勇者と魔王が学園生活を送っている件について
序章《スティフ》
これは、ある少年と、ある少女の出会いの物語。
◇
[──はぁ、、はぁ、、やっ、、と、、。]
黒い雲に包まれた岩地の中に、少年が一人で倒れていた。その少年は、瀕死の状態で、さっき戦いでもしていたのか鎧は近くに投げ捨ててあり、着ていた服はもうなく、身体には深い傷がいくつもあった。
その少年の意識が戻ると、身体の中にある生命力を使って《気》を練り込んで、応急処置に回復しようと試みたが、気はほぼ完全に消費しており、諦めたのか、立ち上がって王都に向かって歩き始めた、、、、が、近くの村で完全に力尽きてしまった。
目を開けると、何人かの、、村人が近付いてきた。
[、、、い、、大、、夫、、。]
何か言っている、がもう身体が動かない。そう思った時にはもう力尽きてしまった。
◇
[う、、うぅ。]
辺りを見渡す。民家の中のベッドに自分は寝ていたようだ。そして、ベッドの横の椅子に座って寝ている女の子が多分看病してくれていたのか、横にあった机の上に血によって赤くなった水が入った桶と血で汚れたタオルがあった。
傷を見ると治ってはいないが、動けるようになるまで回復した。少年はベッドから起き上がる。
その時、さっきまで寝ていた女の子が起きた。
[あっ、もう大丈夫何ですか。]
[あぁ、もう大分治った。ありがとな。]
[あ、それはどうも。あ、、あと、こ、これ、服です。]
そう言うと、近くにあったタンスから、新品と思われる服を出して渡してきた。
[ありがとう。]
そう言うと服をもらい、着始めた。
[あ、あの、あなたのお名前はなんと言うのですか。私は、セイラと言います。]
セイラは、少し顔が赤くなっていた。なぜ、セイラの顔が赤いのか少年は分からなかった。
[俺は、、、、えっと、、あっ、そうだ。俺は、スティフ、、、だったかな。]
そうだよな、俺、スティフだよね。と、考えているとセイラが話を始めた。
[そ、それではスティフさんは、何故あんなに大ケガをしていたのですか。あっ、でも、言わなくて大丈夫ですよ。]
どうやら、気づかってくれるらしい。この人、セイラと言う人なら、自分の人生を語ってもいい気がする。
でも、言った時にどんな反応をするのだろう。もう、この事を考えるだけで、怖い。
スティフが考えていると、セイラが何か落ち着かない様子で口を開いた。
[あ、あの、その、スティフさんは、勇者様だったりするのですか。]
先手を取られた。だがスティフは自分でもわからないが口を開いた。
[ああ、俺は、生まれたときから今まで親を見たことがないんだ。気付いたときには戦場の中にいた。そして、兵士に拾われ、スティフという名前をもらった。俺は、特別な力があっただけで、特に剣技も、魔法も、才能と言えるものがなかったんだ。だから、頑張った。常人にはとてもできないほどの努力をした。]
スティフは息を整えて、もう一度、喋り始めた。セイラはスティフの話を真剣に聞いていた。
[時には敵に弟子入りをして、またある時には、仲間の技量を見て盗んだりと色々やった。今話せるのは、だいたいここまでかな。]
スティフは息をまた整え、辺りを見渡すと、村の人たちがいた。皆真剣に聞いていた。
[あ、あの、え、と。]
[お前が、まさか勇者様だったとわな、、。大変だったろ、よく頑張ったな。]
初めて誰かに分かってもらえた。これが何より嬉しかった、いつもは、[なぜ、もっと早く来なかった。もっと早く来てくれれば、、。]と言われるから、言うのが怖かった。
だが、ここの人たちは違った。わかってくれた。それだけで心が、軽くなった。と、考えていると笑顔でセイラが喋り始めた。
[えっと、あの、お腹空かないスティフ。]
[お腹空いた。]
そう言うと、村の人が大きな声で言った。
[よーし、今日は、皆で食うぞーー。]
そのあとは皆でご飯を食べた。
◇
セイラと出会ってから数ヶ月、俺は村に住むことになってセイラの家で生活を送り、村の子供たちに剣術中心に教えたりしていた。
今日は、セイラに魔法剣術を教えるために村の外の森で教練していた。
かきんかきん
剣を交えながら考え事をしていると、セイラは怒りながら言った。
[スティフ!ちゃんと教えて!ねえ聞いてる?]
