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青春ゲーム!

天海愛米

5章 中二病の扱いは苦手です



「えーっと、ゲーム部に入りたいと?」
「はい」

既に夕暮れ時の事だった。
我がゲーム部に、入部希望者が現れた。

「良かったな、如月」
「うん、よろしくね!えっと……」

片峯莉奈かたみねりなです。えっと、クラスは2―2です」
「ああ、同級生なんだ!私は如月菜種。私と英治くんも二年生なの」
「え、英治くん……?」
「あ、俺が塩浦英治ね」

とりあえず名乗っておいた。
まあ、今日は自己紹介くらいで済ませて、詳しくは明日にする事にした。


「ただいまー」
家に帰ってドアノブに手を掛けた瞬間。
ドアが勢いよく俺の顔にぶつかった。

「遅えよクソ兄貴!!」
「え?なに、怒ってんの?」

何か怒られた。

「こんな遅くに帰って来てなに呑気にしてんだ!ぶん殴るぞ!」
「いや、これでも近道を通って来たんだぞ!」

俺は地雷を踏んだ。

「てことは、私にお土産買ってきてくれたんだな!?」
「いやアホかお前。俺がそんなもん買って来るわけ……はい。今から買ってきます」
「やったー!」

目で買えと言われてしまった以上、断ったら殺される。
俺の長年の経験がそう感じた。

……くそ、ハメられた。


俺は通学中、近道があるにも関わらず滅多にそこを利用しない。

理由としては、その道中に店を構えるパン屋の、あるパンがレミの大好物だからである。

それによって何が起こるかと言うと、レミにそれをねだられる。

━━討正。脅される。

「いってらっしゃい!」
誰だよ、遅く帰って来るのに怒ってた奴。

「なんだっけ、その、えっと……」
「ヴィエナーブリオッシュキプフェル。いい加減覚えてよ」
「いや覚えられるか!そんな長い名前!」

なんでよりによってそんな長い名称のモンを好むんだよ。

「えーっと?レオナルド、ウォッシュ、ラファエル?」
「違えよバカ。ぶっ飛ばすぞ」
「ヴィエナーブリオッシュキプフェルです」

もう俺なんなんだろ。パシリかな?

けどそのお陰で、また一つパンの名前を覚えたぞ。一生食わなそうだがな。


「……ん?ちょっとまて。俺、もう金が……」
「仕方ないなー。私がお金出すから、それでお兄ちゃんが買ってきてよ」

なに?その反応。
俺に買わせようと思ってたの?


「……つってもなあ」
俺はパンの前で立ち尽くしていた。
知らないパンの名前だけ言われても、分かるわけ無いだろう。

俺はLINEを開き、レミに訊いた。
『ヴィエナーブリオッシュキプフェルってどんな感じのやつ?』
しばらくして、
『クロワッサン的な形』
とだけ言われた。

情報が足らな過ぎるだろ。

『いや、一口にクロワッサンと言っても色々あるぞ?』
『それっぽいやつだから分かるよ』
『分かるか!もっと詳しく教えなきゃ買えないぞ』
『えー。頑張って探してよ』
『じゃあついでに俺の文も買っていいか?』

……………。
返信は来ない。

その後、5分ほどメッセージを送り続けたが、一度も既読が付くことは無かった。


ダメだこれ。ブロックされた。


こうなったら、頼れるのは自分の勘だけだ。

「……これか?いや、これな気も……。いやこれか?」

その時、一つの方法に思い当たった。

━━店員に訊けばいいじゃん。


「わぁー!」
家に帰った俺は、ヴィエナーブ(仮)をレミに手渡した。

「やっぱり美味しいね!キプフェルは!」
「は?お前、いま何て……」
「キプフェルは美味しいなって」
「そ、そのキプフェルってのは……?」
「もちろん、ヴィエナーブリオッシュキプフェルの略だけど?」

そんな略し方があったのかよ!

