完璧JKには残念な兄が付属する

柏崎 聖

第1話 容姿端麗

 完璧JKには残念な兄が付属する。
 私にとってそれはありがたい事でもあり、本当に残念なことでもある。
 それは私の兄は残念だけど最高の兄だから。

 容姿端麗
 1

 私は京峰きょうみね 来波くるは
 高校2年!
 友達もたくさんいるし、勉強とか運動にも困ったことはないよ。
 だけど、私には1つ困ったことがあるの!
 それは私の兄。
 勉強はしないし、運動もできない。
 おまけにゲームばっかりしてる最悪な兄。
 兄は高校を卒業しているけど、就職もしないで毎日親に頼った生活してる。
 ほんと、まともな人間になってくれないといつか私に災いが降るんじゃないかって心配なんだから!
「おはよう、来波ちゃん!今日から2年生だね!」
「おはよう!美紅ちゃん。1年て短いんだね。つい最近入学したと思っていたのに」
「それよりさ、どうしたの来波ちゃん!また一段と可愛くなっちゃって!」
「いやぁ、なんにも変わってないよぉ」
「容姿端麗だし、勉強も運動も出来るし。それに人に優しいからみんなに好かれるし。ほんと羨ましいなぁ!」
「そんなことないって!美紅ちゃんも可愛いって!」
「いやいや。来波ちゃん、学校1可愛いって評判なんだよ?」
「えぇ!ほんと?」
 彼女は江山えやま 美紅みくちゃん。
 私の親友で男子から持てる子。
 とにかく見た目が可愛い!
 いつもこうやって女子高生らしい話で盛り上がってると、充実してるなぁって感じる!
 あまりに学校が楽しくて帰りたくないくらいだもん。
 家に兄がいるだけだけど...。
「美紅ちゃん!今日家こない?」
「ほんと?やったー!」
「家にケーキもあるよ!」
「私あまーいもの大好き!」
「じゃ、決まりね!」
 今日は家で遊ぶことにした。
 美紅ちゃんとは高校で知り合って、1年の頃からよく遊んでいた。
 だから放課後がとても楽しみだ。

「今日は宿題テストだ。しっかりやれよ!」
 担任の太い声が教室に響く。
 今日は1学期最初の日。
 だから宿題テストがある。
 朝のSTが終わると美紅ちゃんが私のせきのほうにやってくる。
「忘れてたー、テストあること」
「美紅ちゃん成績いいから大丈夫だよ!」
「来波ちゃんは毎回1位だもんね。ホントいいなぁ」
 私は高校に入ってから1度も1位にならなかったことは無い。つまり全部1位!
 多分1位取らなかったらお母さん怒るだろうなぁ。
 私達は今日1日テストを受けた。
 春風を浴びて迫ってくる睡魔を追い払いながら。
 あぁ、昨日徹夜しなければ良かった...。

 2

 放課後になったので、美紅ちゃんと一緒に下校する。
 家までは徒歩10分くらいでとても近い。
 近すぎて滅多に車で送ってくれない。
 これが家が近いが故の欠点。
 雨降った日はほんと憂鬱!
 家に着くと1つ大事なことを忘れていたのを思い出した。
 言うまでもなく、ニートの兄。
 あんなのが兄だなんて思われたくない...。
 まぁどうにかするしかない。
「お邪魔します!」
「多分親はいないから。私の部屋行こ!」
「うん!」
 私達は部屋に移動した。
 あの兄とは別の部屋だけど、隣が兄の部屋だからいつもゲームの音ご壁越しで聞こえてくる。
 ほんと、迷惑なの自覚してほしい。
「私ジュース持ってくるね。美紅ちゃんは座って待ってて!って...」
 なんか勝手に兄が入ってきてるんですけど!
「あ、お客さん?こんにちは。妹がお世話になってます。兄のかいです。よろしく」
「はぁ、何勝手に入ってきてんの?馬鹿アニキ。出てってよ!」
「いや、音がしたから帰って来たのかと思って...」
「はいはい。帰ってきましたよ、ただいま!はい、帰った帰った」
 そう言って私は兄を部屋の外に連れ出した。
「あんた何考えてんの?邪魔!ほんとキモいよ。1回死んだら?」
「お前、兄貴になんてこと言うんだよ」
「知るか、このクソニート!邪魔だから部屋に帰れ!」
「いや、死ねばいいのか部屋に戻ればいいのかどっちかにしてくれない?」
「うっせ!消えろ!」
 私は兄を部屋に押し戻した。
 ほんと気持ち悪い。
 ニートの癖に私に近づいてきて...。
 いい加減働けよ。
 気を取り直して私はジュースを取りに行く。

「戻って来たよ」
「おかえり、来波ちゃん。あのイケメンお兄さん、なんで追い払ったの?」
「い、イケメン?絶対ないと思うけど...」
「カッコイイよ、来波ちゃんのお兄さん」
「ふーん、傍から見るとそう見えるのか、あのクソアニキ」
 私達はこの後女子トークを楽しんだ。

 美紅ちゃんが帰った。
 今は6時。
 クソアニキに1つ説教をしてやろうと兄の部屋に入った。
 置いてあるものは全てゲーム。
 ニートさながらの部屋に入る度絶句する。
「クソアニキ、説教しに来たよ!」
「説教しに来たよって入ってくるやつがどこにいるんだよ」
「あんたが悪いんでしょ!友達に見られちゃったじゃん」
「何が悪いんだ?」
「悪いことしかないよ!自覚ないの?」
「無いけど」
「ニートの時点で悪いとこしかないでしょ?」
「酷い偏見だな、お前。ニートの何が悪い。この世の中を一番楽しめる職業だぞ!」
「ほんとめんどくさいね、あんた。もういい!今後一切入ってこないで!」
 私はそう叫んで、部屋の戸を思いっきり閉めた。
 この兄をどうにかするのが今後の一番の問題になりそうだ。
 果たしていつになればニート生活が終わるのか。
 私は心配で仕方がなかった。
 ここでひとつ言っとくけど、私兄のこと好きじゃないからね!


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