なんでも【美少女化】するスキルでハーレム作ります ~人も魔物も無機物も俺も!?~
第23話 酔っ払い
「よんじゅうはちっ……よんじゅうきゅっ……ご、じゅうっ!」
「はいおしまい。ダメねえ、たかだか腹筋50回程度で」
「んなこと言ったって……やっぱいきなりは、しんどい……」
「なによ重いの? 胸なの? 胸が重いの? 私へのあてつけがしたいの? ねえ!」
「り、理不尽……」
マットとフランの凸凹コンビ(色んな意味で)がトレーニングをしているのを、俺はルナルやインフェルノと見ていた。
「インフェルノさんはフランの師匠だったんですか」
「意外ねー、あの子誰かに師事するってイメージじゃないのに」
「たしかにあいつは高慢で身勝手だが、冒険者としての生にかける情熱は本物だ。その情熱と精神力をかって弟子に迎えた。俺の弟子はあいつだけだ」
称号だけで一生暮らせると言われるSランク冒険者……そこに師事を願う人間は大勢いるだろう。その中から見出された辺り、フランの本気が伺える。実際フランは偉ぶった言いぶり相応の実力を備えているから納得だ。
「ねえ師匠、改めて聞きますけどなんで私がこいつに修行つけなきゃいけないんですか? 冒険者としては敵なんですよ!」
「誰かに教えることで己が学習も熟達する。言っておくがフラン、俺が見ているのはお前がいかに教えるか、だ。誤ったやり方をすればすぐに修行のやり直しだ」
「ひっ、わ、わかりました! ほらあんた息を整えながらでいいから体を伸ばす! 長いもの振り回すんだから柔軟性は大事よ!」
「ぜえ、ぜえ、ま、待てってば……」
マットはフランの指示に必死でついていき、フランはインフェルノの目を恐れながらマットに指示を出していた。修行とは厳しいものだなー、と俺は他人事なのでのんきに見ていた。
「それでインフェルノさん。俺のスキルの解除法を探しているんですけど、Sランク冒険者の人脈か何かアテありませんか?」
俺が問いかける。インフェルノに一旦こっちに来てもらったのは聞くためだった。ふむ、とインフェルノは顎をなでる。
「スキル解除か……俺としてもできるならばそれが望ましいからな……しかし、森の魔女に会ってもダメだったのだろう?」
「ええ、原理の解析とかは進んだみたいですけど……」
「魔女さまもスキルが専門じゃないからダメみたいなのよ。スキルは女神由来のものだから、どっちかというと神職系になるのかしらね」
「神職か……それならばひとつ心当たりはある。セントヘレンズ大聖堂という名を知っているか」
セントヘレンズ大聖堂、その名前は当然俺も知っている。女神イスリエラを信仰する者たちにとって最大の聖地であり、その名は単に建造物ひとつでなくその聖堂を中心とする聖地全域を指す言葉だ。
「そ、それはもちろん知ってますけど……」
「あそこ、普通は入れないでしょ? 神職者でも入るには申請してから1年以上は待たないと許可が下りないって」
「私の友人を紹介する、奴がいれば問題なく入れるだろう。上位職との謁見も可能なはずだ」
「ふええ……」
普通なら一般人はどんなにがんばっても金を積んでも入れない場所にあっさりと通すと言ってのけるインフェルノ。改めてとんでもない存在だ。
「善は急げだな。これからそいつに会いに行くとしよう」
「えっ、ベナスにいるんですか?」
「ああ。この時間なら居場所は十中八九わかる、差し支えなければすぐにでも行こうと思うが」
「あ、はい! 行きます行きます」
「私も一応付いていくわ」
「あ、じゃあ俺も……」
「マットは修行してな」
「うぐ」
こうして俺らは早速インフェルノの友人というのに会うことになった。
