異世界で旅を〜異世界チートは必須でしょ?〜

ちゃまたん

村長と話し合い?

 レットさんの案内で着いたのは、村の中心にある他の家より比較的大きな家だった。

「悪いがしばらくここで待って居てくれ。村長に事の成り行きを説明してくる」

 そう言って、レットは村長の家に入って言った。
 まあ、アポ無しで来たんだからいきなり村長の家に踏み込む訳には行かないわな。

「なあ、ミレア。村長ってどんな人なんだ?」

「おじいちゃんはとっても優しいです。私のことはもちろん、村や村のみんなのことも大切に思っていのが伝わってきます」

「へぇ、ミレアは村長の孫だったのか。ミレアがそう言うんなら本当にいい人なんだな」

「はいっ! お父さんとお母さんはいないですけど、おじいちゃんがいるから大丈夫です!……でも、怒るとものすごく怖いです……」

 うん、なんかちょいっと重い話になりつつあるからそっちはスルーしていこう。

「そ、そっか。じゃあ、ミレアはこれから大変だな」

「へ?」

 そんな俺の言葉にミレアは一瞬首をかしげたが、すぐに思い当たったようだ。

「そ、そうでした……」

 こんな当たり障りのない話をしていると、家からレットさんが出てきた。

「待たせたな。とりあえず話はついたから入ってくれ」

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 家の中は、リビングに寝室、それとおそらくだが村長の部屋だと思われる個室が1つと、いたって簡素な作りをしていた。
 まだこの世界の技術力は分からないが、この世界では村の家はこんなものなのかも知れない。
 ちなみにキッチンと思われる場所には、端の方に石窯がありました。

 レットさんに言われるがまま俺はリビングに通された。と言っても、現代の地球の一般的な一軒家のリビングなんかと比べたら一回りくらい小さいが。

《A,この世界の村の家としては大きいです。 街はもっと小さい家もあります》

 そうなのか? 街の方が大きそうな気がするけどな。

《A,街の場合だと木製ではなく、レンガや石造りになるので強度が高いのですが、あまり大きくすると崩れてしまいます》

 なるほど、安全性が高いってことか。

《A, そういうことです。マスターの頭でも理解が出来た様で安心しました》

 言い方に悪意しか感じない!

「ヤドルさん、どうかしましたか?」

「いや、何でもないよ」

 ……危なかった!
 ユキとの会話は表に出さないようにしているつもりだけど、やっぱり周りから見ると不自然らしい。

「そうですか? それなら、早く行かないとおじいちゃんが怒り出すかもしれないので急ぎましょう!」

「ミレアはワシをなんだと思ってるんじゃ?」

「お、おじいちゃん、聴いてたんですね……」

「この狭い家の中では嫌でも耳に入るからの」

 ミレアが急かすと個室の中から年の老いた男性がそんな事を言いながら姿を現した。 恐らく65〜70歳程だろうか。

「君がミレアを救ってくれた少年か」

「はい。依代 よりしろ宿ヤドルと言います。依代が性で宿が名前です。」

「ほう、と言うことは東の出かのぅ……いや、そんな事よりまずはミレアの事、感謝致します」

「いえ、俺はたまたま通りがかっただけですよ。それに、誰だって女の子がモンスターに襲われていたら助けますよ」

 それにもしも目の前で年端もいかない少女が殺されたら、平和な日本で暮らしてた身としては異世界初日にトラウマ物だ。

「そうだとしても、相手はあのトレントだったそうだのぅ。普通はパーティー単位で倒す相手じゃ、ソロで奴を倒せる冒険者がいた事は幸いだった」

「ヤドルさんとってもカッコ良かったです!」

《A, 私がオペレートしているのですから当然の結果ですね》

「俺もミレアを助けられて良かったです。 間に合わなかったらと思うと冷や冷やしました」

 最後にユキが何か言っているが、感謝されるのは嫌じゃない。とてもむず痒いけど。

「して、そのトレントのことだが、森の様子も合わせて詳しく話を訊かせてもらえるかのぅ」

 「そうですね……まず、森の様子ですが—」

 そうして俺は、転移してきて以降の村長に森の様子、今日出会った魔物などを報告した。

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「なるほどのぅ。 実はこの村は3日前に魔物の定期討伐をしておるんだが、討ち漏らしが居るとなれば再び冒険者に依頼を出さねばならぬか……」

 村長は深刻そうに俯くとブツブツと呟きを漏らした。 冒険者に依頼を出す事に何か問題でもあるのだろうか。 気になったので村長に訊いてた。

「冒険者に依頼を出すことに何か問題でもあるんですか?」

「いや、依頼を出すこと自体は全く問題はないのじゃが、規模がそこそこ大きいからのぅ…… 依頼を出す為にかかる金と依頼を出しに行く者の安全、依頼することで削られる冬季の備蓄を買う為の金、これらの事をキチンと考えてから依頼をせねばならんからのぅ」

 なるほどな。 村長というだけあって村で起こり得る多くの問題を抱えているようだ。 

《A,マスターが討伐を行えば今し方出た問題は全部解決しますが?》

 なんだよユキ、このクソ広い範囲を俺1人で警戒しながら見て回るのは無理だぞ?

《A,マスターの弱い頭ではマップの存在も機能も覚えていないようですね。 鶏の方が幾分とマシですね(笑)》

 待て待て、誰の頭が鶏より弱いって? というより、この数時間でますますユキの口が悪くなってないか? 俺に何か恨みでもあるのだろうか……
 いや、でも確かにマップの存在はすっかり頭から抜けてたな。 よし、いいだろう。俺1人で討伐してやろうじゃないか。
 そうと決まればと、俺は未だに唸っている村長に提案した。

「村長さん、その討伐なんですが、もしよかったら俺がやりましょうか?」

 俺の言葉に村長は目を丸くした後に軽く笑うと、俺の言葉を冗談と捉えたのか「流石にヤドル君でもこの範囲は無理だろう」と言って流されてしまった。が、やると決めた以上ここで引くような事はない。

「実は俺、地形を把握する魔法とサーチの魔法が使えるんですよ。それを使えば効率よく魔物を倒せると思いますし、この程度の範囲なら多分カバーできるので、ここはひとつ俺に任せてください。 カバー仕切れないようだったら街のギルドまでは俺が護衛としてついて行きますから」

 実際のところどうなるかは分からないが、ユキが反対しないと言うことは能力的には大丈夫なはずだ。

「わかった。いいだろう。 討伐は明日、ただし、無理だと思ったらすぐにワシに言うのだぞ」

「はい。分かりました」

「それと、報酬だがのぅ、先ほども言った通りこの村は裕福ではない。大した報酬は出せんが、本当に良いのだな?」

「問題ありませんよ。今日の宿もご飯も用意してもらってますし。出来れば明日もお願いしたいですけどね」

「もちろんだとも。この依頼が終わるまではゆっくりしていってくれ」

 と、こんな感じで討伐の話をまとめた上に宿と食糧問題もちゃっかりと頂くこととなり、俺はレットさんの家へと行くことになった。

 そしてそれから1時間後、頭にコブを作ったレットさんとミレアを含め夕飯となったのだった。

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