勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第三十四話 人間と魔物の確執は大きいようです

この魔王城は下にわたし達部下の部屋、中層に会議室や入浴施設などの共有する場所。
一番上には魔王様の私室、謁見の間があります。
ガイドさんのように滔々とこの城内の説明をする。
第一魔衛士とは城の案内人兼ガイドのことを言うのだろうか。
妙に手慣れている感は一体……。

「あ、泊まるのでしたらお部屋は用意しますよ?」

しかも至れり尽くせり。
なんというか、疑ってかかるべきとは思うのだが毒気を抜かれる及び腰と控えめな笑顔にそんな猜疑心は霧散した。
泊まるかどうかはともかく礼を言って先に進むよう促すと、足をもつれされながらとてとて先程より早足で歩き出した。
ああ、和む!


えっと、本当に、お知り合い……なんですよね?
魔王の間だという質素で、人二人が縦に入るくらいの大きさのドアの前にて、トラストは最終確認を取った。
間違いなく顔見知りである俺は迷いなく頷く。
ほっとしたのか、表情を緩めた彼女に向かって皇女さんが声をかけた。

「案内、助かった。今まで年の数だけこの狩りに参加してきたが、ここまで辿り着くのは初めてだ。感謝する」

「……狩り、ですか?」

トラストの眉が寄ったのがはっきり分かる。
発言をしたのは皇女さん。
それに反応したのはトラスト。
そういうわけで、ここに加わる気のない俺は魔王の間のドアを観察することにする。

「ん? 確かに狩りと言ったが、それがどうかしたか?」

前にも思ったが、魔王という魔物達を収める立場にあるお偉いさんと会うところの扉であるのに、古い木を荒彫りして黒く塗ったくっただけのようなこれはもう少しなんとかした方がいい。
そう、苦情というか文句というか忠告をしたのだけれどそんなとこに労力を割く必要はないと笑って流されてしまった。
あいつは節約が趣味なのだと、俺は睨んでいる。

「貴方たち人間は相も変わらず傲慢このうえない。昔からそうです。わたし達を魔物という括りに閉じ込め、悪と断じて攻め滅ぼしにかかる。ですが魔物は決して屈することなどありません。貴方たちなどには決して」

「ふん。傲慢なのはどちらだ。そうやって強者になったつもりで私たちを甚振るのが楽しみな癖して。いつもそうだ。だが、私たちは貴様らのように驕ったりはしない。油断もしない。いつか、いやすぐにでも寝首をかきに行くぞ!」

だんだん口論がヒートアップして掴み合いになりかけた時、久しぶりに奴の声を聞いた。

「こら、トラスト。喧嘩は駄目だと言ったろう」

〜*〜*〜*〜*〜
これで1000字ちょいです。
更新スピードはなんとなく維持してますが、文字数はどのくらいがいいんでしょう?

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