ただ、セントヘレナ関係者なら神職だろうから神官様も連れていこうとしたらインフェルノに止められたのが気がかりだったが……その理由もすぐにわかった。
インフェルノに連れられて行った先。
そこは、酒場だった。
「い、インフェルノさん、ここ酒場ですよね?」
「それもかなり場末の……真昼間だってのに中が騒がしいし」
「そういう奴でな、割り切ってくれ。では行くぞ」
インフェルノは慣れた様子で酒場の木戸を押して入っていった。俺らは酒場などまるで馴染みがないので思わず二の足を踏む。廃れた雰囲気の店構えと漂うアルコールの臭いに場違い感しかない。
「ど、どうしたのよセイ、早く入りなさいよ」
「い、いや……ルナル、お前俺より年上だろ。先行けよ」
「あんたパーティの代表でしょうが、さっさと行ってよ」
「レディファーストにしてやるよ、さあどうぞ」
「今はあんたも女でしょうがっ!」
「うわっ」
ルナルに背中をどつかれて、俺は半分転がるように酒場に入った。
「ああん?」
「またガキか」
「どうしたお嬢ちゃんたち」
ルナルに苦言を呈するより先に、酒場の男たちの視線が突き刺さった。狭い酒場には酔っ払いがひしめき合っており、どう見ても未成年な少女の俺らは針の筵だ。先に入っていたインフェルノさんも困った様子で酔っ払いの1人と話していた。
「お前また酔っているな。聞いていないのか、インフェルノ・シンフォニーの顛末」
「んーん? おーお嬢ちゃんかーわいーじゃねーのー、お酌してくれよ-頼むよー」
小汚い様子の酔っ払いはべろべろでインフェルノの声が届いているのかも怪しい。その酔っ払いは俺らに気付くと、おもむろに立ち上がった。
「おおーなんだなんだ今日は俺の誕生日かー? こーんなべっぴんが追加2人もーぉー……嬢ちゃんお酌してよー頼むよー」
酔っ払いはいきなり俺の肩に手を回し酒臭い息を吹きかけてきた。うっ、と俺は思わず顔を抑える。
「いーだろーじょーちゃーんよー」
男はねっとりした声を俺の耳に這わせ、酒瓶を握った手で俺の頬をぐりぐりと押す。そして空いてる方の手で俺の尻に触った段階で俺の堪忍袋の緒が切れた。
「てめえは少し……酒飲めない体にでもなって、頭冷やしてろーっ!」
「んお!?」
俺は酔っ払いに対しスキルを打ち放った。インフェルノさんが「あっ」という顔をしたのには気付かなかった。
次の瞬間、身長が足りなくなった元酔っ払いがこてんと倒れる。
「あだっ……おおお? のーみすぎたかぁなー……なんかまわりが……でけえ……」
今だ泥酔状態で目をこするのはむさくるしい酔っ払いの男とは対照的な、線の細い色白の美少女だった。髪はサラサラのブロンドで、年齢は14歳くらい。服装は男のそれと同じタンクトップとショートパンツそのままなのでかなり際どい。
「うわっ」
倒れた拍子に手に持った酒瓶が倒れ、タンクトップが濡れて透けた。俺と、酔っ払い本人が同時に目を剥いた。
「おおーっ、こんなところにいーいつまみがあるじゃね……か……」
体が小さくなり一気に酒が回ったのか、酔っ払いはそのままこてんと倒れ眠り始めた。そこまで小さくはしてないので死んだりはしないだろう、たぶん。
「……うーむ。やむをえないとはいえ、やってしまったか」
顔を上げるとインフェルノさんが元酔っ払いの美少女を見下ろして渋い顔をしていた。まあ仕方ない、スキル解除法を探そうというのに被害者を増やしてはそんな顔もされるだろう。
「すみません、今回はちょっと腹が立っちゃって……それよりそのご友人っていうのはどこなんですか?」
俺が尋ねると……インフェルノさんは床で寝ている美少女を指差した。
「こいつだよ。こいつが私の友人のSランク冒険者、マグナム・アトランティスだ」