あーあ、力みすぎて隙がおおすぎになっている。でも、セイラは覚えが早いんだよなー。
スティフがまた考え事をしていると、セイラは剣を振っていた手を止めてスティフに近づいてきた。
[だーかーらーちゃんとしてーー。]
[わかったから、じゃあ次は、魔法やるか。]
うーん、でも魔法ってどう教えるの?実践あるのみなんだけど、、、。
ギャアァァァァ
森の奥から何者かの呻き声が聞こえてきた。
[な、何?向こうから聞こえてきたけど、、、。]
呻き声の聞こえてきた方向を指差しながら言ってきたが、スティフは考えていて届いていなかった。
どーしよーかなー、あの鳴き声は多分ベアウルフの大将だと思うけど、、うーん、、、、考えるだけで無駄か。
[よし、行くか。]
[え、行くって、、、。]
[お前はついてくるだけ、俺が魔法剣術を使っているのを見るだけでいい。えーと、まあ実践の見学?]
[な、なら行く。]
そう言いながら、森の奥へと足を踏み入れた。
歩き始めて間もなく何者かが争った形跡の所に出た。そこは、木々は倒れ、いくつもの傷痕があった。
[あと、少しだなー。あっ、この跡ベアウルフ?じゃない!]
傷痕の形が若干小さすぎる、だけど、威力は凄いことがわかる。
[ね、ねえスティフ、スティフ!か、囲まれてない?私たち。]
周りを見てみると、何者かに囲まれていた。
[予定変更!!今から見学開始!]
そう言ってスティフは何者かに飛び込んで行く。
[!?こいつら、シャドウルフか、ならっ!はぁーっ!]
剣に気を纏わせて斬りかかる。一体、また一体と。
数十体いた、シャドウルフは残り一体になった。
[よし、ここからがこの見学の大事なとこだぞー。]
そう言うと精神を剣に集中し、気を混ぜ混んで変換し、魔力を作る。
[まだ教えてないけど、魔力は元々あるのを使ってもいいけど作った方が少し威力が上がるんだ。そしてっこうっ!投てきイメージを混ぜ込むと、気弾になる。]
スティフがそう言うと、シャドウルフに密度の濃い気弾が当たった。
[す、凄い。一瞬で、、か。]
そこまで言うとセイラは、何かが近づいているのに気付いた。咄嗟に防御体制をとる。
[おっ、セイラも気付いたか、成長したな。見学の続きだ。]
そこまで言ってから、腰を少し落とし息を整え戦闘体制をとる。少し考え標的捉えて前に、飛び出した。
[はあぁっ!!!]
交戦してから何分たっただろう。十?いや五か?いずれにしても、今のやつ武器持ったの初めてか?手応えが無かったな。まあいいか、縄で縛り上げとくか。
スティフは手近にあった木のツルを使って素早く縛り上げた。その光景をずっと見ていたセイラはただ驚くばかりだった。
[す、凄い、、。スティフ、そう言えばこの人たちって何なの?]
疑問に聞いてきたセイラだったが、スティフも襲われそうだったので軽く絞めた、スティフは深く考えてからもう一度縄で絞められた人を見る、その時、腕に見覚えがあるタトゥーがあったことに気付いた。
そのタトゥーは、何かの魔法陣だと確か魔王軍の幹部が消える前に言ってた気がする。じゃあ魔法を組み替えてみるか。
あ、セイラなんか言ってたな。何か言っとくか。
[えーと、こいつは、暗殺者かな。まあ、どうせ逃げられちゃうから、村に帰るか。]
そう言って歩き始め、何か言いながら後ろからセイラが走って来る。
今日のご飯なにかなー、と考え ながら村まで歩いていった。
◇
[なあ、ちょっと聞いて良いか?]
今日の練習が終えて一息着いたときに、ふと思い立ったので聞いてみた。
[どうしたの、そんな改まって。]
[いや、何でそんなに本気になっているのかなあーってさ。]
[なにに?]
