〜豪勇無双なるスピリット〜

RA15

1-1 新たなる人生

「この雑魚がよ!」
いま俺は住宅街の路地裏で、輩に絡まれている。
正確には俺から絡んだと言った方が正しい。
学校から帰る途中、俺の自転車のタイヤが急にパンクした挙句タイヤのゴムがホイールからはみ出てグチャグチャになり、押しても帰れなくなった状態に腹を立て、壁を蹴ったつもりがそこに、金色の短髪をし座ってタバコを吸っている、チンピラの顔面に丁度ヒットしてしまったのが原因だ。
俺は顔面に2発のパンチに膝蹴りをかまされた。
「あんま調子乗んなよ、じゃ」
チンピラはそう言うと、俺に背を向け、歩いて去っていった。
「なんなんだよっ」
おれはパンクしたチャリを蹴り飛ばし、歩いて帰ることにした。
その時、路地裏を勢いよく走る男がこちらに向かって走ってくる。
「次はなんだよ、」
グッ!  
「いッっ、、て、、」
男が俺に体当たりをしてきたと同時に、腹に激痛がはしった。
男は慌てた様子で謝りもせず走り去っていった。
「は、、っ?」
綾人は自分の腹から血がポタポタと垂れ落ちてることに気づき同時にナイフのようなものが刺さっていることに気づいた。
「ふっざけんなよっ、!、?はっ、?」
あまりの痛さに、呼吸が荒くなる、
地面には綾人の血がダラダラと流れている。
「どんだけついてね、んだ、よ、、おれ」
あまりの出血に焦りつつも意識が薄れていく。
視界がぼやけ、足の力が抜けている。
「俺っ、、死ぬのかよ、、」
刺されてから誰一人通りかからず、天月綾人は横にゆっくり倒れ、意識をうしなった。



「天、、つ、、さん」

(ん?)

「天月さん!」

綾人は自分の名前が呼ばれていると気づいて、ゆっくりと目を開けた。
霞んだ視界が徐々にはっきり見えてくる。
(病院のベットか?)
天井には、蛍光灯とその横にカーテンで仕切られていることがわかる。
眩しさにも慣れ、意識がしっかりと戻った。
「天月さん!」
!?
再び名前を呼ばれて綾人は少し驚いた様子でその声の人物に目を向けた。
そこには、白衣ではなく、黒いスーツに白髪の髪をオールバックで整えている50歳くらいの男が立っていた。
「あ、はい天月です。」
綾人がそう言うと
「では行きましょうか。」
と少し微笑んだ顔で言い、カーテンを開け歩き始める。
(ついてけってことかな?)
すぐに起き上がり、スリッパを履き、カーテンの外へ男を追っかける。
そこが一人部屋だとは分かったがここが病院なのかどこなのかわからないまま、男の後ろをついて歩き続ける。
廊下を歩きながら、周りを見渡したところ、一見病院に似た雰囲気だったが、窓が一つもないことに気づく。
(ここは地下なんだな)
男は無言のまま、背を向けて歩き続けて、ようやく立ち止まった。
エレベーターだ。
中に男が先に入り、
「さ、こっちです。」
微笑んだ顔でエレベーターの中へと案内される。
すぐにドアが閉まった、
と同時に何階にいくかを決めるボタン、他にもドアを開け閉めするボタン、非常ボタンもないことに違和感を覚えた。
「え?ボタンとかないんですか?」
男は俺に見向きもせず、微笑んだ横顔をして立って、無言のままだ。
「無視ですか?笑」
またしても男は無言のまま微笑み続け、不気味な雰囲気がエレベーターの中に漂う。
気味が悪い、気まずい
(早く着かないかな、)
扉が開くのをひたすら待つ綾人。
だが、扉は開かぬまま5分が経過した。
男は無言のまま微笑み、綾人もその隣でじっと待っている。
「まだ着かないんですかね?」
「                           」
「あの、なんで無視するんですか?」
「                           」
(なんなんだよっこいつもこのエレベーターも、閉じ込めらてんのか?)
「着きますよ。」
「あ、はい」
男がそう言ってからすぐ
チーン   ガーーッ
扉が開いた。

