青春ゲーム!
2章 転校生がやってきた
▼
さて。
状況を整理しよう。
まず、俺に何が起こっているかと言うと━━美少女と町中を歩いている。
おそらく、大抵の人は意味が分からないだろう。
━━時は遡る。
新学期の始まるあの日。
俺は、新しいクラスの書かれている紙を見つめていた。
(俺のクラスは……あ、あった)
無論、友達のいない俺には、他のクラスなど気にする必要が無いため、そのまま教室へと向かった。
廊下を歩いている俺の前に、誰かが走ってきた。
その姿には見覚えがなかった。……いや、いくら友達がいないとはいえ、流石に同級生の名前や姿くらい大体は分かる。
その人は俺に気付く間も無く、そのまま俺と衝突した。
「いってぇ!」
「きゃあ!」
「あ、す……すみません」
「い、いや、走ってた私が悪いの!ご、ごめんね!」
「は、はあ……」
ほんの一瞬の出来事。
だが、俺の美少女レーダーはそれを逃がさなかった。
━━あれは、誰もが認める美人だ!
「てか、誰だったんだ……?」
結局それについては知れなかったが、その後すぐに判明した。
「━━どうも、この春から転校してきた如月菜種です!」
あーはいはい。転校生ね。
なるほど、道理で分からない訳だ。
よく見ると、周りの男子達はなにやら騒いでいる。
「見ろよあれ……可愛い!」
「すげー美人だ!」
「ああ、めっちゃ綺麗!」
よくあるパターンだな。
教室へと戻った俺は、そこでさっきの転校生と会った。
「あ、さっきの人?あの時はごめんね!」
「ああ……気にしないでください」
「て言うか、あなたもこのクラスなの?」
「は、はい……」
「じゃあ一緒だね!」
「そ、そうですね」
なにこの子。すげえフレンドリー。
「えっと、転校生……なんですね」
「そうだよ!あと、敬語はいらないよ!」
「あ、ああ……」
なんだか話しづらい奴と関わってしまったな。
その日の夜。
俺はいつも通り帰宅後にゲームをしていた。
「ふぅ~、風呂でも入るか」
そう言ってドアノブに手を近づけた瞬間。
俺の顔にドゴンと何かがぶつかった音がした。
━━ドアと顔面が正面衝突してました。
「ぐあぁぁぁ顔痛えぇぇぇ!!」
と、その時。
開いたドアから1人の少女が顔を出した。
「おーっす。お兄ちゃん、お風呂あがったから入って良いよ」
「わ、分かったが妹よ……ドアを開ける際にはノックすることを請願するぞ……」
「あ、ごめん」
この無責任な少女は俺の妹、塩浦麗美(通称レミ)だ。
成績優秀、スポーツ万能、スタイルも抜群と、まさに完璧超人だが、少し抜けている所もある、俺とは似ても似つかない妹だ。
「またゲームやってんの?ちゃんと勉強もしなよ」
「分かってるよ」
俺の家は両親が仕事で居ないため、妹のレミが家事などをこなしている。
俺はゲームをしながら、あの転校生の事を思い浮かべていた。
「……何者なんだ、あいつ」
▼
ある日の帰り道。
俺が歩いていると、後ろから誰かが近づいてきた。
「英治くん!」
「あ、如月……だったっけ」
新学期が始まって、如月がこの学校に来て以来、あいつはたまに、と言うかよく俺に話しかけてくる。
「今日、一緒に帰れる?」
ほら、こんな事も言ってくるんだぜ。
「━━えぇ!?」
「ど、どうしたの?」
知り合って間もない女の子と一緒に帰るウゥゥ!!?
それはもう、俺の人生ではありえない奇跡だぞ!?