[あ、いやなんでそんなに魔法と剣術にこだわってんのかなって思ってさ。]
セイラは、顔を下にし何か考えているのか、躊躇っているのか、と思っていた時にセイラが急に話始めた。
[え、えっとね、私学校とか言ったことが無いんだよね、それで、後2ヶ月後に初めて学校に行くんだ。で、でも私だけ遅れているから、少しでも、皆に馴染めるように、、、、、、そう思って、練習頑張っていたの。]
[そうなのか、でも、これ以上の練習は出来ないぞ。]
唐突に告げられ、ポカーンと理解出来てない様子を見せるセイラ。だんだん涙目になってきたセイラが大きな声で言った。
[何で!どうして!見込みがなかったから?ここまで来てそんなの酷いよ!!]
[いや、ちょ、、]
[スティフの、、、スティフの、、バカーーーー。]
走って森の奥へ行ってしまった。スティフはその時を見ていだけで行こうとは思っていなかった。いや、正確には、どうすればいいか分からなかった。やがて、夕日は落ちて辺りが暗くなり始めた。
──セイラ、遅いな。──
そう思ったとき、
キャアアアァーーーーー
森の奥から、悲鳴が聞こえた。スティフはこの声を知っていた。スティフはその時嫌な予感が頭の中を稲妻のように走る。
──このままだと、セイラが危ない!!
森の方へ走った。誰よりも速くに。
──もう誰も死なせたくない。
声がしたところまで走って行くと既にセイラは、居なくなっており、痕跡も何もなくなっていた。
だけど、スティフには通用せず、魔力を練り始めた。
魔力を練りあがると、精神を集中させて、
[探知能力、起動。]
森全域に範囲を拡大し、セイラを探した。
──いた!
森の木をなぎ倒す勢いで走る、敵はセイラを片手で抱き抱えて走っていた。
[見ーーつけたーーーー!!!!]
と、同時にセイラを奪い取り片手で相手の首筋を叩いた。
──うごっ、、、
相手は倒れて気絶した。念入りに木のツルを使って、絶対に抜けないようにするため魔力を具現化しワイヤーより固いロープにす《魔法強化》を施し、縛り上げた。
◇
[う、うぅ。あれ、スティフ?]
[おう、起きたかー。いきなりどっか行くから、、、]
[そ、それは、スティフが見込みがないって、、、言うから、、、。]
え?そんな事いったかなー?
[ちょっと良いか?俺が言いたかったのは、そうじゃなくて、これ以上のキツい訓練は無い、つまり、お前は十分強いから、あとは、日々のトレーニングを欠かさないように、と、言いたかったんだけど?]
[へっ?、はいっ!?]
カァーーー
ようやく理解したのか、だんだん顔が赤くなっていった。
[え、じゃあ、私の思い違い?]
[まあ、そーなるな。いや、紛らわしい言い方して悪かったよ。]
照れ臭そうに言うと、
[あの、こっちこそあんな言い方してごめんなさい。あと、酷いこと言ったのに助けに来てくれて、ありがとう。]
何はともあれ助けられて良かった。あ、それよりも、学校ってのが気になるなー。俺も行けんのかなー、どうかなー。
[なあ、セイラ俺も学校てのに、興味出てきた。行けんのかな?]
[えっ!?ホントに!良かった。じゃあ、私がお父さん、お母さんに相談してみるね。]
[え、いいの?やったーじゃあ、よろしく。]
◇
[スティフ!スティフ!!起きて。]
[あと、五分だけー。]
気持ち良さそうに寝ながら、寝言を言っている。
[スティフ!!!起きろーーーー!!!]
だが、起きる気配はなく気持ち良さそうに寝ていた。それを見ているセイラは、だんだん腹が立ち始め、、、、
[もう知らないっ!!先に行っちゃうからねー。]
──バタン。
それから一時間が経過して、ようやくスティフの目が覚めた。
時計を見てみると、大幅に時間が過ぎていた。
···········。
············。
ようやく、理解し、、、、
あ、ああああああ!!!!!!
[遅刻だーー!!!!]