8畳くらいのあたり一面真っ白の部屋。
木の椅子が2つ向かい合って置いてある。椅子と椅子の距離は大体2メートル、片方には黒いスーツを着て髪の毛のない眩しい頭をした20歳弱の男がすわっていた。賢そうなどこかの社長のように見える顔立ち。
「どうぞ、お座りください」
「あ、はい!失礼します!」
綾人は木の椅子に座った。
「ではこれで」
案内してくれた男はそう言うとエレベーターのドアが閉まり行ってしまった。
眩しい男と2人きりになる綾人に、
眩しい男は話し始めた。
「とりあえず、さきにいっておきます。天月綾人さん、貴方は地球で通り魔にナイフで刺され出血多量で死にました。人通りの少ないとこだったので助けがこなかった。これが原因ですね。」
「、、え??」
「はい?」
「死んだって、じゃ、ここ天国とか地獄とか?、、それともうそついてんのか??」
「本当の話です。天国とか地獄というのはただの作り話です。ここは貴方の次の人生を決める死生所です。
貴方のお腹の傷は、元どおりにしておいたので、次の人生を歩む時にも支障はないと思うので安心してください。」
(そういえば、傷がなくなってる、
本当に死んだのかよ俺、)
「で、決め方の方法ですが、私の質問に三つほど答えて頂ければ、こちらで処理させていただきます。」
「ちょっとまってくれ!次の人生ってどういうことだよ!生き返れるのか?」
綾人は話を進める男に質問する。
「生き返れると言われるとそれはちょっと違います。
まず、元のいた地球に戻ることはできません。」
綾人はなにを言っているのかよくわからない様子で返事をかえす。
「は?じゃー次の人生って?」
「貴方が今までいた地球が存在する空間以外の空間で生きてもらいます。」
「なにをいってんだ?」
「宇宙、とでも言えばわかりやすいですか?その宇宙と呼んでいる空間は、他に400弱の数ほど存在しています。
貴方が住んでいた地球がある空間はその中の一つということです。」
なんとなく理解した綾人。
「あー、、まぁいいや、次の人生か!、、じゃー質問お願いします!」
「少し楽しみそうですね。」
「まだ生きれるならどこだっていいかなって思ってっ笑」
(どうせなら死んで終わりよりそっちの方がいい。)
「そうですか。
では、質問させていただきます。
①貴方は次の人生では大金持ちでありたいですか?」
(なんだこの質問、、、いやまてよ、ここで大金持ちがいいと答えたら、こいつは欲張りとかそんなこと言って金運とかさげるきなんじゃねーか?
ここはあえて普通にしとくか。)
「普通でいい。そんなにあっても、いらないしな。」
眩しい男は驚いた顔で返事をしてくる。
「お、そうですか、まぁそれでいいならいいですけど」
(え?本当にくれる気だったのかな?)
「②貴方は優れた存在でいたいですか?」
(さっきの反応みると正直でいいのかな?)
「当たり前です!」
綾人は思い切ってそう答えた。
だが眩しい男は無表情のまま答える。
「そうですか、次
③今までの人生は楽しかったですか?」
(楽しかったか、?
そう言えば、この18年間、何にもしてこなかったな、友達も指で数えられるくらいだし、部活も趣味もなにもない、、ほんと、ただ生きてたってだけっつーか)

「いや、、なんていうか、」

「そうですか。質問への返答ありがとうございます。」
男がそういうと、綾人の視界がぼやけはじめる。
「な、んだ、目が、」
男が霞んで見える、手や足、体の力が抜けてゆく。
「では、楽しい人生をお祈りしています。」
ーーーーーーーー
綾人は意識を失った。

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