異世界生活は固有武装とともに

ズーミン

誕生

ーーーえっ?ちょっ、まっ、苦しっ…

 あっ……………

ーーパシィンッ
 痛ッ
「ォオギヤャァァァーーーーーーーーーー」
 ッハァー、はぁー、はぁー、はぁー…
……
 あれ?ここ、どこだ?…
 いや、確か俺はもう死んだはず…

 もしかして、生きてた?
 いや、それは無い。なんかケツを叩かれたし、息出来てなかったし、大泣きしたし…

 あれ?大泣きした?と、いうか、何か聞こえてる?けど、意味が解らない…
 一体何なんだ…

ーーズキッ
 痛っ、急に頭が……
 あっ…意識が…………

ーーー
 俺が意識を取り戻してから二ヶ月、ようやく現状に理解が追いついた。
 どうやら俺は、転生していたらしい。

 いや、何となく想像はついたよ?けどさ、無理じゃないか?急に転生とかさ。受け入れろと?
 ただ、さ。泣きたくないのに泣くし、何もなくても泣くし、かと思えばすぐに意識が飛ぶし…
 はじめの方は本当に大変だったよ…。ちょっとものを考えただけで頭に激痛が走って意識が落ちるんだから。
 最近ようやくまともにものが考えられるようになって、本当に嬉しくなったからな。
 それでも、今が大体60日くらい。まともに周りが見えるようになって、もう、受け入れるしか無いなと思わされました。

① 知らない天井でした…
② メイド服の女の人が居ました。
③ なんか赤毛の小さな女の子に覗き込まれて居ました。
④掛け布団の上に小さな人(羽付)が寝そべって居ました。
⑤手がぷくぷくして小さいです。

 いやもう、ここまでテンプレを抑えてくるとは思いませんでしたよ…
 なに?なんなの?新手の嫌がらせですか?
 まぁ、現実逃避はそこまでにして、現状把握に入るとする。

・俺は転生した。
・どうやら良い家のお坊ちゃんらしい。(メイドさん居るしね…)
・異世界である。(お腹の上の君、明らかに生きてるし…)
・言葉が謎。(さっき赤毛の小さな女の子が謎言語を叫びながら走って行った。)
・記憶に欠落は無さそうだ。

 以上‼︎と、いうかね…メイドさん、お腹の上の君を除けようよ。いや、あんまり重くは無いんだけどさ…

ん?異世界?

 異世界?

 異世界って、異世界?地球じゃなくて、異世界?
 体も新しい?

 もしかして、俺、動ける?

 歩ける?走れる?美味しいものを食べられる?

 …自由に、生きられる?

そう考えると、涙が出てきた。
 あぁ、メイドさんが抱き上げてくれるけど、止まらない。
 嬉しい、嬉しい、嬉しい。
 声も出さずに涙を流す俺を見て、メイドさんが焦りだした。
 けど、止まらない。止められない。止めたくない。
 
 だって、俺は、自由なんだ。

ーーー
 どうやら俺は眠っていたらしい。ベッドで目を覚ますと、あたりは暗く、人もいない。お腹の上の君もどこかへ行ってしまったようだ。
さて、気を取り直して現状確認。

・俺は転生した。
・どうやら良い家のお坊ちゃんらしい。
・異世界である。
・言葉が謎
・記憶に欠落は無さそうだ。

 と、いうわけで、する事。

・ この世界がどんな世界なのか、調べる。
・ 自分の身分はどうなのか、調べる。
・ 言葉を習得する。
・ 体を鍛える。

 まぁ、こんなところだろう。
 最後のやつだけ異彩を放っているが、俺はこの世界では自由に生きたい。
 その時に、体が軟弱では駄目だろう。
 と、いう事で…

 バタバタバタバタ…

 ……いや、真面目にやってるんですよ?まだ手足を動かす事と、手のひらをグーパーする事しかできないし、仕方なくない?
 と、いう事で…

 バタバタバタバタ……

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