「お前、分かってて俺に言わせてたな!」
「そのとーり!よく分かったね」
「……なんだよこのやろぉおおおおお!!!」


そして翌日。

「えーと……それじゃあ、改めて……片峯莉奈さん。入部を許可します」
「はい!よろしくお願いします」

今日というこの日に、片峯莉奈がゲーム部に正式に入部した。

「それじゃ、今日はどうする?如月」
「うーん、まだやる事無いからね……。また勧誘かな」

来やがった。
また無駄に走らされるのか……。なんて思ってたその時。

「あ、あの、私、ゲーム好きの友達とかいますよ」

「そうか、そこから探すか。……で、具体的に何人くらい?」
「えっとですね……この学園でざっと30人くらいです」
「「多すぎだろ!!」」

二人で口を揃えて叫んだ。

「じゃあその中から目星を付けとこう。……つってもなあ、俺ら全員二年生だから、他学年の人達が入りづらいよな」

「……よく考えれば、そうだね」

「……うん。それじゃあ片峯」
「はいっ」

「他の学年で、ゲーム部に入りたそうな奴……二人くらい呼んで来てくれ」
「分かりました!選りすぐりの子達を連れてきます!」

そう言って、走っていった。

「俺らはどうする?如月」
「私達も、ゲーム好きの人達を探しましょう」
「そうだな」


━━およそ30分後。
帰って来た片峯。その後ろには二人の人影が見える。

「えっと、こっちがキララちゃんで、こっちが夜輝ちゃん」
「え?いまなんて?」

キララちゃんは分かるけど、夜輝ちゃんって誰?

「どうも。キララです」
「よろしくな」
自己紹介をした後、その少女は辺りを見回して、

「他に男子は?」
「お、俺だけだよ」
「ふーん……」
この尖った返事の、だが整った顔立ちの銀髪の美少女の名は、吉ヶ谷よしがやキララ。

どうも訳ありでこんな性格をしているらしい。

「まあよろしこ」

よろしこ!?
「よ、よろしこ……」

俺の返事にキララは、
「な、なによろしこって。ぷぷ……」

ハメた!コイツ完全にハメやがった!

なんだか関わるのは難しそうだな……。
そう思い、もう一人の方を見た。

そこに佇んでいたもう一人の美少女に、俺は目を奪われた。

黒髪で赤眼、制服といった容姿に、だが同時に異様なオーラを感じ、恐る恐る声を掛けた。

「よろしく。君の名前は?」
「ふっ、愚問ね」

なんか嫌な予感がする。

「私には名乗る名なんて無いわよ。……もし私に二つ名が付くとしたら、世界を闇の中に陥れる為の使者━━暗黒天使ダークネス位ね」

そのルビはおかしいだろ。暗黒しか合ってねぇ。

使羅夜輝しらひかるちゃん。仲良くしてあげてね」
「なッ━、そ、その名は違うと言ったでしょう、莉奈姉さん」

姉さんじゃねえし、ダークネスでも無いだろ。

てか、何その漢字?親御さんごめんなさい、「ひかる」に「夜」はおかしいです。
まあ漢字だけ見れば、闇に光を照らす使者、的な考え方もできるけど……。いや?できるのか?

「私が今此処に居るのは、暇を持て余した平民が手に掛けるゲームとやらをしに来た為よ」

じゃあ別の所行ってください。
ゲームはそんなんじゃありません。

てか、コイツ中途半端な言葉のセンスしてるな。中二病ってなんかこう……悪夢ナイトメアとか堕天使とか、そこら辺じゃないのか?

そんな疑問は放っておいて。
「じゃあ、三人まとめてゲームの実力を見るから、皆でネトゲでもするか」

急に辺りが静かになる。

「ど、どうしたんだ?」
「いや、その……」

「ネトゲじゃなくて、オンゲじゃないんですか!?」
そういう問題!?

「いや、ネトゲはネトゲですよ!」
「MMOじゃなくて?」
その呼び方はあまり聞かないな。

「あ、貴方達……何を言っているの?そんなのネトゲでもオンゲでもMMOでもなく、デスゲームでしょ!?」

お前のは論外だろ!!

