青春ゲーム!
7章 レミの秘密
▼
「……え?」
思わず私は声をあげた。
私の机には、昨日までこんな落書きは無かった。
よく見ると、『ウザイ』だとか『死ね』だとか、典型的な悪口が書かれている。
そんな私を、ドアの影から笑っている女子達。
「……ちょっと」
「何?塩浦の分際で」
「あれ、あんた達でしょ」
「え~?何の事?」
とぼける女子達。しかしそんな事は気にしない。
「ふーん。なら良いよ。この間、松森が1組の神崎に告って玉砕したの知ってるし」
「なっ……あんたどうしてそれを!?」
私のクラスメイト、松森美咲は、かなりのぶりっ子で有名だ。
男子には甘えまくって、裏では悪口の絶えない、まあ今時の学生にありそうなタイプだ。
そして相手の神崎瑛斗は、松森とは対照的に、誰にでも優しく、人を批判したりしないという性格で、女子からの人気は抜群。
そんな、ある意味で有名な二人の事なんか、一夜にして広まる。
「え?なに、松森!神崎に告ったの?で、結果は?」
大声で叫ぶ私。すると皆が私達の方を向いた。
「よせって塩浦。フラれたって皆言ってんだろ?」
「はは。てか、よく松森も神崎に告白なんてしたよな」
男子達の笑い声と共に、松森の顔は徐々に赤くなっていく。
「な、なんで、そんな……」
「もう一回訊くよ。私の机に落書きしたの、あんた達でしょ?嘘吐いたら学校中に広めるから」
「うぅ……。そうだよ。私達だよ!」
「どうして?」
「そんなん言う訳無いでしょ?理解したら?」
そして、立ち去っていった。
「はぁ……。朝から疲れた」
▼
「ただいまー」
「あ、お帰りお兄ちゃん。お風呂入って良いよ」
「おぉ、さんきゅ」
俺は風呂からあがって、晩御飯を食べる。
「「はぁー……」」
二人同時にため息をついた。
「ん?どうしたんだレミ」
「いや、お兄ちゃんこそどうしたの?」
「実は今日、ゲーム部に遅刻して、キララがゲームで俺 対 他全員で勝ったら許すとか言ってきて……。つい本気でぶっ潰したら『オーバーキルにも程があります!』とか言われて、そっから皆に責められて、やる気を無くした」
「なにしてんの……」
「で、お前は?」
「う~ん。実はね」
「朝学校に着いたら、机に落書きされてたんだよね」
「……は?は?」
「で、犯人を特定したまでは良いんだけど、女子が睨んでくるんだよね」
やっべ。やっぱ疲れてるわ。
理解が追いつかねぇ。
「お前も今日は早く寝ろ。疲れてるらしい」
「いや違くて」
速攻で否定されたぞ。おい。
「良いか、レミ。そういう現実は見なくて良いから、夢を見続けろ」
「やだよ。ダメな大人になりそう」
「……じゃ何?お前、いじめられてんの?」
「知らん!」
「いや知らん!じゃなくてさ」
話がまとまらねぇ。
「もしお前がいじめられてるとしたら、どうするんだ?」
「相手を潰す~」
「軽いノリで言う事じゃねぇだろ!」
呑気すぎんだろコイツ。立場解ってんのか?
「まぁ、そんな事するの面倒だし、手っ取り早く終わらせたいんだよね。……だからお兄ちゃん」
「任せろ。俺がそいつらに……」
「あーいや、お兄ちゃんは手を出さないで。ほんの少し、アドバイスくれれば」
「わ、分かった」
そして、部屋を出ていった。
「……任しとけ」
「いじめなんて、俺が全員裁いてやる」
▼
「あ、今日は早く来ましたね。英治さん」
朝からキララの洗礼を受ける。
「あなたなんか来ても別に……ああいや、おはようございます」
「おいぃ!なんつった今!」
「少し用事があってな」
「へぇ。悩みならこの私に何でも訊いて頂戴」
「どうしたの?英治くん。私達にできる事なら力になるよ?」
「うん!」
「一人で抱え込まないでね」
「ありがとう片峯。如月も、宮原も」
「ちょっと、私は!?」
「実はな……」
「……なるほどね」
「いじめかー。辛いね」
俺は全てを話した。
案外皆、冷静に考えてくれている。なんだかんだで使羅も、力になろうとしてくれている。
「まあやる事は簡単だ。いじめてる奴を片っ端から調べて、住所特定→電話番号特定→色んな嫌がらせをしようじゃないか」
「「「やりすぎだよ!」」」
常識人(?)の3人は止めようとする。しかし、2人程異常者がいるようで。
「何を言っているの。そんな輩、我が封じられし暗黒の魔法で、闇に陥れてやるわ」
「物理的に無理。てかやりたくねぇ」
コイツは考え方が違う。違うって言うかおかしい。
「なら、物理的に可能な事なら良いんですね?えっと……」
キララは何故か目を輝かせている。
「だったら英治さん、こんなのはどうです?いっそ学校に爆弾を仕掛けたとか言って、恐がる生徒達を写真に収めましょう!」
「やるか!!」
「えぇー、やりましょうよ。卒アルに飾れば良い思い出になりますよ」
「一生モンのトラウマだわ!!」
ダメだ!前から思ってたけどコイツらと一緒だと、話が進まねぇ!
