勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第三十二話 皇女さんはやはり能筋でした

「皇女さんがお相手になろう!」

「何でだ!」

ドロップキックが飛んできたのを見越して体を逸らすと、予想通りに顔の前スレスレを脚が過ぎていった。
ふっ、見よ、この無駄のない動き。
ドヤ顔して皇女さんを見遣る。

「今すぐその自慢げな表情を消さなければ国を挙げてお前を倒しにいくぞ」

狭量過ぎる。
しかし一人、この冗談(?)が理解出来なかった者がいた。
それは

「わ、わたしの相手を、貴女のような美人……じゃない違う、小娘が務めようと言うのか!?」

間違えた間違えた、と口走りながら手で仰ぎ顔を照れからか赤く染める第一魔衛士。
これは……。
この世界の癒しだ。
ポワポワオーラが漂っている。
年齢詐称の人間をやめたおばはんや、ただの変態、高慢ちきでボッチな皇女ーーこんな風に人間性から問題のある女ばかりだと思っていたこの世界に、この子のような普通の子がいるなんて!

「異世界も捨てたもんじゃないな」

「? 何をぶつくさ言っている。さっさとこの魔衛士とやらを叩きのめして城へ乗り込むぞ」

やる気満々で、今までの戦闘の際剣に付いた血を振り払い構えた。
それを見た俺はため息をつき、わざとらしく挑発する。

「はぁ、これだから単細胞は。ミジンコですかってんだ。もうちょい頭使おうぜ」

「何を! 私が能筋だというのか!?」

「いや言ってないから。てか自覚あったのか」

何故か味方である俺に剣先を向ける彼女はステータス・ストーカーの上に能筋が新たに加わった。
ちがう、そうじゃなくて。

「こいつ、魔王の側近なんだろ? なら道案内を頼めばいいだけじゃないか。魔王の部屋までお願いしますってな」

「お前こそ馬鹿だな」

嘆息して文字通り馬鹿にした態度を取る。
なかなかにいらっとくる。
が、俺が楽をするために少しぐらいは我慢しよう。

「だーかーら。取引だ。第一魔衛士どの、あんたが勝てば俺らは撤退。俺らが勝てばこの魔物たちを大人しくさせて魔王の私室まで案内」

どうだ、悪い話じゃないだろう

〜*〜*〜*〜*〜
誰か絵つけてくれないかな(
自分の画力ってどこにあるものなんでしょうか。
どこに落としてきたんでしょうか…

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