「はいおしまい。ダメねえ、たかだか腹筋50回程度で」
「んなこと言ったって……やっぱいきなりは、しんどい……」
「なによ重いの? 胸なの? 胸が重いの? 私へのあてつけがしたいの? ねえ!」
「り、理不尽……」
マットとフランの凸凹コンビ(色んな意味で)がトレーニングをしているのを、俺はルナルやインフェルノと見ていた。
「インフェルノさんはフランの師匠だったんですか」
「意外ねー、あの子誰かに師事するってイメージじゃないのに」
「たしかにあいつは高慢で身勝手だが、冒険者としての生にかける情熱は本物だ。その情熱と精神力をかって弟子に迎えた。俺の弟子はあいつだけだ」
称号だけで一生暮らせると言われるSランク冒険者……そこに師事を願う人間は大勢いるだろう。その中から見出された辺り、フランの本気が伺える。実際フランは偉ぶった言いぶり相応の実力を備えているから納得だ。
「ねえ師匠、改めて聞きますけどなんで私がこいつに修行つけなきゃいけないんですか? 冒険者としては敵なんですよ!」
「誰かに教えることで己が学習も熟達する。言っておくがフラン、俺が見ているのはお前がいかに教えるか、だ。誤ったやり方をすればすぐに修行のやり直しだ」
「ひっ、わ、わかりました! ほらあんた息を整えながらでいいから体を伸ばす! 長いもの振り回すんだから柔軟性は大事よ!」
「ぜえ、ぜえ、ま、待てってば……」
マットはフランの指示に必死でついていき、フランはインフェルノの目を恐れながらマットに指示を出していた。修行とは厳しいものだなー、と俺は他人事なのでのんきに見ていた。
「それでインフェルノさん。俺のスキルの解除法を探しているんですけど、Sランク冒険者の人脈か何かアテありませんか?」
俺が問いかける。インフェルノに一旦こっちに来てもらったのは聞くためだった。ふむ、とインフェルノは顎をなでる。
「スキル解除か……俺としてもできるならばそれが望ましいからな……しかし、森の魔女に会ってもダメだったのだろう?」
「ええ、原理の解析とかは進んだみたいですけど……」
「魔女さまもスキルが専門じゃないからダメみたいなのよ。スキルは女神由来のものだから、どっちかというと神職系になるのかしらね」
「神職か……それならばひとつ心当たりはある。セントヘレンズ大聖堂という名を知っているか」
セントヘレンズ大聖堂、その名前は当然俺も知っている。女神イスリエラを信仰する者たちにとって最大の聖地であり、その名は単に建造物ひとつでなくその聖堂を中心とする聖地全域を指す言葉だ。
「そ、それはもちろん知ってますけど……」
「あそこ、普通は入れないでしょ? 神職者でも入るには申請してから1年以上は待たないと許可が下りないって」
「私の友人を紹介する、奴がいれば問題なく入れるだろう。上位職との謁見も可能なはずだ」
「ふええ……」
普通なら一般人はどんなにがんばっても金を積んでも入れない場所にあっさりと通すと言ってのけるインフェルノ。改めてとんでもない存在だ。
「善は急げだな。これからそいつに会いに行くとしよう」
「えっ、ベナスにいるんですか?」
「ああ。この時間なら居場所は十中八九わかる、差し支えなければすぐにでも行こうと思うが」
「あ、はい! 行きます行きます」
「私も一応付いていくわ」
「あ、じゃあ俺も……」
「マットは修行してな」
「うぐ」
こうして俺らは早速インフェルノの友人というのに会うことになった。
ただ、セントヘレナ関係者なら神職だろうから神官様も連れていこうとしたらインフェルノに止められたのが気がかりだったが……その理由もすぐにわかった。
