異世界で旅を〜異世界チートは必須でしょ?〜
理由は?
あぁ、これはアレだわ。
ラノベとかで流行りの異世界召喚だわ。
あれ、でも召喚じゃないのか?しかも夢に神が出てきて連れて行かれるってレアケースじゃね?普通は勇者召喚とか転生だよな…
そんな事を考えているとアリルが此方こちらの考えている事を察したのか
「まぁ多分、君が考えている事で大体は合っているよ。今回の場合は異世界転移だがね。」
なんて事を言ってきた。
そうか異世界転移か。
うん。凄くワクワクするな。
いや、しかし何で異世界に行って欲しいんだ?そもそも俺である理由もない気がする。 そんな疑問が浮かんだので
「どうして僕に異世界に行ってもらいたいのか訊いてもいいですか?」
まぁ当然の疑問である。
「あぁ、君が選ばれたのはたまたまだよ。ただ私と波長の合う人という理由とこの世界に未練がない人という理由だね。
最初の質問は最終確認みたいなものだったのだよ。」
「あんまり大した理由ではないんですね。ちなみにアリルさんと波長の合う人というのは?」
「うん。それはね『何処でも生きていける自信がある』だね。」
あるわ。あります。いや、あるだけで知識も能力もないけれども。
「そうですか。僕が選ばれた理由は分かりました。でも、異世界に行ってもらいたい理由は何なんですか?」
そう、本題はこっちだ。
「少し脱線してしまったね。すまない。
実はこれから君を送る世界は約300年前に魔王討伐があったんだがね、その時の魔王が少々規格外でね、討伐時にその世界の源力の多くが使われてしまったのだよ。」
「源力ですか?」
「ああ。この世界はね生命から物に至るまでその全てが源力で出来ているんだよ。それが今回大幅に減ってしまった。」
「えっと、それはすぐに補充はできないんですか?」
源力の補充だけなら世界神であるアリルさんならできそうなもんだけどな。
「確かに補充するだけなら簡単なのだけどね…」
なら俺が行く意味はあんまりないんじゃ…
「ポンと莫大な量の源力を短期間に入れてしまうと生態系が狂ってしまうのだよ。それはもう大幅にね。」
顔がマジだ。
でもそうか、植物がいきなりビオ○ンテになるような感じか。うん、怖い。
「君が想像してるよりももっと凶悪だよ。」
「マジですか。」
「本気。」
よし、これ以上は想像するのもかなり怖いからやめよう。
「そうならないようにする為にも、君にはこの世界に行ってもらいたいのだよ。」
「でも、それと僕がその世界に行くこととどう繋がるんですか?」
「あぁ、それはね、まず君の体に膨大な量の源力を持たせるんだ。
それを少しずつ漏れ出るように調整する。そうする事によって量を調整するんだよ。」
なるほど。
それなら突然の変化は起こらないか。
しかしそれでは一箇所に留まっていたらダメなんじゃないか?
そう尋ねると
「そう、だから君にはその世界中を旅してもらいたい。」
異世界で旅。
そんな楽しそうなことを断る年頃の男子がいるだろうか。
答えは決まった。
「僕、行きますよ。その世界に。」
その言葉にアリルは満足そうに微笑むのだった。
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