の少女はびくっと体を震わせて止まった。【美少女化】スキルは服属の性質があり、命令に従わせるほどの強制力はないが強く命じれば一時動きを止めるくらいはたやすい。その隙にマグナム自身が少女を振り払った。
「こうなったら俺がやってしまいます! くらえーっ!」
俺はそのまま前に出て、サンノ大司教へとスキルを打ち放った。俺のスキルを防ぐ術はない、変化も一瞬だ。抗う間もなくサンノの体が光に包まれる。
やがて現れたのは金色の髪をした少女。細かい容姿を考える余裕もなかったので服装は法衣そのまま、年齢は俺と同じくらいだ。だが【美少女化】さえさせてしまえば俺へ服属する、特に殺意を抱くほどのことはまずなくなる。
「いい加減にやめろッ! 攻撃を止めて大人しくしろーッ!」
強く命令すれば止められる、これで……
「断る」
少女となったサンノは呟くと、スキルを使い光の刃を俺へ打ち放った。本気で命を奪う気の攻撃に血の気が引いた。
「させるかよッ!」
すんでのところでマグナムが横から刃を殴り霧散させた。命の危機に俺はへたへたと座り込んでしまった。
「な、なんで……【美少女化】させた相手が俺を殺そうとするなんて……」
ありえないことだ、スキルの服属に強制力は弱いとはいえ、命令に真っ向から刃向かいあまつさえ殺そうとするなんて……
「貴様にはそのスキルのことが何もわかってはいないのだ! 今は生かしておいてやる、大人しく見ているがいい!」
少女のサンノが恐ろしい目で俺を睨みつける。そして再び手にした書物をめくり、スキルを発動した。
すると十字架の飛び道具が、今度は『呪い』の黒を纏って放たれた。かするだけで致死の呪いに侵される十字架が俺たちに迫る。
「皆、下がっておれ! ティル・ラ・イスリエラ!」
進み出たのは神官様だった。女神を讃える言葉を述べながら手を掲げるとその手に光が宿り、そこから輝く壁が出現して十字架を受け止めた。だが十字架が当たった先から壁が黒く染まっていく。
「くっ、女神様、我らをお守りください……ハッ!」
神官様が祈るように両手を合わせた。すると壁の光がさらに増して、十字架と共に消滅していった。
「この力……間違いない、女神様と相反する邪悪な力……! わかったぞ!」
神官様はサンノを指差し、声高に叫んだ。
「こ奴の正体は悪魔じゃ! かつて神との戦いに敗れ、地上より姿を消した邪悪の化身!」
悪魔……平時に言われたならなんだそりゃとしか思わなかっただろう。だが今、邪悪なオーラを目の当たりにし、数々の異常や死に至る『呪い』を見せるサンノに対しその呼称を使うことはごく自然に思えた。
そして悪魔と呼ばれたサンノもまた、否定せずに嗤う。
「ほう、場末のしたっぱ神職かと思えば……悪魔の存在すら忘れ平和惚けした人間としては、よくぞ我が正体を見破ったものだな」
「それでは貴様、やはり……」
「いかにも。我は悪魔……名をグリモワール! 現世に蘇りし災厄よ!」
叫ぶサンノの体から立ち上るオーラがだんだんと形を成してきた。赤く輝く目や口が開き、サンノの声に不気味な響きが重なっていく。
『女神がのさばる地上を我が手で呪い……死屍累々の地獄絵図でもって過去の戦いの雪辱を果たすのだ!』
過去の戦い……その言葉に俺は血の気が引いた。悪魔が語る戦いとは間違いなく神魔大戦と呼ばれる神と人が悪魔と戦った戦争のこと。
その戦争において、全人類の九割五分が命を落とした。
「わかったぞグリモワール、貴様はサンノ大司教に取り付き、内部から女神様の信仰を破壊せんというのだな!?」
ポンドの言葉にサンノ及びその背後のグリモワールはまた笑った。
『信仰の破壊? それだけで済ますものか! 我が望みはかつて果たせなかった人類の抹殺……皆殺しだ! 人という種そのものを殺しつくし絶やす! それこそが、我ら悪魔の望みよ!』
サンノ大司教が高々と笑う。その全身から、どう見てもヤバイ真っ黒なオーラが立ち上っていた。魔力など全く感じ取れない俺でもヤバイとわかるし、見ているだけで寒気がしてくる。インフェルノとマグナムがかばっていてくれなければ立つことも厳しかったかもしれない。とにかくヤバい。語彙力が死んでる。
「な、なんだかヤバくないですか!? これ……」
「ああ、かなり危機的だ。ひとまず下がっていろ」
「こりゃあとんでもないアタリを引いちまったかな? いやハズレかもなぁ……」
Sランク冒険者である2人ですら緊張しているのがわかる。俺はおとなしく2人の後ろに隠れていた。唯一聖騎士団長のポンドだけが剣を抜いて2人と並ぶ。
「サンノ大司教のスキルは【聖典】、書物より僧侶系スキルと同じ力を引き出す力です。ですが今のこの力、明らかに【聖典】のものではない! 貴様サンノ大司教ではないな、何者だ!?」
剣を向けて叫ぶ。だが対するサンノはポンドを嘲笑した。
「正真正銘、サンノだよ。証明がいるかな?」
サンノは法衣の中から隠し持っていた本を手に持った。それを開き手を置くと本が光を放つ。
次の瞬間、十字架を象った光が次々に俺たちへ放たれた。
「下がれ、お前らッ!」
インフェルノが鋭く叫び、慌てて後ろに下がる。インフェルノも剣を抜き、ポンドと共に襲い来る十字架を切り払った。
「これは【聖典】による光魔法!? バカな、じゃあ本当にサンノ大司教が……」
