勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第三十話 皇女には扉を破壊する癖があります

ばったばったとなぎ倒しーー
千切っては投げ千切っては投げーー

「がーんーばーれー」

「ミネル・ハンフリー! 貴様も働け!」

「えー、なんで俺が」

魔物の群れを突き進み踏み潰しながら剣を振り回す皇女さんに対し、俺は自分に降りかかる攻撃の手のみを振り払う。
魔王城の城下町もどきなだけあって戦いの質は悪くない。
そこそこ頭を使える奴もいるようだしな。

「姫様! か、囲まれました!」

「蹴散らせぇ!」

「無茶ですー!」

現在進行形で魔物に取り囲まれていた。
こんなことになってしまったのは皆様お察しの通り馬鹿皇女のせい。
ここに至るまでの過程のスタート地点は、ほんの三時間ほど前に遡る。


「魔王が貴様の知り合いだろうと私は気にせんからな。今年こそ魔王の元へ辿り着き、そっ首切り落としてくれる!」

鼻息荒く意気込みを宣言する皇女に、それに沸き立つ兵士ども。
人気アイドルのコンサート会場みたいに熱気が満ちている。
なんでそんなに楽しそうなんだ……。
しかし、皇帝から報酬をもらうためにはそれに見合った結果を出さなければならない。
面倒だ。
だがしかし、今回ぐらいは頑張るか、俺の知的好奇心を満足させるために。

「おーい、皇女さん、どう攻める?」

皇女にも俺の目的の手伝いをさせようと意見を聞く。
だがしかし。
返事がない。
ここは魔王城近辺。
つまり俺たちは今魔物が暮らす街に足を踏み入れていた。
普段から人通り(魔物通り?)が少ないこの街にはベニヤ板で作ったような小屋が立ち並ぶ。
前世でイメージしていた魔物とは違わぬおぞましい容姿を持ちながら人に敵愾心をあまり持たない彼ら。
そう、温厚な種族なのだ。
けれど怒るとまさに魔物。

「おーい、誰かいるかー?」

バコスッ

「θθθδ!」

自宅の扉を破壊された家主が激怒し、ご近所さんに助けを求めた。

誰だって怒るわ!

ということで、俺たちは逃げ道を立たれてしまった。
家の扉の修理代は命なんですね……。

〜*〜*〜*〜*〜
お久しぶりです。
ミネルのキャラ、こんなんでしたっけ?
二時創作を書くあまり、奴の性格がどんなか思い出せないです((
まあ、追い追い思い出して行くとしましょう。
ついに、魔物さんたちご登場です。
叫び声の文字に意味はありません((
皇女たちは魔王の元へ行けるのでしょうか!?
じかいにつづく。

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