異世界奮闘、チート兄

嚶鳴

魔法

「ルッカ、お願い」

「うん!」

ルッカは、小型ボウガンを構えると、また眉間に狙いを定め、放つ。

しかし、どうやら防具の性能が桁違いなようで、あっさりと弾かれた矢が床に落ちた。

「なら!」

次に放った矢は、関節部分を撃ち抜き、前にいた3人が行動不能になる。

「お前たち、足手まといを盾にしてしのげ」

冷静さを取り戻した男が指示をすると、言われた通りに動けなくなった3人に隠れる。

これによって、ルッカの矢は攻撃手段にはならなくなってしまった。

しかし、そこにルッカがいるというだけで相手は迂闊に動けない。

それが分かっているのか、無傷の9人が、魔法を発動した。

これも昼の精霊騒動に関係しているのか、全員がほぼ無詠唱だ。

様々な属性の魔法が飛んでくるが、屋敷の被害を考慮してだろう、その中に火魔法はない。

それらが全てルッカめがけて飛び、空中で停止する。

「その程度の魔法、通じない」

「返す」

操った魔法を、自分の周りにキープしたルノは、そのまま相手に全て送り返した。

それが当たる前に、相手は今まで盾にしていたうちの1人を犠牲に、被害を最小限にとどめた。

「お手本。最強の魔法、見せてあげる」

最強の魔法。

そう言って最初にイメージするのは火魔法だ。

他にも、光魔法のレーザーなど、熱を使った攻撃の威力は格別だ。

周りの被害を鑑みなければ、その威力は間違いなく最強だろう。

しかし、それは普通の魔法の話だ。

使うのがルノの時、その常識は覆される。

「サタナ、水魔法。……水球アクアボールでいい」

″分かった″

洪水フラッド

全く分かっていないサタナが、水の上級魔法を使う。

サタナの近くに生まれた、まさに洪水の名にふさわしい大量の水を、ルノが1つにまとめ上げる。

球となって浮かぶ洪水フラッドが、徐々に赤く染まっていく。

ルノのスキル操魔師は、文字通り魔法を完璧掌握し、操るスキルだ。

洪水フラッドに、ルノの血を混ぜていく。

発動した魔法に介入などできるはずがないが、それを可能にするスキル。

今、この魔法は、魔力で発動されながらも、血によって物理的な能力ももっている。

魔力耐性、物理耐性。

どちらか片方だけ持っていても役に立たない。

血の海ロクトラウト

これこそがルノの最強の魔法である。

万が一凌いでも、血に付与した効果によって死に至る。

この魔法が終わった後に残ったのは文字通りの血の海。

これの中にどれだけ相手の血が混ざっているのかは分からなかったが、相手の中に動くものはいなかった。

「……こっちは終わり。思ったよりうまく連携出来た。……フィアたち手伝う?」

「うん。一応向かいたいな。お姉ちゃん危なっかしいから」

″私もまだうちたりない″

2人の賛成を聞き、ルノはとりあえず向かうことにしたのだった。

「異世界奮闘、チート兄」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く