焦りながら急いで制服に着替え、一切れのパンを口に加えながら、家を飛び出した。
これが、スティフとセイラの出会い、そして学園生活の一ページに書き加えられた。
◇
[──はぁ、、はぁ、、やっ、、と、、。]
黒い雲に包まれた岩地の中に、少年が一人で倒れていた。その少年は、瀕死の状態で、さっき戦いでもしていたのか鎧は近くに投げ捨ててあり、着ていた服はもうなく、身体には深い傷がいくつもあった。
その少年の意識が戻ると、身体の中にある生命力を使って《気》を練り込んで、応急処置に回復しようと試みたが、気はほぼ完全に消費しており、諦めたのか、立ち上がって王都に向かって歩き始めた、、、、が、近くの村で完全に力尽きてしまった。
目を開けると、何人かの、、村人が近付いてきた。
[、、、い、、大、、夫、、。]
何か言っている、がもう身体が動かない。そう思った時にはもう力尽きてしまった。
◇
[う、、うぅ。]
辺りを見渡す。民家の中のベッドに自分は寝ていたようだ。そして、ベッドの横の椅子に座って寝ている女の子が多分看病してくれていたのか、横にあった机の上に血によって赤くなった水が入った桶と血で汚れたタオルがあった。
傷を見ると治ってはいないが、動けるようになるまで回復した。少年はベッドから起き上がる。
その時、さっきまで寝ていた女の子が起きた。
[あっ、もう大丈夫何ですか。]
[あぁ、もう大分治った。ありがとな。]
[あ、それはどうも。あ、、あと、こ、これ、服です。]
そう言うと、近くにあったタンスから、新品と思われる服を出して渡してきた。
[ありがとう。]
そう言うと服をもらい、着始めた。
[あ、あの、あなたのお名前はなんと言うのですか。私は、セイラと言います。]
セイラは、少し顔が赤くなっていた。なぜ、セイラの顔が赤いのか少年は分からなかった。
[俺は、、、、えっと、、あっ、そうだ。俺は、スティフ、、、だったかな。]
そうだよな、俺、スティフだよね。と、考えているとセイラが話を始めた。
[そ、それではスティフさんは、何故あんなに大ケガをしていたのですか。あっ、でも、言わなくて大丈夫ですよ。]
どうやら、気づかってくれるらしい。この人、セイラと言う人なら、自分の人生を語ってもいい気がする。
でも、言った時にどんな反応をするのだろう。もう、この事を考えるだけで、怖い。
スティフが考えていると、セイラが何か落ち着かない様子で口を開いた。
[あ、あの、その、スティフさんは、勇者様だったりするのですか。]
先手を取られた。だがスティフは自分でもわからないが口を開いた。
[ああ、俺は、生まれたときから今まで親を見たことがないんだ。気付いたときには戦場の中にいた。そして、兵士に拾われ、スティフという名前をもらった。俺は、特別な力があっただけで、特に剣技も、魔法も、才能と言えるものがなかったんだ。だから、頑張った。常人にはとてもできないほどの努力をした。]
スティフは息を整えて、もう一度、喋り始めた。セイラはスティフの話を真剣に聞いていた。
[時には敵に弟子入りをして、またある時には、仲間の技量を見て盗んだりと色々やった。今話せるのは、だいたいここまでかな。]
スティフは息をまた整え、辺りを見渡すと、村の人たちがいた。皆真剣に聞いていた。
[あ、あの、え、と。]
[お前が、まさか勇者様だったとわな、、。大変だったろ、よく頑張ったな。]
初めて誰かに分かってもらえた。これが何より嬉しかった、いつもは、[なぜ、もっと早く来なかった。もっと早く来てくれれば、、。]と言われるから、言うのが怖かった。
だが、ここの人たちは違った。わかってくれた。それだけで心が、軽くなった。と、考えていると笑顔でセイラが喋り始めた。
[えっと、あの、お腹空かないスティフ。]
[お腹空いた。]
そう言うと、村の人が大きな声で言った。
[よーし、今日は、皆で食うぞーー。]
そのあとは皆でご飯を食べた。
◇
セイラと出会ってから数ヶ月、俺は村に住むことになってセイラの家で生活を送り、村の子供たちに剣術中心に教えたりしていた。
今日は、セイラに魔法剣術を教えるために村の外の森で教練していた。
かきんかきん
剣を交えながら考え事をしていると、セイラは怒りながら言った。
[スティフ!ちゃんと教えて!ねえ聞いてる?]