「あ、ああ……何でもない」
━━10分後。
俺と如月は、とある店に来ていた。
そこには、数えきれない程のパッケージとゲーム機器の数々。━━つまり。
「わぁー、沢山あるねー!」
そう。ゲームの専門店である。
つい数分前。
「ねえ」
「はい」
「あなたに頼み事があるんだけど……」
「なんだ?」
「私と一緒にゲームを買いに行かない?」
「ちょっと意味が解らない」
「だから、あなたはゲームが好きでしょ?」
「ん~まあ、嫌いではないな」
実際は、授業中暇だからやってるだけなんだけどな。
「実は私もゲームが大好きでね!」
「ほう」
「で、最初はゲーム部でも創ろうと思ったんだけど、当然ダメだろうし、そもそも人数が足りなきゃ論外だからね。そこでまずは部員を探しているの!」
「……で、俺に言いたい事は?」
「私とゲーム部に入ろうよ!」
「いやです」
即断してやった。
そして今に至る。
「あ、こんなの部室に置いたら素敵じゃない?」
「そもそもゲーム部が素敵じゃない。て言うか部室なんてあるわけないだろ」
「もう、真面目に考えてよ!」
「真面目に考えた結果その結論に至ったんだが」
そんなこんなで時刻は夜19:00。
「じゃあ俺はそろそろ帰るけど……お前はどうするんだ?」
「もう少しいるかな。この街の事もっと知りたいし。親が仕事であまり帰ってこないから」
「それは俺も同じだな」
ずっと自分だけだと思っていたけど、案外そんな物なのかもな。
そんな事を考えていたその時。
「……英治くん」
「今度は何だ?」
「━━今日はありがとう。英治くんと過ごせて楽しかったよ」
「何だそれ、お前死ぬのか?」
俺はシリアス系は苦手だ。
話を反らすためのボケを、だが「ふふっ」
とはにかんで。
「それじゃあね。また明日」
「おう。気を付けろよ」
そんな二人の姿を。
木の陰から覗く者がいたなど知る由も無いだろう。
(え、ええぇぇぇぇ!!)
また面倒くさい事が起こりそうだ。
さて。
状況を整理しよう。
まず、俺に何が起こっているかと言うと━━美少女と町中を歩いている。
おそらく、大抵の人は意味が分からないだろう。
━━時は遡る。
新学期の始まるあの日。
俺は、新しいクラスの書かれている紙を見つめていた。
(俺のクラスは……あ、あった)
無論、友達のいない俺には、他のクラスなど気にする必要が無いため、そのまま教室へと向かった。
廊下を歩いている俺の前に、誰かが走ってきた。
その姿には見覚えがなかった。……いや、いくら友達がいないとはいえ、流石に同級生の名前や姿くらい大体は分かる。
その人は俺に気付く間も無く、そのまま俺と衝突した。
「いってぇ!」
「きゃあ!」
「あ、す……すみません」
「い、いや、走ってた私が悪いの!ご、ごめんね!」
「は、はあ……」
ほんの一瞬の出来事。
だが、俺の美少女レーダーはそれを逃がさなかった。
━━あれは、誰もが認める美人だ!
