異世界で旅を〜異世界チートは必須でしょ?〜

ちゃまたん

初戦闘と経験値?

「やれるだけやってみますか!」

 俺はこちらへ向かって来ているゴブリンへと走って向かった。

 俺のHPは10。
 かすっただけだとしてもやられてしまうかも知れない。
 
《A,それはありません。HPというのは、生命に影響を与えうるダメージを受けなければ減る事はほぼありません。》

 だそうです。
 それでも、塵も積もればという言葉もある。
 油断はしない。
 異世界に来て早々に死にました。
 こんな事じゃあアリルにもフラカンにも、顔向けできたものじゃない。

「グキャァ!」

 本格的にこっちに向かってきたゴブリンの手には、びたナイフが握られていた。

 俺の武器は片手長剣。
 重さによるハンデはあるが、こっちにもリーチによるハンデがある。

 俺はナイフを振り回して切りかかってくるゴブリンから距離をとった。
 相手は魔物、それも150センチもあるんだ。やはり油断はできない。
 万が一に、体重の乗ったタックルでももらってしまえば、転ぶくらいはするかも知れない。
 そうなってしまえばナイフを避ける事も難しいだろう。

 ゴブリンはナイフの届く範囲に来るために、まっすぐと俺へと向かってくる。

 右からの袈裟斬り、横薙ぎ、突きと攻撃をしてくる。結構センスがいい。

 しかし、ゴブリンの攻撃は大振りで単調なので、俺はあっさりと回避に成功した。

 そして、それと同時に、ゴブリンのバランスが崩れた。

 これはチャンスだ!

「くらえっ!」

 俺はゴブリンの後方へと回り込んで、背中に蹴りを入れた。
 バランスを崩していたゴブリンは、簡単に地面にぶつかる。

《A,ゴブリンの首に剣を突き立ててください。それで戦闘は終わりです》

「っ!」

 躊躇ためらってしまった。
 命のかかっている戦闘において、躊躇いは致命的な隙になる。

 たとえ、どんなに格下の敵だろうと。
 俺はその認識が甘かった。
 ゴブリンは雑魚。そんな先入観もあったのかも知れない。

 ゴブリンが起き上がりざまにナイフを振り抜いた。
 その瞬間、左腕に痛みが走った。

「ぐあぁ!」

 左腕が5センチほど切られていた。
 いや、錆びていて斬れ味が悪いから『えぐられた』の方が正しいか。
 痛い。血が出てきた。ズキズキと傷口が痛んできた。

 俺はこの時にやっと理解した。
『やらなければやられる』それだけ。
 まさにその通りだ。

 この世界では甘い事は言っていられない。
 魔物がいて、冒険者がいるのだ。
 おそらく、とても命の軽い世界なのだろう。

 HPを見ると9に減っていた。
 これが0になったら死ぬ?
 自分の死んでいる姿が容易に想像できた。

 その時、またゴブリンが攻撃してきた。
 俺はこの世界に来たばっかなんだ。この世界に送られてきた目的も果たしていないんだ。

「こんな場所で死んでなんかいられねぇんだよ!」

 俺の中で何かが吹っ切れた。
 この瞬間に命を奪う事への躊躇いは嘘のように消えた。自分の身を守るためには、大切な物を守るためには必要な事だという事が理解できた。

 俺は攻撃を仕掛けてきていたゴブリンからもう一度距離をとると、身体が完全に伸びきっていたゴブリンの頭へと剣を振り下ろした。

「グ…」

 振り下ろした剣は真っ直ぐと頭へと当たり、半ばで止まった。

《50の経験値を入手しました》
《レベルが1から8へと上がりました》

 …どうやら無事に終わったようだ。いや、腕に攻撃をもらったから無事ではないか。


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《A,お疲れ様でした》

「あ、ああ」

 戦闘からしばらく経って、ユキが声をかけてきた。
 落ち着くまで待ってくれていたのだろう。意外にできるやつだな。
 ところで、殺した魔物の死骸はどうすればいいんだ?

《A,魔物は体から魔晶石を取り出すと自然に消滅します。なお、魔晶石を取り出す前は、斬り飛ばされた体の一部も消滅しません》

 ふーん、不思議だな。
 それから、さっき声が聞こえたけどアレはなんだ?

《A,先程のは『星の声』と言ってこの世界の生き物がレベルアップした時に聞こえるものです》

 うん、やっぱり不思議だな。
 というかレベルアップしたのか!
 それでは、早速確認するとしますか!








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名前:依代よりしろ 宿やどる

Lv:8
種族:人間
HP:20/223(+213)
MP:46/489(+443)
筋力:70(+60)
魔力:700(+690)
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[祝福]
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【神卸し】【森羅万象】【高望み】
【限界突破】【効率強化】【効率上昇】【隷属】【別人格】
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[スキル]
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【剣術Lv:1】【回避Lv:1】
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[称号]
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転移者・神の寵愛を受けし者・臆病者ビビり
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「……おいぃぃ‼︎‼︎上がりすぎだろぉ!」

 そんな俺の叫びが森に木霊するのだった。

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