あーあ、力みすぎて隙がおおすぎになっている。でも、セイラは覚えが早いんだよなー。
スティフがまた考え事をしていると、セイラは剣を振っていた手を止めてスティフに近づいてきた。
[だーかーらーちゃんとしてーー。]
[わかったから、じゃあ次は、魔法やるか。]
うーん、でも魔法ってどう教えるの?実践あるのみなんだけど、、、。
ギャアァァァァ
森の奥から何者かの呻き声が聞こえてきた。
[な、何?向こうから聞こえてきたけど、、、。]
呻き声の聞こえてきた方向を指差しながら言ってきたが、スティフは考えていて届いていなかった。
どーしよーかなー、あの鳴き声は多分ベアウルフの大将だと思うけど、、うーん、、、、考えるだけで無駄か。
[よし、行くか。]
[え、行くって、、、。]
[お前はついてくるだけ、俺が魔法剣術を使っているのを見るだけでいい。えーと、まあ実践の見学?]
[な、なら行く。]
そう言いながら、森の奥へと足を踏み入れた。
歩き始めて間もなく何者かが争った形跡の所に出た。そこは、木々は倒れ、いくつもの傷痕があった。
[あと、少しだなー。あっ、この跡ベアウルフ?じゃない!]
傷痕の形が若干小さすぎる、だけど、威力は凄いことがわかる。
[ね、ねえスティフ、スティフ!か、囲まれてない?私たち。]
周りを見てみると、何者かに囲まれていた。
[予定変更!!今から見学開始!]
そう言ってスティフは何者かに飛び込んで行く。
[!?こいつら、シャドウルフか、ならっ!はぁーっ!]
剣に気を纏わせて斬りかかる。一体、また一体と。
数十体いた、シャドウルフは残り一体になった。
[よし、ここからがこの見学の大事なとこだぞー。]
そう言うと精神を剣に集中し、気を混ぜ混んで変換し、魔力を作る。
[まだ教えてないけど、魔力は元々あるのを使ってもいいけど作った方が少し威力が上がるんだ。そしてっこうっ!投てきイメージを混ぜ込むと、気弾になる。]
スティフがそう言うと、シャドウルフに密度の濃い気弾が当たった。
[す、凄い。一瞬で、、か。]
そこまで言うとセイラは、何かが近づいているのに気付いた。咄嗟に防御体制をとる。
[おっ、セイラも気付いたか、成長したな。見学の続きだ。]
そこまで言ってから、腰を少し落とし息を整え戦闘体制をとる。少し考え標的捉えて前に、飛び出した。
[はあぁっ!!!]
交戦してから何分たっただろう。十?いや五か?いずれにしても、今のやつ武器持ったの初めてか?手応えが無かったな。まあいいか、縄で縛り上げとくか。
スティフは手近にあった木のツルを使って素早く縛り上げた。その光景をずっと見ていたセイラはただ驚くばかりだった。
[す、凄い、、。スティフ、そう言えばこの人たちって何なの?]
疑問に聞いてきたセイラだったが、スティフも襲われそうだったので軽く絞めた、スティフは深く考えてからもう一度縄で絞められた人を見る、その時、腕に見覚えがあるタトゥーがあったことに気付いた。
そのタトゥーは、何かの魔法陣だと確か魔王軍の幹部が消える前に言ってた気がする。じゃあ魔法を組み替えてみるか。
あ、セイラなんか言ってたな。何か言っとくか。
[えーと、こいつは、暗殺者かな。まあ、どうせ逃げられちゃうから、村に帰るか。]
そう言って歩き始め、何か言いながら後ろからセイラが走って来る。
今日のご飯なにかなー、と考え ながら村まで歩いていった。
◇
[なあ、ちょっと聞いて良いか?]
今日の練習が終えて一息着いたときに、ふと思い立ったので聞いてみた。
[どうしたの、そんな改まって。]
[いや、何でそんなに本気になっているのかなあーってさ。]
[なにに?]