「そう言っているだろうポンド・シノバズ。ショックか? 信じていた者の正体を知って」
「残念だがこいつは嘘をついていない、心音が正常だ。こいつが大司教であることは間違いない」
「そんな……な、なぜ、あなたほどの方が……」
「こまけぇ話は後だ! まずはぶちのめしてやるぜぇ!」
マグナムは懐から大き目の水筒を取り出し、サンノ目掛け放り投げた。途中で水筒が弾け飛び、マグナムの力により中の水が巨大な腕となってサンノに迫った。
だが。
「腐れよ」
サンノが一言呟き、黒いオーラが水を包む。真っ黒になった水の腕はピタリと空中で静止したかと思うと、まったく向きを変えて逆にマグナムへと迫った。
「なっ、馬鹿な、俺のスキルを上回ったってのか!?」
「マグナム、あれを拡散させるな! 全滅するぞ!」
「わかってる、ありゃヤバすぎる! ちいっ」
マグナムが飛び出し、迫る黒の腕をその身で受け止めた。水がマグナムの体に触れた瞬間、その肌に邪悪な色のアザが浮かび上がった。
「ぐっ……ぐあああああああああ!?」
マグナムが苦しさに絶叫を上げて転がった。『呪い』に侵されたのだ。
「セイ、お前のスキルだ! 俺の時と同様にやれ、すぐに!」
「は、はいっ!」
俺は指示に従ってスキルを発動した。マグナムの体を包むアザだけが光に包まれ、やがてマグナムの首や手足を締め付ける少女の姿へと変わる。黒肌の少女はなおも『呪い』としての特色を残し、マグナムの首を絞め殺そうとしている。
「やめろッ! マグナムさんを殺すことは、俺が絶対に許さない!」
俺が命令すると黒肌の少女はびくっと体を震わせて止まった。【美少女化】スキルは服属の性質があり、命令に従わせるほどの強制力はないが強く命じれば一時動きを止めるくらいはたやすい。その隙にマグナム自身が少女を振り払った。
「こうなったら俺がやってしまいます! くらえーっ!」
俺はそのまま前に出て、サンノ大司教へとスキルを打ち放った。俺のスキルを防ぐ術はない、変化も一瞬だ。抗う間もなくサンノの体が光に包まれる。
やがて現れたのは金色の髪をした少女。細かい容姿を考える余裕もなかったので服装は法衣そのまま、年齢は俺と同じくらいだ。だが【美少女化】さえさせてしまえば俺へ服属する、特に殺意を抱くほどのことはまずなくなる。
「いい加減にやめろッ! 攻撃を止めて大人しくしろーッ!」
強く命令すれば止められる、これで……
「断る」
少女となったサンノは呟くと、スキルを使い光の刃を俺へ打ち放った。本気で命を奪う気の攻撃に血の気が引いた。
「させるかよッ!」
すんでのところでマグナムが横から刃を殴り霧散させた。命の危機に俺はへたへたと座り込んでしまった。
「な、なんで……【美少女化】させた相手が俺を殺そうとするなんて……」
ありえないことだ、スキルの服属に強制力は弱いとはいえ、命令に真っ向から刃向かいあまつさえ殺そうとするなんて……
「貴様にはそのスキルのことが何もわかってはいないのだ! 今は生かしておいてやる、大人しく見ているがいい!」
少女のサンノが恐ろしい目で俺を睨みつける。そして再び手にした書物をめくり、スキルを発動した。
すると十字架の飛び道具が、今度は『呪い』の黒を纏って放たれた。かするだけで致死の呪いに侵される十字架が俺たちに迫る。
「皆、下がっておれ! ティル・ラ・イスリエラ!」
進み出たのは神官様だった。女神を讃える言葉を述べながら手を掲げるとその手に光が宿り、そこから輝く壁が出現して十字架を受け止めた。だが十字架が当たった先から壁が黒く染まっていく。
「くっ、女神様、我らをお守りください……ハッ!」
神官様が祈るように両手を合わせた。すると壁の光がさらに増して、十字架と共に消滅していった。
「この力……間違いない、女神様と相反する邪悪な力……! わかったぞ!」
神官様はサンノを指差し、声高に叫んだ。
「こ奴の正体は悪魔じゃ! かつて神との戦いに敗れ、地上より姿を消した邪悪の化身!」
悪魔……平時に言われたならなんだそりゃとしか思わなかっただろう。だが今、邪悪なオーラを目の当たりにし、数々の異常や死に至る『呪い』を見せるサンノに対しその呼称を使うことはごく自然に思えた。
そして悪魔と呼ばれたサンノもまた、否定せずに嗤う。
「ほう、場末のしたっぱ神職かと思えば……悪魔の存在すら忘れ平和惚けした人間としては、よくぞ我が正体を見破ったものだな」
「それでは貴様、やはり……」
「いかにも。我は悪魔……名をグリモワール! 現世に蘇りし災厄よ!」
叫ぶサンノの体から立ち上るオーラがだんだんと形を成してきた。赤く輝く目や口が開き、サンノの声に不気味な響きが重なっていく。
『女神がのさばる地上を我が手で呪い……死屍累々の地獄絵図でもって過去の戦いの雪辱を果たすのだ!』
過去の戦い……その言葉に俺は血の気が引いた。悪魔が語る戦いとは間違いなく神魔大戦と呼ばれる神と人が悪魔と戦った戦争のこと。
その戦争において、全人類の九割五分が命を落とした。
「わかったぞグリモワール、貴様はサンノ大司教に取り付き、内部から女神様の信仰を破壊せんというのだな!?」
ポンドの言葉にサンノ及びその背後のグリモワールはまた笑った。
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