インフェルノに連れられて行った先。
そこは、酒場だった。
「い、インフェルノさん、ここ酒場ですよね?」
「それもかなり場末の……真昼間だってのに中が騒がしいし」
「そういう奴でな、割り切ってくれ。では行くぞ」
インフェルノは慣れた様子で酒場の木戸を押して入っていった。俺らは酒場などまるで馴染みがないので思わず二の足を踏む。廃れた雰囲気の店構えと漂うアルコールの臭いに場違い感しかない。
「ど、どうしたのよセイ、早く入りなさいよ」
「い、いや……ルナル、お前俺より年上だろ。先行けよ」
「あんたパーティの代表でしょうが、さっさと行ってよ」
「レディファーストにしてやるよ、さあどうぞ」
「今はあんたも女でしょうがっ!」
「うわっ」
ルナルに背中をどつかれて、俺は半分転がるように酒場に入った。
「ああん?」
「またガキか」
「どうしたお嬢ちゃんたち」
ルナルに苦言を呈するより先に、酒場の男たちの視線が突き刺さった。狭い酒場には酔っ払いがひしめき合っており、どう見ても未成年な少女の俺らは針の筵だ。先に入っていたインフェルノさんも困った様子で酔っ払いの1人と話していた。
「お前また酔っているな。聞いていないのか、インフェルノ・シンフォニーの顛末」
「んーん? おーお嬢ちゃんかーわいーじゃねーのー、お酌してくれよ-頼むよー」
小汚い様子の酔っ払いはべろべろでインフェルノの声が届いているのかも怪しい。その酔っ払いは俺らに気付くと、おもむろに立ち上がった。
「おおーなんだなんだ今日は俺の誕生日かー? こーんなべっぴんが追加2人もーぉー……嬢ちゃんお酌してよー頼むよー」
酔っ払いはいきなり俺の肩に手を回し酒臭い息を吹きかけてきた。うっ、と俺は思わず顔を抑える。
「いーだろーじょーちゃーんよー」
男はねっとりした声を俺の耳に這わせ、酒瓶を握った手で俺の頬をぐりぐりと押す。そして空いてる方の手で俺の尻に触った段階で俺の堪忍袋の緒が切れた。
「てめえは少し……酒飲めない体にでもなって、頭冷やしてろーっ!」
「んお!?」
俺は酔っ払いに対しスキルを打ち放った。インフェルノさんが「あっ」という顔をしたのには気付かなかった。
次の瞬間、身長が足りなくなった元酔っ払いがこてんと倒れる。
「あだっ……おおお? のーみすぎたかぁなー……なんかまわりが……でけえ……」
今だ泥酔状態で目をこするのはむさくるしい酔っ払いの男とは対照的な、線の細い色白の美少女だった。髪はサラサラのブロンドで、年齢は14歳くらい。服装は男のそれと同じタンクトップとショートパンツそのままなのでかなり際どい。
「うわっ」
倒れた拍子に手に持った酒瓶が倒れ、タンクトップが濡れて透けた。俺と、酔っ払い本人が同時に目を剥いた。
「おおーっ、こんなところにいーいつまみがあるじゃね……か……」
体が小さくなり一気に酒が回ったのか、酔っ払いはそのままこてんと倒れ眠り始めた。そこまで小さくはしてないので死んだりはしないだろう、たぶん。
「……うーむ。やむをえないとはいえ、やってしまったか」
顔を上げるとインフェルノさんが元酔っ払いの美少女を見下ろして渋い顔をしていた。まあ仕方ない、スキル解除法を探そうというのに被害者を増やしてはそんな顔もされるだろう。
「すみません、今回はちょっと腹が立っちゃって……それよりそのご友人っていうのはどこなんですか?」
俺が尋ねると……インフェルノさんは床で寝ている美少女を指差した。
「こいつだよ。こいつが私の友人のSランク冒険者、マグナム・アトランティスだ」
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