異世界奮闘、チート兄
観光
外に出るにしても、どこに何があるのか分からないルノ達。
どうするか悩んでいると、
「え?町の案内?それならまかせてよ!何回か来たことあるからね!」
「……お姉ちゃん?前に勝手に行動して怒られてたのに、まだ行ってたの?」
じーっとセナを見つめるルッカ。
「あ。……えと、あはは」
「お姉ちゃん?」
「……ごめんなさい!」
目を逸らしてごまかしていたセナだったが、じとっとした視線を強めて呼びかけられ、堪らず謝った。
「もう勝手なことして心配させないでね?」
「わかったよ」
案内を引き受けるにあたってそんなやりとりを挟みつつ、セナを案内役としての外出が決定した。
「よし!みんな私に続けー!」
勢いよく走り出したセナだが、ちょっとするとちらちらと付いて来てるかを確認し始めているあたり、しっかりと案内役をこなそうとセナなりに頑張っているのだろう。
「ごめんなさい、うちのお姉ちゃんが……」
申し訳なさそうにルノとフィリアに謝るルッカだったが、はしゃぐセナを見る嬉しそうな表情が隠せていなかった。
「……別に、いい。セナが楽しそうで何より」
「今日はみんなが仲良くなるためのお出かけですからね!羽目を外すくらいがちょうどいいです!」
「そのとおり、だからルッカも、できればかしこまらないでほしい」
その言葉に少し驚いた表情をしたルッカは、
「はい、……あ、うん。え、えーと、これでいい、かな?」
なんとも照れ臭そうにそう言った。
「ん。改めて、よろしく」
「よろしくお願いします!」
「うん、よろしく」
どことなくぎこちないものの、差し出された手をしっかりと握るルッカ。
「ちょっとー!私もまぜて!」
誰も付いてこなかったので、少し拗ねた様子のセナが、握ったままの3人の手を包むように握った。
この外出、ほんの少しではあるが、早速効果が出たようである。
「どこに行こっか?」
「……最初は、セナのオススメの場所がいい」
「そうですね!セナさん一押しの場所、すごく気になります!」
「だって、お姉ちゃん。私も気になるな、お姉ちゃんのオススメの場所」
「わかった!じゃあこっちだね」
セナに案内されてたどり着いたのは大きな噴水のある広場だった。
中央の噴水の近くには、なにやら肩のあたりで髪をゆるく三つ編みにした女性が、杖を掲げている像が立っている。
「ここは町の中心の広場だよ!色んなひとがいてとっても賑やかでしょ?」
周りを見れば、確かにここは普通の通りの2、3倍の人がいる。
露店や、なにか賭けなどもやっているらしく、これもこの賑やかさに一役買っているのだろう。
楽しそうにしていたセナが、少し顔を険しくしてルノ達に話しかける。
「ねぇ、あの人」
そう言ってさしたのは、その中でも一際人が集まっている場所。
「あああ!くっそ!勝てねええ!」
「お前もか、あいつ何連勝してんだよ」
「つうか、負けてないよな」
どうやら、腕相撲で力自慢をしているらしい。
「もう一回!」
一回銅貨二枚、勝てば今までの代金総取りという仕組みのようだ。
みている間にも、1人、また1人と挑戦者が敗れていく。
銅貨二枚と大した額ではないが、たくさんの人が集まっているだけあって、その総額はかなりの物になりそうだ。
「あれが、どうかした?」
不思議そうに尋ねるルノに、
「挑戦者、必ず毒がかかってる」
と返した。
それに驚くルノ達。
「どうして分かったの?」
「周りの精霊達がね、教えてくれるんだ。それに、その毒を打ってる人が、なにかで精霊を縛っているみたいで『たすけて』って聞こえるから、いつもよりみんな協力的なんだ」
「……セナ。精霊を助けたい?」
「うん。できれば。でも、その子達がいる場所が分かんないんだ。もう1人くらい挑戦者が出ればわかるんだけど……」
そう言ってもう一度先程の場所を見るも、なにやら100人抜きをしたらしく、もう誰も挑戦しようとする者がいなかった。
「……あと1人でいい?」
「うん」
「なら、私がでる」
「本当!?でも、危なくないかな?」
今までは全て男が挑戦していたのだ。
いかにもか弱そうな少女だとどうなるか分からない。
そう考えての発言だったのだろう。
しかし、ルノはそれに笑って、
「大丈夫。あくまで場所を割り出すため。無茶はしない。それにーー」
「負ける気がしない」
そう答える。
「ルノお姉様、頑張ってください!」
「無理はしないでね?」
励ますフィリアの頭を優しく撫で、心配するルッカに笑いかけると、
「いってくる」
そう言って人だかりの中を進む。
そして、その中心にたどり着くと、相手を見据え、
「次は、私」
そう、宣言した。
