勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第三十七話 真実って大体こんなもん

「ええと、まず勇者が何か、ご存知ですよね?
「あっ、あそこの生徒さんでしたか。ミネルも? あなたも随分変わったものですね。ちっとも人のこと言えませんよ
「はいはい、ちゃんと話に戻します。勇者とは何か。簡潔に言えば魔王を倒すための人間
「では、魔王とは何か。今何代目だか知ってらっしゃいますか? なんと、72代目なんです、私。ころころ変わってるのがよく分かります
「さて、魔王はどこから現れるのか。いつも勇者が現れては倒され……次々復活している? それとも自分が死んだ時用に魔王のクローンを生産している? 後継者が勝手に名乗りを上げている?
「全て答えではありません。あながち間違いというわけでもないですが
「いえ、焦らしているわけではありませんよ。考える時間を差し上げているんです
「もう少しヒントが必要ですかね
「知人の昔話でもしておきましょう。ワンクッション置いておきましょう
「むかーしむかしの彼はただただ若く、無謀で無計画で無知でした。そんな最悪の少年は無駄に正義感が強くもあったのです
「それを見かねた賢者が言います。魔王を倒すのもこのような若者なのだろうか、と。目標ぐらいにでもなればいいと思ってのことだったのだろうとわたしは考えましたね。けれどもその時彼は決めました。強大な力を持つ巨大な人類の敵、魔王を倒しに行こうと
「幾年か立つと、どの冒険者も太刀打ち出来ないほど立派な“勇者”が完成したのです。今なら勝てるのでは。その考えに押されるままに魔王を倒して、めでたしめでたし」

「で、その知人さんは今どこにいる?」

そう促した俺の笑みは酷く歪なことだろう。
自覚症状ありまくりだ。
魔王は、口を閉ざす。
あくまで皇女さんに答えを言わせたいのだ。
それを察し、彼女は訊く。

「その勇者ーーつまりお前の先代のかたきだなーーは静かな隠遁生活を送り、死に絶えて、今私たちが次世代の勇者になろうと鍛え上げている最中、といったところか」

「いえいえ。静かな隠遁生活など与えられなかったのです」

「何を言っている」

本気で理解しがたい、といった様子の皇女に対し、万策尽きた魔王から俺宛へヘルプの視線を送られた。

「もう言っちまえよ。話が進まないったらない」

「しかし……私から言うのも何か違うだろう」

「お前以外の奴に言わせることでもない筈だ」

黙り込む魔王は皇女からの威圧に耐えられなくなり、解答を与えた。
解答と言えるものかではないと思うが、と前置きして。

「私の名はカイナート・ヴァイ・ラフィマーナ。名前くらいは聞いたことがあるかと……


先代の、勇者です」

〜*〜*〜*〜*〜
書きたいから書いたんです((
こんなに間あけて申し訳ない…
他のも途中なので、次の更新はいつになることやら( ˙-˙ )←
ではまた次回、ごきげんよう!


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