異世界で旅を〜異世界チートは必須でしょ?〜

ちゃまたん

更に付与?

「わ、私は、せ、せ、世界神様より、ここ、こ、この世界『アディラ』を任された新任の神、な、名前はフラカンと申しますですっ!」

 幼女だ。
 なんで幼女?
 そう言えば、転移するときに『宜しく伝えといて』的なことを言ってた様な…

 それにしても、この幼女落ち着きなさすぎだろ。 さっきからずっと、おどおどしながらこっちの様子見てるぞ。
 あ、泣きそう。

「とりあえず落ち着け、な?」

 こちらが諭すと

「は、はいなのですっ!」

 めちゃくちゃ跳ねたぞ。『ビクッ!』とかじゃなくて『ピョン!』ぐらいな感じだったな。 今度は落ち込んでるし。
 いや、そんなこと言ってる場合じゃないか。

「えっと、現状説明とかしてもらえるかな?」

「は、はいなのです!
 私は、この世界『アディラ』が生まれてから今まで面倒を見てきた、新米管理者のフラカンと言いますですっ!」

 自己紹介はさっき聞きましたよ〜
 そう言えば、この世界が生まれてからずっと面倒見てるって言ってたっけ?

「ちなみに、この世界はいつから存在してるんだ?」

「はいです!
 この世界は、およそ1500年前に誕生したのです!」

 1500年前か…
 ということは、このフラカンはロリババアという事か…

「むぅ、なんだかすごく失礼なことを考えている気がするのです!」

 おお、鋭いな。

「そんな事より、1500年も神様をやってるのに、なんでそんなに落ち着きが無いんだよ」

 気になってみたので聞いてみると

「そ、それは、この1500年でヤドル様が初めてのお客様だからなのです!」

 初めての客?
 1500年ずっと1人なのか?
 生まれてからずっと?
 それは、想像を絶する程の孤独じゃないのか?

「そうだったのか、俺が初めての客なのか。お出迎え、ありがとな」

 労わない、なんて選択肢は無いよな。
 そう言って、俺はつい、フラカンの頭を撫でた。

「…っ!はいなのですっ!」

 撫でられて恥ずかしがりながら喜ぶ幼女。うん、悪くない。
 そうか、俺はロリコンだったのか…
 いや、そんなことは絶対ない。
 …ないよな?

「たまに、先輩達が遊びに来ることはあったのです!」

 おいぃっ!
 今までの俺の良心を返せ!

「でも、先輩達に労われたことはないのです! 1500年は、先輩達にとっては大した時間ではないのです! だから、ヤドル様に労いの言葉を頂いて感動したのです!」

 フラカンがそんなことを言った。

 1500年が大した事ないって…
 神はスケールが違った。

「そ、そうか。それは、よかったな。
 じゃあ、そろそろ、話を先に進めようか」

 これ以上は、アレなので先を促した。

「はいなのです!
 ヤドル様には、これから、3つの祝福ギフトを付与するのですっ!」

「お、おい、ちょっと待て。
 俺はすでに、アリルから5つの祝福をもらってるぞ?」

 そう、俺はすでに5つもの祝福をもらっている。 これ以上は、ものすごく気が引けるんだが。

「それはそれ、これはこれないのですっ! これは、アリル様から、与える様に言われているのですっ! それに、2つはもう決まっているのですっ!」

 またこのパターンかよ⁉︎

「ち、ちなみに名前は?」

「はいなのですっ!
 1つ目は【効率強化】
 2つ目は【効率上昇】
 この2つなのですっ! あと1つはヤドル様に決めていただくのですっ!」

 前回とほぼ同じ展開じゃねーかよ‼︎

「いやいや、流石に貰いすぎだからな?」

「問題ないのですっ!
 これは決定事項なのですっ!」

 なんで神は、みんな人の言う事聞かないんだよ! 俺は本当に、アリルと波長が合ったのかよ。
 もういいや。
 ここまで来たら、もらってやろうじゃねーの。

「…わかったよ。
 じゃあ、そうだな… 生き物を従える事ができる能力はあるか?」

「ええと… あったのですっ!
 【隷属テイム】これなのですっ!」

 おいおい、また字面が悪いのが出てきたな。
 まあ、従えるんだから仕方ないのか?

「よし、ありがとうな。 これで全部だよな?」

「いえ、まだこの世界の説明がまだなのですっ!」

「ああ、それなら、ここに来るときにアリルに聞いたぞ?」

「え…」

 あ、やばい、超泣きそう。
 おいアリル! なに仕事盗ってるんだよ!

「わ、わかったよ。
 この世界について、説明をお願いするよ」

 パァァ!
 こんな感じの擬音がピッタリなほどの笑顔になった。 忙しい生き物だな。

「で、では、一度お聞きした様なので、大まかに説明するのですっ!
 まず、この世界は、ヤドル様の世界で言う所の剣と魔法の世界なのですっ! そして、300年前の大戦で世界の源力ソースが不足してしまい崩壊の危機なのですっ!」

「……」

 え、それだけ?
 うお、説明できてめっちゃ笑顔だよ。純粋か。

「…えっと、終わりか?」

「以上なのですっ!」

 うん、いい笑顔。

「そうか、ありがとな」

「はいなのですっ!」

「じゃあ、そろそろ行くかな」

「では、新人冒険者の街『レクルタ』近くの森、その中の使われていない小屋に送るのですっ! …少し寂しいですが会えないわけではないのですっ! それでは、良い旅を、なのですっ!」

 会えないわけではないって、また不穏な… 神ってのは隠し事が多いもんなのか?
 そんな事を考えながら、俺の視界は再び眩い閃光に襲われた。

 いよいよ、お待ちかねの異世界だ!

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