どうするか悩んでいると、
「え?町の案内?それならまかせてよ!何回か来たことあるからね!」
「……お姉ちゃん?前に勝手に行動して怒られてたのに、まだ行ってたの?」
じーっとセナを見つめるルッカ。
「あ。……えと、あはは」
「お姉ちゃん?」
「……ごめんなさい!」
目を逸らしてごまかしていたセナだったが、じとっとした視線を強めて呼びかけられ、堪らず謝った。
「もう勝手なことして心配させないでね?」
「わかったよ」
案内を引き受けるにあたってそんなやりとりを挟みつつ、セナを案内役としての外出が決定した。
「よし!みんな私に続けー!」
勢いよく走り出したセナだが、ちょっとするとちらちらと付いて来てるかを確認し始めているあたり、しっかりと案内役をこなそうとセナなりに頑張っているのだろう。
「ごめんなさい、うちのお姉ちゃんが……」
申し訳なさそうにルノとフィリアに謝るルッカだったが、はしゃぐセナを見る嬉しそうな表情が隠せていなかった。
「……別に、いい。セナが楽しそうで何より」
「今日はみんなが仲良くなるためのお出かけですからね!羽目を外すくらいがちょうどいいです!」
「そのとおり、だからルッカも、できればかしこまらないでほしい」
その言葉に少し驚いた表情をしたルッカは、
「はい、……あ、うん。え、えーと、これでいい、かな?」
なんとも照れ臭そうにそう言った。
「ん。改めて、よろしく」
「よろしくお願いします!」
「うん、よろしく」
どことなくぎこちないものの、差し出された手をしっかりと握るルッカ。
「ちょっとー!私もまぜて!」
誰も付いてこなかったので、少し拗ねた様子のセナが、握ったままの3人の手を包むように握った。
この外出、ほんの少しではあるが、早速効果が出たようである。
「どこに行こっか?」
「……最初は、セナのオススメの場所がいい」
「そうですね!セナさん一押しの場所、すごく気になります!」
「だって、お姉ちゃん。私も気になるな、お姉ちゃんのオススメの場所」
「わかった!じゃあこっちだね」
セナに案内されてたどり着いたのは大きな噴水のある広場だった。
中央の噴水の近くには、なにやら肩のあたりで髪をゆるく三つ編みにした女性が、杖を掲げている像が立っている。
「ここは町の中心の広場だよ!色んなひとがいてとっても賑やかでしょ?」
周りを見れば、確かにここは普通の通りの2、3倍の人がいる。
露店や、なにか賭けなどもやっているらしく、これもこの賑やかさに一役買っているのだろう。
楽しそうにしていたセナが、少し顔を険しくしてルノ達に話しかける。
「ねぇ、あの人」
そう言ってさしたのは、その中でも一際人が集まっている場所。
「あああ!くっそ!勝てねええ!」
「お前もか、あいつ何連勝してんだよ」
「つうか、負けてないよな」
どうやら、腕相撲で力自慢をしているらしい。
「もう一回!」
一回銅貨二枚、勝てば今までの代金総取りという仕組みのようだ。
みている間にも、1人、また1人と挑戦者が敗れていく。
銅貨二枚と大した額ではないが、たくさんの人が集まっているだけあって、その総額はかなりの物になりそうだ。
「あれが、どうかした?」
不思議そうに尋ねるルノに、
「挑戦者、必ず毒がかかってる」
と返した。
それに驚くルノ達。
「どうして分かったの?」
「周りの精霊達がね、教えてくれるんだ。それに、その毒を打ってる人が、なにかで精霊を縛っているみたいで『たすけて』って聞こえるから、いつもよりみんな協力的なんだ」
「……セナ。精霊を助けたい?」
「うん。できれば。でも、その子達がいる場所が分かんないんだ。もう1人くらい挑戦者が出ればわかるんだけど……」
そう言ってもう一度先程の場所を見るも、なにやら100人抜きをしたらしく、もう誰も挑戦しようとする者がいなかった。
「……あと1人でいい?」
「うん」
「なら、私がでる」
「本当!?でも、危なくないかな?」
今までは全て男が挑戦していたのだ。
いかにもか弱そうな少女だとどうなるか分からない。
そう考えての発言だったのだろう。
しかし、ルノはそれに笑って、
「大丈夫。あくまで場所を割り出すため。無茶はしない。それにーー」
「負ける気がしない」
そう答える。
「ルノお姉様、頑張ってください!」
「無理はしないでね?」
励ますフィリアの頭を優しく撫で、心配するルッカに笑いかけると、
「いってくる」
そう言って人だかりの中を進む。
そして、その中心にたどり着くと、相手を見据え、
「次は、私」
そう、宣言した。
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