「う~ん。どうしようか」
「とりあえず、考えてみようよ」
「……みんな…」
━━と言う事で。
後日、意見を出し合って作戦を練る事にした。
▼
やはり今日も、何やら施されていた。
今度は、掃除中、余ったバケツの水をかけられた。
「汚いよ?キレイにしてあげよっか?」
「……あんた達の心の方が汚いよ」
そして私は、落ちていた雑巾を投げつけた。
「それでも被ってれば?少しはキレイに見えるよ」
「てめぇ!!」
その瞬間。
奥から誰かが歩いてきた。
前浪朱里。
私の学年の女子グループのボス的な存在で、前まで仲は良かったが、新しいクラスになってからは不仲である。
彼女は私に近寄り、耳元で囁いた。
「ムカつくんだよお前。なんかしたら潰すかんな」
「……………」
その時、先生がやってきた。
「こらお前達!ちゃんと掃除しろ!」
「はーい」
私は、何を間違ったんだろう。
▼
「ただいまー」
「……………」
レミは…もう寝てるな。
「……いじめねぇ…」
俺は不意に、過去の事を思い出した。
あの日、あの時。俺が、人間という物に、絶望したあの瞬間。
もう二度と思い出したくない、最悪の1時間を。
「待ってろレミ。俺が、助けてやる」
んん~。
なんだこの、こう、書いていて悲しくなってくる展開は。
今回、レミが主役になっていますが、それと同時に英治の過去にも迫っていく、大事な回です(明らかになるとは言ってない)。
面白い要素はこれっぽっちもありませんが、暇潰し程度に呼んで頂ければ嬉しいなと思っております。
そして、一つ。
諸事情により、コメントを返せなくなるかもしれませんが、ご了承下さい。いや、いらないなんて言ってませんよ!?
それではまた(早く海回とかやりたいな)!
「……え?」
思わず私は声をあげた。
私の机には、昨日までこんな落書きは無かった。
よく見ると、『ウザイ』だとか『死ね』だとか、典型的な悪口が書かれている。
そんな私を、ドアの影から笑っている女子達。
「……ちょっと」
「何?塩浦の分際で」
「あれ、あんた達でしょ」
「え~?何の事?」
とぼける女子達。しかしそんな事は気にしない。
「ふーん。なら良いよ。この間、松森が1組の神崎に告って玉砕したの知ってるし」
「なっ……あんたどうしてそれを!?」
私のクラスメイト、松森美咲は、かなりのぶりっ子で有名だ。
男子には甘えまくって、裏では悪口の絶えない、まあ今時の学生にありそうなタイプだ。
そして相手の神崎瑛斗は、松森とは対照的に、誰にでも優しく、人を批判したりしないという性格で、女子からの人気は抜群。
そんな、ある意味で有名な二人の事なんか、一夜にして広まる。
「え?なに、松森!神崎に告ったの?で、結果は?」
大声で叫ぶ私。すると皆が私達の方を向いた。
「よせって塩浦。フラれたって皆言ってんだろ?」
「はは。てか、よく松森も神崎に告白なんてしたよな」
男子達の笑い声と共に、松森の顔は徐々に赤くなっていく。
「な、なんで、そんな……」
「もう一回訊くよ。私の机に落書きしたの、あんた達でしょ?嘘吐いたら学校中に広めるから」
「うぅ……。そうだよ。私達だよ!」
「どうして?」
「そんなん言う訳無いでしょ?理解したら?」
そして、立ち去っていった。
「はぁ……。朝から疲れた」
▼
「ただいまー」
「あ、お帰りお兄ちゃん。お風呂入って良いよ」
「おぉ、さんきゅ」
俺は風呂からあがって、晩御飯を食べる。
「「はぁー……」」
二人同時にため息をついた。
「ん?どうしたんだレミ」
「いや、お兄ちゃんこそどうしたの?」
「実は今日、ゲーム部に遅刻して、キララがゲームで俺 対 他全員で勝ったら許すとか言ってきて……。つい本気でぶっ潰したら『オーバーキルにも程があります!』とか言われて、そっから皆に責められて、やる気を無くした」
「なにしてんの……」
「で、お前は?」
「う~ん。実はね」
「朝学校に着いたら、机に落書きされてたんだよね」
「……は?は?」
「で、犯人を特定したまでは良いんだけど、女子が睨んでくるんだよね」
やっべ。やっぱ疲れてるわ。
理解が追いつかねぇ。
「お前も今日は早く寝ろ。疲れてるらしい」
「いや違くて」
速攻で否定されたぞ。おい。
「良いか、レミ。そういう現実は見なくて良いから、夢を見続けろ」
「やだよ。ダメな大人になりそう」
「……じゃ何?お前、いじめられてんの?」
「知らん!」
「いや知らん!じゃなくてさ」
話がまとまらねぇ。
「もしお前がいじめられてるとしたら、どうするんだ?」
「相手を潰す~」
「軽いノリで言う事じゃねぇだろ!」
呑気すぎんだろコイツ。立場解ってんのか?