[あ、いやなんでそんなに魔法と剣術にこだわってんのかなって思ってさ。]
セイラは、顔を下にし何か考えているのか、躊躇っているのか、と思っていた時にセイラが急に話始めた。
[え、えっとね、私学校とか言ったことが無いんだよね、それで、後2ヶ月後に初めて学校に行くんだ。で、でも私だけ遅れているから、少しでも、皆に馴染めるように、、、、、、そう思って、練習頑張っていたの。]
[そうなのか、でも、これ以上の練習は出来ないぞ。]
唐突に告げられ、ポカーンと理解出来てない様子を見せるセイラ。だんだん涙目になってきたセイラが大きな声で言った。
[何で!どうして!見込みがなかったから?ここまで来てそんなの酷いよ!!]
[いや、ちょ、、]
[スティフの、、、スティフの、、バカーーーー。]
走って森の奥へ行ってしまった。スティフはその時を見ていだけで行こうとは思っていなかった。いや、正確には、どうすればいいか分からなかった。やがて、夕日は落ちて辺りが暗くなり始めた。
──セイラ、遅いな。──
そう思ったとき、
キャアアアァーーーーー
森の奥から、悲鳴が聞こえた。スティフはこの声を知っていた。スティフはその時嫌な予感が頭の中を稲妻のように走る。
──このままだと、セイラが危ない!!
森の方へ走った。誰よりも速くに。
──もう誰も死なせたくない。
声がしたところまで走って行くと既にセイラは、居なくなっており、痕跡も何もなくなっていた。
だけど、スティフには通用せず、魔力を練り始めた。
魔力を練りあがると、精神を集中させて、
[探知能力、起動。]
森全域に範囲を拡大し、セイラを探した。
──いた!
森の木をなぎ倒す勢いで走る、敵はセイラを片手で抱き抱えて走っていた。
[見ーーつけたーーーー!!!!]
と、同時にセイラを奪い取り片手で相手の首筋を叩いた。
──うごっ、、、
相手は倒れて気絶した。念入りに木のツルを使って、絶対に抜けないようにするため魔力を具現化しワイヤーより固いロープにす《魔法強化》を施し、縛り上げた。
◇
[う、うぅ。あれ、スティフ?]
[おう、起きたかー。いきなりどっか行くから、、、]
[そ、それは、スティフが見込みがないって、、、言うから、、、。]
え?そんな事いったかなー?
[ちょっと良いか?俺が言いたかったのは、そうじゃなくて、これ以上のキツい訓練は無い、つまり、お前は十分強いから、あとは、日々のトレーニングを欠かさないように、と、言いたかったんだけど?]
[へっ?、はいっ!?]
カァーーー
ようやく理解したのか、だんだん顔が赤くなっていった。
[え、じゃあ、私の思い違い?]
[まあ、そーなるな。いや、紛らわしい言い方して悪かったよ。]
照れ臭そうに言うと、
[あの、こっちこそあんな言い方してごめんなさい。あと、酷いこと言ったのに助けに来てくれて、ありがとう。]
何はともあれ助けられて良かった。あ、それよりも、学校ってのが気になるなー。俺も行けんのかなー、どうかなー。
[なあ、セイラ俺も学校てのに、興味出てきた。行けんのかな?]
[えっ!?ホントに!良かった。じゃあ、私がお父さん、お母さんに相談してみるね。]
[え、いいの?やったーじゃあ、よろしく。]
◇
[スティフ!スティフ!!起きて。]
[あと、五分だけー。]
気持ち良さそうに寝ながら、寝言を言っている。
[スティフ!!!起きろーーーー!!!]
だが、起きる気配はなく気持ち良さそうに寝ていた。それを見ているセイラは、だんだん腹が立ち始め、、、、
[もう知らないっ!!先に行っちゃうからねー。]
──バタン。
それから一時間が経過して、ようやくスティフの目が覚めた。
時計を見てみると、大幅に時間が過ぎていた。
···········。
············。
ようやく、理解し、、、、
あ、ああああああ!!!!!!
[遅刻だーー!!!!]
焦りながら急いで制服に着替え、一切れのパンを口に加えながら、家を飛び出した。
これが、スティフとセイラの出会い、そして学園生活の一ページに書き加えられた。
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