なんでも【美少女化】するスキルでハーレム作ります ~人も魔物も無機物も俺も!?~

八木山蒼

第15話 怪しいお誘い

 あくる日の朝、俺らはベルガさんに見送られて冒険者ギルドへと向かった。全員行く必要はないので俺、マット、ルナルの3人でだ。今日から本格的に冒険者としての仕事が始まる。

 改めてベナスの街の冒険者ギルドについて説明すると、全体は大きなドーム状の建物で、その中には冒険者が待機するようにたくさんの机と椅子、各地の情報や仕事依頼が張られた各種掲示板などの設備があり、中央に受付がある。中には軽い食事のできるカフェなども併設されており、冒険者のサポートをするあらゆる設備が整っているのだ。

 そうしたことからギルドの中には仕事の依頼がなくとも一日中冒険者たちでごった返している。俺らが訪れた時も中は冒険者だらけだった。

「ん?」

「どうかしたかセイ」

「いや、なんか視線を感じるなと思って」

 俺らがギルドの中に入ると、なぜかこちらをチラチラと見ている冒険者が何人もいた。俺らのことが気になっている感じだ。
 すると冒険者の中から1人、俺らの方へ歩み寄ってくる者がいた。

「ねーえ、あなたが昨日から入った新人サンかしら?」

 それは金色の髪をした少女だった。短い髪をピョンとさせ、動きやすそうな軽装をしている。俺を覗き込むようにして笑っていた。

「そうだけど……あなたは?」

「私? まー私のことは後でいいじゃないかしら。それよりもね、聞いたかしらあなたたちのこと! とっても変わったスキルを持っているって聞いたかしら。【美少女化】だったかしら?」

「え、なぜそれを?」

「えっへへ、フランちゃんたちが大荒れで言ってたかしら! アッシュ君がアッシュちゃんになってたし、本当に驚いたかしら」

 金髪の少女は昨日の貧乳少女……もとい冒険者の少女フランから俺らの事を聞いたらしい。どうやらフランはギルドで俺らのことを言いふらしたらしく、そのせいで注目を集めているようだ。

「でもそれだけじゃないかしら! 無法者のゴレムをあっさり片付けちゃったこととか、初日からドラゴン退治をこなしてA級住居をかっさらってったとか、とーっても噂になってるかしら! 私、噂って大好きなの」

 金髪の少女はおもむろに俺に抱き着いてきた。俺が男ということを知ってか知らずか、体を密着させてくる。俺としては美少女に密着させて嬉しいやら恥ずかしいやらだ。

「ねーえ、そのスキル、見せてくれないかしら? すっごく興味があるのかしら」

「ダ……ダメだよ、俺のスキルは見世物じゃないし、第一今のとこ戻せないんだ。気軽に使えるもんじゃない」

「いいじゃない、こんなに冒険者がいるんだし、探せば志願者いるかもしれないかしら。お願いかしら!」

「ダメだってば」

「セイ、いいからとっとと仕事受けちゃいましょ。いちいち構ってたら面倒よ」

「そうだな、悪いけど離れてくれ」

「もう、残念かしら」

 俺は金髪少女を引きはがし、椅子に座ってたむろする冒険者たちの視線の中、間をぬって受付の方へと向かった。マットとルナルもついてくる。
 だがその時、急にマットが

「ひゃん!?」

 と変な声を上げた。

「マット? どうした?」

「い、今、誰かが俺の尻を……!」

 辺りを見渡したが、周囲の冒険者は多く皆知らんぷりをしている。
 しかしあの金髪少女が1人を指差した。

「スカンク? またあなたなのかしら」

 指差された先にいるいかにもこすずるそうな顔をした冒険者の男は、頬を吊り上げ小さく笑った。

「ヘっヘヘ、なんのことかわからねェな。言いがかりはよしてくれよベルディアーダ」

「とぼけても意味ないかしら、あなたの手癖の悪さはギルド中全員が知ってるわ」

「へっへっへ……さてね。ま、何か言いたいならそいつらに言わせた方がいいんじゃねえのか?」

 スカンクと呼ばれた男は嫌らしい目で俺らを舐め回すように見ていた。どうもこいつが痴漢に間違いなさそうだ。
 幼馴染に変なことをされて黙ってはいられない、俺はスカンクの前へ進み出た。

「謝る気はなさそうだな」

「ああないね。ないならどうする気だ?」

「こうするさ」

 俺はスカンクに対し手を向けようとした。だがその瞬間。
 スカンクは俊敏な動きで立ち上がると、隠し持っていたナイフを一瞬で取り出し俺の首筋に突きつけた。

「へっへへ! 覚えときな、新参者が調子に……」

 しかしほくそ笑むスカンクの言葉は途中で止まった。自分の声の異常に気付いたのだろう。
 そう、とっくの昔にスカンクの体は俺のスキルによって【美少女化】していたのだった。せっかくなので服装はそのままに、抜群のプロポーションの持ち主にしてやった。男物の服の下で胸や尻が激しく主張しており彼好みだろう。ただし少女は少女なので身体能力は落ちており、彼改め彼女の冒険者業には支障が出るだろうが。

「へへ!? こ、こいつは一体……」

「俺のスキルは手を向けたりする必要はないし一瞬で済むんだよ。触るなら好きなだけ自分のを触ってな」

 唖然とするスカンクや周囲に向けて捨て台詞を吐いて背を向けた。

「セイ、スキルは気軽に使わないんじゃなかったの?」

「親友が侮辱されたんだ、当然の報いだよ」

 改めて俺らは受付へ向かおうとする。
 途端、金髪少女がまた抱き着いてきた。

「すっごーい! すごいかしらそのスキル! あのスカンクを一瞬で片付けちゃうなんて!」

 図らずもスキルを披露してしまう形になったため、金髪少女は喜んでいるようだった。俺は再び彼女を引きはがそうとしたが、少女は俺の耳元に口を近づけ囁いた。

「そのスキルを使えば……いい仕事があるかしら。少し、私にノッてみないかしら?」

 俺は驚き、顔を離した少女の目を見る。
 怪しげな雰囲気を纏う少女は俺を見て、笑っていた。

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