「まぁ、そんな事するの面倒だし、手っ取り早く終わらせたいんだよね。……だからお兄ちゃん」
「任せろ。俺がそいつらに……」
「あーいや、お兄ちゃんは手を出さないで。ほんの少し、アドバイスくれれば」
「わ、分かった」
そして、部屋を出ていった。
「……任しとけ」
「いじめなんて、俺が全員裁いてやる」
▼
「あ、今日は早く来ましたね。英治さん」
朝からキララの洗礼を受ける。
「あなたなんか来ても別に……ああいや、おはようございます」
「おいぃ!なんつった今!」
「少し用事があってな」
「へぇ。悩みならこの私に何でも訊いて頂戴」
「どうしたの?英治くん。私達にできる事なら力になるよ?」
「うん!」
「一人で抱え込まないでね」
「ありがとう片峯。如月も、宮原も」
「ちょっと、私は!?」
「実はな……」
「……なるほどね」
「いじめかー。辛いね」
俺は全てを話した。
案外皆、冷静に考えてくれている。なんだかんだで使羅も、力になろうとしてくれている。
「まあやる事は簡単だ。いじめてる奴を片っ端から調べて、住所特定→電話番号特定→色んな嫌がらせをしようじゃないか」
「「「やりすぎだよ!」」」
常識人(?)の3人は止めようとする。しかし、2人程異常者がいるようで。
「何を言っているの。そんな輩、我が封じられし暗黒の魔法で、闇に陥れてやるわ」
「物理的に無理。てかやりたくねぇ」
コイツは考え方が違う。違うって言うかおかしい。
「なら、物理的に可能な事なら良いんですね?えっと……」
キララは何故か目を輝かせている。
「だったら英治さん、こんなのはどうです?いっそ学校に爆弾を仕掛けたとか言って、恐がる生徒達を写真に収めましょう!」
「やるか!!」
「えぇー、やりましょうよ。卒アルに飾れば良い思い出になりますよ」
「一生モンのトラウマだわ!!」
ダメだ!前から思ってたけどコイツらと一緒だと、話が進まねぇ!
「う~ん。どうしようか」
「とりあえず、考えてみようよ」
「……みんな…」
━━と言う事で。
後日、意見を出し合って作戦を練る事にした。
▼
やはり今日も、何やら施されていた。
今度は、掃除中、余ったバケツの水をかけられた。
「汚いよ?キレイにしてあげよっか?」
「……あんた達の心の方が汚いよ」
そして私は、落ちていた雑巾を投げつけた。
「それでも被ってれば?少しはキレイに見えるよ」
「てめぇ!!」
その瞬間。
奥から誰かが歩いてきた。
前浪朱里。
私の学年の女子グループのボス的な存在で、前まで仲は良かったが、新しいクラスになってからは不仲である。
彼女は私に近寄り、耳元で囁いた。
「ムカつくんだよお前。なんかしたら潰すかんな」
「……………」
その時、先生がやってきた。
「こらお前達!ちゃんと掃除しろ!」
「はーい」
私は、何を間違ったんだろう。
▼
「ただいまー」
「……………」
レミは…もう寝てるな。
「……いじめねぇ…」
俺は不意に、過去の事を思い出した。
あの日、あの時。俺が、人間という物に、絶望したあの瞬間。
もう二度と思い出したくない、最悪の1時間を。
「待ってろレミ。俺が、助けてやる」
んん~。
なんだこの、こう、書いていて悲しくなってくる展開は。
今回、レミが主役になっていますが、それと同時に英治の過去にも迫っていく、大事な回です(明らかになるとは言ってない)。
面白い要素はこれっぽっちもありませんが、暇潰し程度に呼んで頂ければ嬉しいなと思っております。
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コメント
とろろ
うぽつです。
イジメが入ってくるとは思いませんでした!
次も待ってます!