なんでも【美少女化】するスキルでハーレム作ります ~人も魔物も無機物も俺も!?~

八木山蒼

第2話 幼馴染

 とりあえず俺は神殿を出て家に戻ることにした。すでに儀式が終わったので神殿の人影はまばらだ。
 神殿を出たら見慣れた親友が待っていた。赤髪でやや太り気味のそいつはマット・オイル、色んな意味で俺と同レベルの幼馴染だ。

「よお、マット。待っててくれたのか」

 俺はいつもの調子で声を掛けたが、マットはおかしな反応をした。

「お、俺の名前知ってんの? ていうか君、誰?」
「え? 誰も何も俺は……」

 そこまで言って俺は自分が【美少女化】していることを思い出した。元の容姿を面影程度に残してるだけの美少女の顔じゃ俺が誰だかわかるはずはない。

「そ、その、セ、セイを待ってるんだけど、知らないかな?」

 マットはあからさまに緊張していた。こいつは女性の前だとこうなのだ、だが考えてみればいきなり見知らぬ美少女に話しかけられればこうなってもおかしくはない。
 少しからかってやってもよかったが、俺も美少女になったばかりで面倒は嫌だったのでさっさと説明することにした。

「俺がそうだよ、セイ・ブルーム! お前の親友の」
「は、セイ……? 何言ってるんだ?」
「まあ信じられないだろうがなあ……お前が6歳の頃、カステラを紙ごと食べて腹壊した話でもするか? 10歳の頃犬と喧嘩して負けた話は? 最近甘いものが好きすぎてどれくらい体重が増えたかとか……」
「わーっ! 待って待って!」

 幼馴染なのでマットのことは何でも知っている、俺がセイだと証明するのはわけなかった。
 その後いくつか質疑応答を繰り返し、マットは俺がセイだと信じてくれた。

「び……【美少女化】!?」
「そうだ。そのスキルのせいでこんな体になっちゃってな」
「す、すげえな、まったくセイだとわからなかったぜ。お前がまさかこんな美少女になるなんてな……」
「だろうな、俺自身でも信じられないくらいだよ」

 マットは俺の正体がわかってもやや緊張しているようだった。まあ見た目や声は完全に美少女だし、女子と話したこともほとんどない(俺も人の事は言えないが)こいつには酷かもしれないな。

「ま、悪くないスキルなんじゃないか? 俺は【剣聖】貰えたけど、活かせそうにないからなあ」
「剣士系最上位スキルじゃんか、あーでもお前の体格じゃなあ。これを機に鍛えたらどうだ?」
「やだよ面倒くさい、剣士なんてガラじゃないんだって。俺は予定通り実家の宿屋を継ぐよ……お前は?」
「フフフ、俺はあの夢に向けて動き出すことにした!」
「え! 夢って、あの?」
「もちろんだ」

 親友であるマットには俺の夢のことも話している、もっともかつては男同士のシモトークレベルの話だったけどもな。

「そうか、そのスキルがありゃあハーレムも作れるのか! すごいな」
「ま、そのためにはまず俺が男に戻らなくちゃな……」
「あ、じゃあさ、俺もハーレムの仲間に入れてくれよ! もしお前が戻れなかったらあれだろ?」
「えー……」
「露骨に嫌そうな顔すんなよ、俺ら親友だろ? 俺だって美少女に囲まれたいんだよ」
「まあそうだろが……ん? 待てよ……」

 俺はふとあることを思いつき笑った。たぶんあくどい顔をしていたと思う。

「なあマット、そんなにハーレムに加わりたいのか?」
「お、おう。なんだその顔は」
「じゃあ……望みどおりにしてやるよ!」
「う、うわ!?」

 俺はマットに対しスキルを発動した。マットの太り気味の体が光に包まれる。
 そして光が収まった時、そこには全くの別人が立っていた。

「な、なんだ今の、お前なにを……って、なんだこの声!?」

 今生まれたばかりの美少女はわたわたと体を確かめる。その挙動不審な感じや赤い髪、鼻立ちなんかにわずかに面影を残すマットは、見事に美少女になっていた。
 身長は高めで、脂肪がそっちに回されたのかとにかく胸が大きい。スイカかメロン、あるいはそれ以上の存在感だ。髪は長髪で真っ直ぐに伸び、可愛くも凛々しい印象がある。
 とにもかくにも小太りで女っけのない男はどこへやら、文句なしの美少女になっていた。

「む、胸が……頭も重っ、これ俺の髪か? お、おれ、まさか……」
「ハハハハハ! よかったなマット、美少女になれて! これでお前も俺の仲間入りだ!」
「セ、セイ! お前の仕業かよ! 俺を美少女にしてどうすんだ!」
「だってお前言っただろ? ハーレムに加わりたいって」
「そ、それがどうして……って、お、お前まさか!」

 赤髪の美少女になったマットが詰め寄る。俺は悪びれもせずに答えた。

「マット、お前が俺の美少女ハーレム1号だ。記念すべき1人目だぞ、喜べよ」
「喜べるか! なんで俺がこっち側にならなきゃいけないんだよ、俺にそんな趣味は……」
「まあ聞けよマット。俺らって幼馴染で大親友だろ? 何をするにも一緒に過ごして、2人で何度も遊んできたりしたわけじゃないか」
「そうだけど……それがどうした?」
「少しでも思ったことはないか? 俺がもし、美少女だったらって」

 美少女の幼馴染というのは男の憧れのひとつだ。俺たちも冴えない男子らしくそんなことを語り合ったことがある。案の定マットは考え込んだ。

「……たしかに、ある。お前ほどいい友人がもし異性だったら最高だなと思ったことはあるよ」
「だろ? で、今俺はその通りになっているわけだ。美少女の幼馴染で親友だぞ? 最高だろ?」
「最高だな」
「じゃあさ、俺にもその気分を味わわせてくれたっていいとは思わないか?」
「う、うーん……それはまあ、たしかに……?」
「ならいいじゃんか! それにそれはお前の体なんだから、やりたい放題できるんだぜ? たとえばこことかな」

 俺は美少女マットに近づくと、サッとその大きな胸を鷲づかみにした。

「へっ!? お、お前、何して!」
「おお……すげえ重量感……それに柔らかい……おお……」
「や、やめろ気持ち悪いッ!」
「ぐえっ」

 少し調子に乗り過ぎてマットに殴り飛ばされる。だが美少女に殴られるならそれはそれでいい。


 何はともあれ、俺は美少女幼馴染を手に入れて、ハーレムに一歩近づくのだった。

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