「てか、誰だったんだ……?」
結局それについては知れなかったが、その後すぐに判明した。
「━━どうも、この春から転校してきた如月菜種です!」
あーはいはい。転校生ね。
なるほど、道理で分からない訳だ。
よく見ると、周りの男子達はなにやら騒いでいる。
「見ろよあれ……可愛い!」
「すげー美人だ!」
「ああ、めっちゃ綺麗!」
よくあるパターンだな。
教室へと戻った俺は、そこでさっきの転校生と会った。
「あ、さっきの人?あの時はごめんね!」
「ああ……気にしないでください」
「て言うか、あなたもこのクラスなの?」
「は、はい……」
「じゃあ一緒だね!」
「そ、そうですね」
なにこの子。すげえフレンドリー。
「えっと、転校生……なんですね」
「そうだよ!あと、敬語はいらないよ!」
「あ、ああ……」
なんだか話しづらい奴と関わってしまったな。
その日の夜。
俺はいつも通り帰宅後にゲームをしていた。
「ふぅ~、風呂でも入るか」
そう言ってドアノブに手を近づけた瞬間。
俺の顔にドゴンと何かがぶつかった音がした。
━━ドアと顔面が正面衝突してました。
「ぐあぁぁぁ顔痛えぇぇぇ!!」
と、その時。
開いたドアから1人の少女が顔を出した。
「おーっす。お兄ちゃん、お風呂あがったから入って良いよ」
「わ、分かったが妹よ……ドアを開ける際にはノックすることを請願するぞ……」
「あ、ごめん」
この無責任な少女は俺の妹、塩浦麗美(通称レミ)だ。
成績優秀、スポーツ万能、スタイルも抜群と、まさに完璧超人だが、少し抜けている所もある、俺とは似ても似つかない妹だ。
「またゲームやってんの?ちゃんと勉強もしなよ」
「分かってるよ」
俺の家は両親が仕事で居ないため、妹のレミが家事などをこなしている。
俺はゲームをしながら、あの転校生の事を思い浮かべていた。
「……何者なんだ、あいつ」
▼
ある日の帰り道。
俺が歩いていると、後ろから誰かが近づいてきた。
「英治くん!」
「あ、如月……だったっけ」
新学期が始まって、如月がこの学校に来て以来、あいつはたまに、と言うかよく俺に話しかけてくる。
「今日、一緒に帰れる?」
ほら、こんな事も言ってくるんだぜ。
「━━えぇ!?」
「ど、どうしたの?」
知り合って間もない女の子と一緒に帰るウゥゥ!!?
それはもう、俺の人生ではありえない奇跡だぞ!?
「あ、ああ……何でもない」
━━10分後。
俺と如月は、とある店に来ていた。
そこには、数えきれない程のパッケージとゲーム機器の数々。━━つまり。
「わぁー、沢山あるねー!」
そう。ゲームの専門店である。
つい数分前。
「ねえ」
「はい」
「あなたに頼み事があるんだけど……」
「なんだ?」
「私と一緒にゲームを買いに行かない?」
「ちょっと意味が解らない」
「だから、あなたはゲームが好きでしょ?」
「ん~まあ、嫌いではないな」
実際は、授業中暇だからやってるだけなんだけどな。
「実は私もゲームが大好きでね!」
「ほう」
「で、最初はゲーム部でも創ろうと思ったんだけど、当然ダメだろうし、そもそも人数が足りなきゃ論外だからね。そこでまずは部員を探しているの!」
「……で、俺に言いたい事は?」
「私とゲーム部に入ろうよ!」
「いやです」
即断してやった。
そして今に至る。
「あ、こんなの部室に置いたら素敵じゃない?」
「そもそもゲーム部が素敵じゃない。て言うか部室なんてあるわけないだろ」
「もう、真面目に考えてよ!」
「真面目に考えた結果その結論に至ったんだが」
そんなこんなで時刻は夜19:00。
「じゃあ俺はそろそろ帰るけど……お前はどうするんだ?」
「もう少しいるかな。この街の事もっと知りたいし。親が仕事であまり帰ってこないから」
「それは俺も同じだな」
ずっと自分だけだと思っていたけど、案外そんな物なのかもな。
そんな事を考えていたその時。
「……英治くん」
「今度は何だ?」
「━━今日はありがとう。英治くんと過ごせて楽しかったよ」
「何だそれ、お前死ぬのか?」
俺はシリアス系は苦手だ。
話を反らすためのボケを、だが「ふふっ」
とはにかんで。
「それじゃあね。また明日」
「おう。気を付けろよ」
そんな二人の姿を。
木の陰から覗く者がいたなど知る由も無いだろう。
(え、ええぇぇぇぇ!!)
また面倒くさい事が起こりそうだ。
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コメント
天海愛米
コメント有り難うございます。今回、かなり急ぎで書いていたのもあって、内容が薄くなってしまった所もありましたが、楽しめて頂けて何よりです。
次回も楽しみにしていただければ幸いです!
とろろ
うぽつです。
今回もとても面白く、楽しめました。
次回の展開がとても気になります。