勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第二十九話 俺は○○の知り合いです

「こんなに勿体ぶったから何かと思えば……」

「なに? 大きい声で言えと習わんかったか」

皇帝はどうしてこう喧嘩腰なのだろうか。
皇女はドヤ顔。
なんだ、俺にどんな反応を求めているのだ。

魔王城。
それは名前まんまで魔王の居城。
初代魔王が一夜で建てたと伝えられる、魔物の巣窟である。
城下町、とご立派なものではないが、城の周りには魔物の住処が点在し、小さい集落もある。
城壁や掘などで守りをしない分、魔王城へ踏み込もうとすると周辺の魔物たちとも戦わなくてはならない。
これは激しく消耗する原因となる。
これが一般的な見解。
俺の印象は……まあ後々。

「別に、こんな勿体ぶる必要なかっただろって言ったんだ」

「む? 貴様、相当な自信があるのだな。なんなら、一人で乗り込むか? 自殺行為も甚だしいと思うがな」

嫌味ったらしく言う皇帝は嘲るように鼻を鳴らした。
これにムカッ腹を立てるのも大人気ないというものだろう。
体が脳の言うことを聞かずにドロップキックをかましそうなのは気のせいだ。

「父上、ミネル・ハンフリーが私より相当に強かろうとそれはいくらなんでも……」

苦言を呈する皇女を珍しいと思いながら口を出す。

「え、だいじょーぶだいじょーぶ。俺ってば魔王の知り合いだからさ」

「「……はあ"?」」

二人の台詞は濁点付き。

「「え、はい?」」

瞼から飛び出しそうなくらい目を見開き、唖然としている親娘の口にはカエルが一匹入りそうだった。
知り合いプラス竹馬の友だとは言い出せそうにない。

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