「まあ、とにかくその、オンラインゲームをしよう」

そして、実力診断と称したテストが始まった。
俺&如月チーム対片峯&キララ&夜輝チーム。

そういや、如月と一緒にゲームするのも初めてだな。

「俺と如月は戦士。……良いか?あくまでも実力を見るだけだから、マジになんなくて良いからな?」

聞いた話、ゲーム歴は俺と同じくらいだから、相当やっているのだろう。

まあ、ゲームにも合う合わないがあるし、得意なジャンルもあ……、

ガキィインッ!!

唐突に放たれた斬撃に、動揺が隠しきれなかった。
「くっ、油断してた!」
「だけどキララちゃん。何も考えないで特攻して大丈夫なの?」
「このゲームは最初に敵を全滅させた方が勝ちです!だったら姑息な手段など無しで攻めた方が手っ取り早いじゃないですか!」

どんな考え方してんだコイツ!
だが、その考えも間違ってはいないのかもしれない(?)

とにもかくにも、まずは防御して相手の動きを見なきゃな。

「どうしました!私の猛攻に手も足も出ませんか!えっと……誰だっけ」
「塩浦英治だ覚えとけ!あと手足は出るけどこれはお前らの実力を見てるんだよ!」

やっぱこういうタイプは苦手だな。
いや、それ以上に苦手なのが……。

「大丈夫英治くん!?今助けに……わぁ!?」
「ふっ、私の爆裂魔法に燮かれるが良いわ!」

それはお前のじゃねえよ!完全なるパチモンだろが!!


やはり、中二病の扱いは難しい。

━━あれ?そういや、もう一人足りないような……。

「よそ見ばっかりしていたらやられてしまいますよ!」

なんでこの子はやけにテンション高いんだ?

「ほら、このままではやられてしまいますよ!そんな物ですか、貴方の力は!」
「お前何様のつもりだ!」

だがまあ、一理ある。

相手が本気で挑んでくるのだから、手を抜くのは失礼に当たる。


━どれ、少し本気出すか。

「……大した事無いわね。所詮、貴方達のゲームに懸ける思いはそんな物って事ね」

「私が終わらせてあげるわ!」

そう言って使羅は、閉じていた目を見開いて、魔法の詠唱を始めた。

だが、それを放つ事はできなかった。

「……行くぞ、如月」
「……英治くん本気マジになってない?」

一瞬の出来事。何が起こったかも分からない。
ただ一つ分かったのは、使羅が突然倒れていた。

キララに認識できるのは、そこまでだろう。

「職業【戦士】、武器『世界樹の剣ユグドラシル』攻220、会心率30%、移動力C……」

俺は画面に映し出された情報を元に、作戦を練る。

(うぉっ!?なんだコイツ、攻撃力以外ゴブリン以下のゴミじゃねえか!)

それもそのはず、なんとこの吉ヶ谷キララは、装備、武器、その他アイテム等の全てを攻撃力のステータスに注ぎ込んでいる。

その分爆発的な火力を発揮するが、一度でも攻撃を受ければ……たとえレベル30程度のNPCの攻撃でも、一撃でHPの半分ほどダメージを受ける。ムラがあるというか、なんというか。

「見つけた!今度こそ倒してみせます!」
「もうめんどくせぇ……」

やる気を無くした俺は、向かってくるキララに剣を一振り。

彼女の頭上にダメージが浮かんだ。99999。
簡単にこのゲーム現状最高ダメージを出してしまった。

「………え?」
唖然としている様子のキララ。その背中には、YOU  LOSSと表示されていた。

「………消えたね」
「消えたな」

しかし、誰か忘れている気がするのは何故だろう。

(……ん?なんだこれ、石?)
突如として上から降ってきた、掌程度の石。

それと同時に、一つの影が飛び出してきた。

「な……」
一太刀。

たった一太刀で、辺りの障害物を全てなぎ払い、そこから溢れ出る衝撃波が、辺りを不穏な空気で包んだ。

そうだ。あいつらのせいで完全に忘れてた。

「……どこにいたんだ、片峯」
「えへへ、ずっと隠れてました」

この手のゲームは長年やって来ているが、気配すら察知できなかったのは初めてだ。

━━何者だ、アイツ。
ただならぬ予感を感じる。

「……英治くん?」

「あ、ああ。悪い」
「じゃあ、勝負だよ、菜種ちゃん。英治くん」

そう言うと同時に、片峯が剣を振るう。
(確かアイツの剣は、期間限定のイベント(リアル)で入手できた代物……)

いくら俺といえども、休日は滅多に家に出ない。そんな物が入手できる訳がない。

「……まあ良いや」


それから1時間後。

疲れ果てた俺達に、キララと使羅が寄ってきた。

「で、どうなの?私の実力は」
「あなたのようなネトゲ廃人に評価されるのなんてめっぽう御免よ。まあ、私の爆裂魔法に心を打たれたと言うのなら、この私が直々に伝授してあげても良いのだけどね」

「て言うか、あなた何でそんな洒落たネーミングをした剣を持っているの?世界樹の剣なんて……。べ、別に、かっこいいとか思ってないからね!羨ましいなんてちっとも……」

「お前は何が言いたいんだよ」

「……まあ、そうだな。実際見て思ったのが、まずキララ」
「ヘイ」
「ヘイガニかよ。……お前は、戦闘能力は高いんだから、もう少し頭を使って戦え。動きが単純すぎる」
「ヘイヘーイ」 
「下手だしうぜぇ!」

「そして使羅。お前は、魔法を放つまでが長すぎる。優秀な魔法も、唱える前にやられちまう。今回みたいに」
「……………」

何も反応を示さない使羅。
あれ?もしかして自分でも思ってた?

「そして片峯。お前は、お前は……」
コイツは天性の何かを持っている。
何も教える必要は無い。ただ一つ言うなら……。

「今は良いけど、大事な時は本気出せよ」
「「「えっ……」」」

三人が声を揃えて驚く。

「……なんで分かったんですか?」


「俺も本気出してないから」


ゲーム部活動1日目。
部員が3人増えた。


莉奈ちゃんの、そして英治くんの実力は底知れない。

そして。

夜輝ちゃんとキララちゃんあの二人も、何だか謎がありそう。


まず謝らせて頂きます。
前回、僕は『投稿ペースが早い』とか『遅くするために長くする』とか意味の分からない事をほざいていました。
しかし、他の作品を見ると、投稿ペースがめちゃ早くて、打ちのめされました。なんだか恥ずかしくなりました。
つまり、これらの事から何が言いたいかというと……。

━━勝手な判断してすんませんしたー!!

僕の勝手な判断で読者様の都合も考えずいろいろ変更してすんませんしたー!!

━━はい。

これからはちゃんと自分のペースで、それでいて面白い作品が書けるように頑張りますので、皆様応援よろしこ。

この作品を面白いと思ってくれた方、是非フォロー、コメントなどよろしくお願いします!

P,S
作中のパンの名前、あれ本当にあります。
みなさん食べてみてくだちい。

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コメント

  • 天海愛米

    コメントありがとうございます。アドバイスありがとうございました!

    1
  • alrain

    投稿お疲れ様です。
    今日初めて読まさせていただきました。
    キャラの個性がしっかりしていてとても良いと思います。
    しかし、このまま行ってしまうと変t…個性的なキャラばかりになってしまいそうなので、ひとつ常識人枠とかあれば尚良いと思います(*´꒳`*)

    投稿ペースに関しては、プロの作家でもない限り、作者さんの都合が第一優先なのでゆったりと執筆して下さいませ。

    2
  • とろろ

    画像キレイでいいですね!
    投稿は無理せずしてくださいね!

    0
  • とろろ

    うぽつです。
    今回は妹さんが出ましたね!
    キャラが増えてきたので作品の最初にそれぞれのキャラの説明を入れてみてはどうでしょうか?

    あのパン食べてみたい…

    0
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